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【開催報告】1/26(日)20時~おいしい未来をつくる読書会 #7 『世界の食卓から社会が見える 第1章と第2章』岡根谷実里(著)
みなさん、こんにちは!
食を通じて人・地域・地球とつながり、持続可能な循環を創り出すことを目的に活動するEarthful(アースフル)@earthful_japanです。
Earthful(アースフル)は毎月『おいしい未来をつくる読書会』というオンライン読書会を開催しています。
この読書会では、1回の読書会で1冊の課題本を読み、それをもとにみんなでディスカッションをし、参加者との相互の学びを通して、課題本のテーマを深堀りしていきます。課題本は、食・地球環境・健康・平和・人との繋がりに関する本を幅広く取り上げる予定です。
今回の課題本は、世界の台所探検家として活躍されている岡根谷実里さんの著書『世界の食卓から社会が見える』の第1章と第2章でした。
岡根谷実里さんは、現在は、オランダのライデン大学(オランダ)で文化人類学を勉強されています。
「世界の食を学ぶ」City Of YokohamaのYouTubeの紹介
冒頭では、Earthfulから、本の簡単なサマリーを紹介します。
「簡単な」と書いていますが、私たちはこの10分間のサマリータイムで、次のみなさんとのディスカッションを盛り上げるべく、一生懸命準備しています。
それでは、以下に、ディスカッションの内容を取りまとめます。
第1章「食と政治」でのディスカッション
日本の食事情は変化について話題が上りました。お米よりもパンの消費が増加していること、学校給食でもパンが増えていること、また、最近の子どもたちが小柄になり、大人も痩せてきているという指摘もありました。
こうした背景には、海外からの小麦の流入があるのかもしれません。課題本で紹介されていたように、スーダンでは40年前からパンの消費が増えており、日本も海外の小麦に依存する傾向が強まっています。一方、日本のお米は海外で人気があり、輸出が増加する一方で、国内流通が後回しにされる懸念もあげられました。また、アメリカから日本米に近い品種が輸入され、安いお米を求めて、日本の市場に影響を与えているとの話題もありました。飲食業界ではコスト面から安価な米を使わざるを得ず、高価な国産米よりも安価なパンや輸入米に流れる人が増えていると考えられます。結果として、日本の農家が苦境に立たされる可能性も指摘されました。また、日本はアメリカ産の小麦に依存しており、輸入制限がかかると食料供給が不安定になるかもしれません。私たちの主食が他国に乗っ取られてしまったら・・・こんな恐ろしいことはないなと、主食のコメの話題で盛り上がりました。
また、課題本でも紹介されている通り、技能実習生制度の見直しが必要だと議論しました。日本の農業が衰退すると、将来的にはスーパーで野菜を買うことが難しくなる可能性も考えられます。
このような背景を考えて、日常の豊かさを損なわない範囲で、少しずつ食生活を見直していくことが重要かもしれません。食卓の向こう側まで思いを馳せて食事を選択していくことが私たちが毎日できるアクションだと改めて思いました。
こうした課題に対して、いずみ市では有機米の買い上げを進めています。また、参加者が、地域のブックカフェにて、地元食材を使った食事を提供し、産地を明示することで意識向上に貢献している取り組みも紹介されました。地元農家の野菜ボックス購入など、地域の食材を活用する動きが広がれば、食の未来を変える可能性もあるのではないでしょうか。
第2章「食と宗教」でのディスカッション
今、インバウンドの影響で、日本でも食の多様性について考える機会が増えています。日本では宗教的な食の制限があると、それを言うことに気まずさを感じることがありますが、インドネシアのマクドナルドやペッパーランチではハラル対応をしており、イスラム教徒も安心して食事ができる環境が整っているそうです。しかし、日本でもハラルフードの普及が始まっています。宮城県ではお肉屋さんがハラル認証を取得し、イスラム圏の人々が増える中で対応を進めているとの事例の紹介もありました。
アメリカに滞在されていた方からは、アメリカでは食の多様性が前提となったパーティー文化が根付いており、異なる宗教や価値観を尊重しながら食を楽しむ姿勢が見られたとのことでした。こうした背景には、教育の影響が大きいのかもしれません。アメリカでは、子どもの頃から食の選択肢について学ぶ機会が多く、ベジタリアンやヴィーガンになることも珍しくはありません。一方で、日本では様々な国の食事が食べられるにも関わらず、食の背景を知る機会が少なく、選択肢が狭まっているという指摘もありました。
また、食の制限は単に宗教や文化だけでなく、環境問題とも関わっていることに課題本から気づきを得ることができました。地域の食文化を守るために食材を選ぶことは、持続可能な社会につながるのではないでしょうか?という意見もありました。また、現代社会において、新たな「食戒律」が必要なのかもしれません。これは、環境をより破壊する食事、人権侵害に繋がる食事を規制するということです。人にも地球にも優しいごはん「プラネタリーヘルスダイエット」が提言するように私たちはもう、好きなものを好きなだけ食べるという生活ではなく、この地球に生きる一員として、自覚をもった食の選択が求められているのも事実です。
さらに、労働時間と食の豊かさの関係についても話題に上りました。忙しさから選択肢が狭まり、本当に自分が食べたいものを選べていないのではないか、という意見もありました。実際に、ライフスタイルを変えることで食の楽しみ方が広がる可能性がありますね!
地域では、こうした課題に向き合う動きも生まれています。例えば、参加者からの取り組み紹介では、匝瑳市のカフェでは地域食材を活用し、地元の人々が安心して食事を楽しめる環境を提供しています。その参加者は、春からキッチンカーを導入し、買い物が困難な人々へ食事を届ける取り組みも始まる予定とのことでした。
食の多様性を尊重し、持続可能な食文化を築くために、私たち一人ひとりがもっと日々の食事を意識して選択することが必要なのだと思います。
まとめのグラレコ
前々回からの取り組みとして、みなさんの意見を取りまとめたグラレコにも挑戦してます!
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次回のおいしい未来をつくる読書会
今回紹介できなかった内容もたくさんあります。
面白そう!みんなで、私たちの食について話し合いたい!という方は、ぜひ、おいしい未来をつくる読書会にご参加ください。
次回は、2/22(土)20時より開催で、今回の課題本と同じ岡根谷実里さんの『世界の食卓から社会が見える』の第3章と第4章を取り上げます。
ぜひ、ご参加お待ちしております!