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【DAY8】この旅はすでに僕が思い描いていたものよりも大きなものになっている。
MOUNTAIN BIKE JOURNEY 2020夏
【DAY8】
中土佐→宿毛 96.1km
「朝自分たちが気持ちよくはじめられれば、きっといい1日になる。」
一昨日の夜にミミが言った言葉を子どもたちがその行動で示した1日になった。
早めに起きて行動する子どもたち。テントの片付け、自分のパッキング、終わったひとがそのまままわりと協力してバッグを取り付けて出発の準備を整えていく。ゴミ拾いはもう号令を誰かがかけることなく、準備が終わった人からはじめるようになった。
そうして子どもたちが昨晩決めた予定のとおり、5時45分にスタートを切った。
けれどここでよかった!ではなく、ここからがこれまでの課題。食事のときが彼らが1番気が抜けてしまうところ。ゆーっくりぼーっと食べたり、誰かのお話に引きづられてついつい今向かうべきものを忘れてしまったりしてここまでは遅れてきた。
僕はいつものように駐車場でレポートを書きながら、朝食を買いに行ったメンバーを待つ。さあみんなで買ってきたあとどうなるかなぁと、横目で見ていたら今日は、いつもより自分の食事に向き合ってる。
いつもどおりの彼が思い出したように笑いながら話しはじめても、まわりが「いまじゃないから」とやんわりたしなめて、それを聞いた彼はそうだった!としんみょうな顔でごはんを食べはじめる。
食事は楽しむべきもの!と感じる人もいると思う。けれどそれは節度を持ってコントロールできるようになってはじめて。いまはその過渡期だから。ただ。いま神妙に食べていることだけにフォーカスしてるのではない。
食事はもちろん楽しいほうがいい。けれどそれは自分が目の前にやらないといけないことがあるときには、スイッチを僕は切り替えているよ。サッと食べる。おしりをつけない。僕ならそうしてる。という話を昨晩したことを自分の考え方に組み込んでいるようだ。彼らの思考がこうして行動に宿ること。それはなによりも自分でまた前に進んでいる証拠。だいじょうぶ。
いつもの半分くらいの時間で朝食を終え、出発する。
こうしてできたのは今がはじめてだけれど、彼らにはもうその実感があるようだ。いい顔をしている。1日を気持ちよくはじめる。まさに彼らが行動で示したはじめたの朝。さあ!行くよ!とハイタッチして走りはじめる。
スカッと晴れた朝。高知の海岸線から西に向けて山あいになっていく。
この子らは平地では割と同じペースで走れるけれど、山道になると途端に体力差が出てくる。こういうときにそれぞれがペース配分したり、声かけをしたりしてどれだけそこで助け合えるか。同じ立場、同じ目標の仲間に足を引っ張るも何もない。みんながひとつ。
今日の目的地として「宿毛でぼくの友達と市長さんとが待っているよ」と話していたから、子どもたちは朝から市長さん、市長さん、と話をしている。
きっと彼らのイメージでは大きなホールの立食パーティーみたいなものがあるのではないかぐらいに思っているのだろうか。とにもかくにも、楽しみなことが目的地にあるのは1番いいことだ。
走行に関しては、言うことなし。前とぶつかったり、こけたり、壁に擦ったりしながらも大きく危険を感じる動きは少なくなってきた。ギア選びはもう目の前の地形の変化で自然に変えていくようになっている。仲間の関わりについては言うことのない、この子たちの課題は時間の使い方だけ。
昼間はこの夏いちばんの暑さだった。ジリジリを過ぎて、頭がボーッとなるくらいの暑さ。
午後はお腹がいたいと体調不良をうったえた子がいたので、その場でケアしようとしているほのかに声をかけて道路ばたではなく、影のある駐車場まで走らせて「昼寝するぞ!」とみんなを寝かせる。そしたら隣の畳屋のおじさんが、お水いるか?とみんなに頭から水をかけてもらった。
徳島、高知とほんとに現地のひとに優しく声をかけていただいたり、いただきものをする。「お遍路さんの文化があるから」と言えば簡単なこと。けれどそれは彼ら一人ひとりの思いであり、行動なのだ。そのことには感謝しかない。
そこからさらに走る。目的地までまだ30km。
けどこの休憩で彼も元気になって、チームもまたいい走りに戻った。
これならいけると判断して中村駅前のぼくの友達の志保ちゃんに会いに行った。
ぼくが心から尊敬しているたこ焼き屋さん。
突然の大人数の訪問にもいらっしゃい!あーみんな元気ね!とむかえてくださり、
そのまま9人分のたこ焼きをプレゼントしてもらってしまった。
ほんとにええ旅をこうして出会うみなさんにつくっていただける。この旅はすでに僕が思い描いていたものよりも大きなものになっている。
夕日がかたむいていくなか、最後のスパート。
涼しくなってきたなか、みんなが元気に走りつづける。そして日の落ちかけた7時に宿毛の竹葉タイヤに到着した。今日のぼくたちの受け入れ先だ。
ずっとお世話になっているマキさんの旦那さんの会社。荷物をサッと入れ替えて、マキさんのところでシャワーを浴びて、この旅はじめてのコインランドリー。やったー!と子どもたち。
それからは高知のあたたかい、うけいれ体制で大宴会。思っていたけれど彼らの就寝時間を大幅に遅れてお開きとなり。みんなでランドリーの荷物をかき集めて、会社の駐車場にテントを張って眠りについた。
大丈夫。明日はまた戻るかもしれないけれど。彼らはもう知っている。自分たちの思いひとつでできるのだということを。
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![西川 昌徳(にしかわ まさのり)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63566105/profile_9df58da5981316945ef97dce10223b92.jpg?width=600&crop=1:1,smart)