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【DAY1】誰かについていく旅ではなく、自分たちで考えて行き先を決めていく旅

MOUNTAIN BIKE JOURNEY 2020
【DAY1】
27.2km 姫路城→小豆島オリーブ公園

僕にとってのホームである姫路出発とはいえど、やはり前日はソワソワして気持ちが休まらなかった。何年やったとしても、このまだやることがあるのではないかという頭が落ち着かない感じや、これから子どもたちの命を預かるという責任には慣れることはないと思う。


集合時間よりずいぶんと前に集まってきた参加者たち。
ハキハキとしている子、お母さんにまとわりつくように過ごしている子、それは親御さんの姿勢も含めてそれぞれ。きっと子どもたちも親御さんたちもさまざまな思いを抱きながらこの場所にやってこられたのだと思う。


自転車のペダル付け、最終調整をザッとしながら、ほのかに荷物のパッキングの声かけを預けて作業をする。落ち着いて、落ち着いて。気はどんどん加速しそうになるが、自分が落ち着いていないと何もはじまらない。

それぞれ荷物をつけて、サドルの高さを合わせて、試走させる。こういうギアチェンジがたくさんついた自転車に乗るのがはじめての子たちもたくさんいる。少しずつ。あせらず。見守ること。


メンバーが何か伝えにきたなぁと思ったらまさかのオーバーエイジ枠のミミがテントを家に忘れてきた!笑
家族にすぐに電話をかけて、仕事ギリギリのお母ちゃんと、ドライバーとして僕のバンを乗ってきてくれた甥っ子の連携プレーにより我が家にあるテントを持ってきてもらうことで解決。お母ちゃん甥っ子にも感謝だし、ミミ自身もそうとう血の気が引いていただろうからホッとしただろう。


旅はこういうものだ。うまくいくことがすべてではなくて、起こったことに対してどう自分が考え動いていくか。善悪のバランスで考えてしまうと旅で得られるものは浮き上がってこないと思う。


準備がそろったところで、簡単なミーティング。ここに最近時間をかけない。見切り発車ぐらいがいいと思っている。僕だってそうだったから。よく分からないままにはじめてしまって、焦ったり、ドキドキしたり、あーどうしよとなりながら旅というものを獲得していった。だからこそ大きな心でカバーすることを彼らの逃げ場として置いておいて、あとはどんどん進めていく。


姫路城から南へ。彼らの旅の相棒になる日記帳をお店で買う。
ちょうど「いまどこ?」「あとどれくらい?」をことあるごとに連発してくれるメンバーが現れたので、そう、それを自分で知ることが旅なんだよ。だから本屋に行こう。と彼らを連れて本屋に行って、かれらは2冊の地図を選んだ。


なんとなくついていきながら小豆島行きのフェリー乗り場に行き、ご飯を食べて船を待つ。そうしてやってきた船にそれぞれがおぉ!となりながら乗船して迷うことなく屋上デッキまで行くのをニヤニヤして見てしまう。うん、旅の気持ちのスタート装置としてはほんとに船っていい仕事をしてくれる。遠く北海道から来た彼は飽きることなく海の写真を撮り、なんにでも興味が湧く彼は鉄のかたまりである船がこうしてたくさんの車と乗客を積んでいるのに進んでいくことをスゲーと言う。


みんな思い思いに過ごしたあとは、誰からの声かけで、デッキで鬼ごっこをスタート。
それはもうみんなバカみたいにはしゃいでいて、今日の夜のミーティングで彼らの振り返りを聞いていたときも、この船に乗った時間が旅のはじまりに大きな何かをもたらしてくれているなと感じた。


小豆島に到着。姫路よりもうひとまわりムッと暑く、山のほうには雲ではなくてモヤがかかっている。今日は今年いちばんの暑さになりそう、とフェリーに乗っていたときに小豆島の友人から電話がかかってきた。


交通量の少ない島に入ったので、先頭を子どもたちに譲る。地図を買うまえにも言っていたこと。これは誰かについていく旅ではなく、自分たちで考えて行き先を決めていく旅だよという言葉が効いていたのか、とにかく先頭になった子が一生懸命に走る。最初なんてなかなか後ろのペースや様子を把握しながら走ることなんてできない、みんなが一生懸命だから。


そして登り坂の勾配があがると、もともと彼らの持っている体力の差が出てくる。
ペダルがおぼつかなくなる子、ギアを軽くするけれど回転数が足りなくてじりじり引き離されていく子、そりゃそうだ、テントから着替えから全部自分の自転車に取り付けているんだから大変で当然。こうして書けるようになった僕は前よりももう少し大きな視点で彼らのことを見られるようになったのかもしれない。


いくつかの峠をこえて、ジリジリと体力を削られ、だんだんとため息のようなものが出そうになってきたタイミングで今日彼らが目指していた浜にたどり着いた。そしてそこには電話してくださった中多さん。子どもたちのために、凍らせたジュースとお菓子を持って待っていてくださった。子どもたちの緊張も含めて、疲れが一気に出てフニャッとなるタイミング。そりゃそうだよな。朝から気を張りっぱなしでいたんだもの。


簡単にテント場を決められると思ったいたけれど、キャンプ禁止の看板があり2箇所断念。テントの場所は妥協しても、お風呂こそは!とあてにしていたお風呂もCLOSEDの看板。

子どもたちに報告するたびにすまんなぁという気持ちになるがこれも旅。最後は地元のご家族に教えてもらった公園で蚊の大群にいーッとなりながらもテントを張ることができた。

そして中多さんは、夜には自家製の素麺に冷や麦を湯がいて、おつゆと一緒に持ってきてくださった。みんなで美味しい美味しいとニコニコしながら賑やかな夕食。ほんとに初日からたくさんいただいてしまいました。中多さんほんとにありがとうございました。


はじめての夜のミーティング。
仲良くなれてよかった。
昨日は緊張しっぱなしだった。
大変だったけれどいい1日だと思った。


それぞれの言葉で生まれる今日という姿。等身大の彼らがその言葉のなかにいてくれてよかった。
まだまだ課題や目的を持つよりも、今日という1日をとりあえず無事に終えられたという安堵のほうが大きかっただろう。

最初は7時?半?と話していた彼らが、春の旅の起床、出発時間を聞いてやべ!となったのか彼らは明日5時半起き、6時出発を目指すそうだ。愛知の彼は、最初から早くしようと譲らなかった。きっとゴールをまっすぐにイメージしてきたんだろうなと思う。


まだまだしんどいこと、億劫なことのほうが多い段階だろうけど、そのひとつひとつの自分たちで決めてこなしていくことの積み重ねがきっと彼らにもたらすものは大きいはずだ。はい、おつかれさまでした。さすがに僕も寝落ちしそう。おやすみなさい。

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西川 昌徳(にしかわ まさのり)
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