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元中国政府高官、「我らがロシアを見捨てることはない」(遠藤誉氏直接取材)

これは記事の主要箇所抜粋です。全文は以下へ。

抜粋

◆元中国政府高官を直撃取材_ロシア軍苦戦で習近平の対ロシア戦略は変わったか?

そこで、もう相当に高齢の、元中国政府高官を直撃取材する決心をした。

メールは全て検閲されているだろうことは分かっているし、北京のこの古い友人は、私に「しばらくは中国に来ない方が身のためだろう」と忠告してくれた人であり、「いつもデリケートな問題(政治問題)を聞いてくるので、そろそろメールを出すのをやめてくれ」と、言いにくいことを言ってしまった人物でもある。

それでもと、スマホから連絡したところ、受けてくれた。

ともかく「ロシア軍苦戦で習近平の対ロシア戦略は変わったか?」、それだけ答えてくれればいいので、教えてくれと、切羽詰まって頼んだ。

すると、久々の音信に喜び、まるで堰を切ったように、一気に思いを吐き出してくれた。Q&Aの形ではあったが、もう分類するのもまどろこしく、長くもなるので、彼の回答を順不同で羅列する。

一、習近平の対ロシア戦略は微塵も変わらない。そもそも、友人が窮地に陥っているときに見捨てるようなことをしたら、それは必ず本人に跳ね返ってくる。これは人類の原理だ。中露はともに、アメリカによって制裁を受けている国だ。ロシアを支えてこそ、中国の力が温存されるのであり、もしロシアを見捨てたら、それは中国の弱体化にもつながる。中国は絶対に、そのような愚かなことはしない。

二、中国は発展途上国を率いている大国だ。彼らは国連における対露非難決議に関しても、アメリカからの制裁に関しても、中国と同じ立場に立って否定してくれた。だというのに、ロシアが苦戦しているからと言って中国が動揺したら、中国を信じてついてきてくれている発展途上国はどうなるのか。そのような無責任なことをしたら、中国は終わる。したがって習近平の対ロシア戦略は、絶対に揺るがない。

三、ただし、習近平は最初から、ロシアの軍事行動に関して賛同の意を表していない。「反対だ」というストレートな言葉は使ってないが、「賛成ではない」という意思表明は最初からしている。たとえば2月25日、ロシアが軍事侵攻をした翌日に習近平はプーチンと電話会談をしたが、そのときに習近平はプーチンに「話し合いによる解決を」とストレートに言っている。だからこそ2月28日からウクライナとロシアの間の停戦交渉が始まったじゃないか。

四、ゼレンスキーも途中で「NATO加盟を諦める」と表明したので、停戦交渉がまとまり始めたら、突然、アメリカがウクライナに対する激しい軍事支援を始めて、停戦を阻止する方向に動き始めた。アメリカは停戦して欲しくないのだ。ロシアを叩き潰すまで戦いを続けたい。

五、トランプはNATOなど要らないと主張して、NATOを脱退しようとさえした。しかしバイデンは逆だ。NATOを使って世界制覇を続けていたい。バイデンはNATOを使って世界各地で戦争を吹っ掛けていたいのだ。

六、実は中国とウクライナは友好的で、多くの中国人はウクライナが好きで、紛争が始まった最初のころは、ウクライナを応援する人とロシアを応援する人が五分五分だった時期さえある。ところがアメリカが軍事支援を強化し始めてから、中国の民心は突然変わってきた。ウクライナの味方をしているのがアメリカなら、ウクライナもアメリカを同じように中国にとっては「敵」になる。

七、アメリカは自分よりも上に出る国を潰したいという基本的な方針がある、日本だって、かつて半導体は世界一で、アメリカの上を行っていた時期があった。中国人はみんな日本に憧れたものだ。ところがアメリカは、同盟国の日本を、半導体が強いからという理由で叩きのめしたじゃないか。忘れたのか。忘れてないだろう?いま日本の半導体がダメになったのはアメリカのせいで、韓国や台湾が強くなっていった。

八、それと同じことで、アメリカはロシアと中国を潰したいのだ。ロシアの軍事力と中国の経済力を叩きのめしたい。ロシアの次は中国であることを、中国は知っている。しかし忘れないでほしい。中国はロシアではない。ソ連はアメリカの手に乗って滅んだが、中国は滅びなかった。今回も同じだ。中国はそんなに愚かではない。アメリカの手には乗らない。

九、高玉生が何を言ったか、誰も気にしてない。いろんな意見があるのは良いことで、彼の言論もCIF30の公式ウェブサイトから削除されただけで、中国の他のウェブサイトにはいくらでも転載されている。14億人の内の一人が、「ロシアは惨敗する」と言ったからって、それが何だというのか。彼は中央には如何なる力も持っていない退官した高齢の公務員に過ぎない。元ウクライナ大使だからと言って海外が特別視するのは適切でない(筆者注:そう言えば日本にも、高玉生とピッタリ同じく2005年からウクライナ大使になっておられた方もいるようで、たしかに元ウクライナ大使だったからということで特別視するのは適切でないかもしれない)。ただ、高玉生は最後に「ロシアなどいくつかの国が」と、「など」を付けたのは不見識だろう。

十、最後に言っておくが、私自身、ロシアの軍事侵攻には反対だ。賛成していない。バイデンやNATOのやり方は悪辣だが、しかし、それでも、ロシアには他の選択があったはずだ。だからと言って、私はロシアを支援しないわけではない。ロシアが潰されないように支援する。それは中央の姿勢に一致していると私は思っている。

以上だ。

抜粋終わり