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アースバッグ工法とは?
アースバッグ工法とはアメリカのカリフォルニア州から日本にやってきた新しい建築工法です。
土を主材とし、消石灰や砂などを混合した素材を、袋の中に詰めながら積み上げて構造を作っていきます。
その積み上げ方や利用方法は多岐に渡り、ドームハウスはもちろん、ベンチや階段、花壇や塀など様々な構造を作成することができます。
皆さんもSNSなどで丸くて不思議な形をしたお家を見かけたことがあるんじゃないでしょうか。
その中のいくつかは、もしかしたらアースバッグ工法で作った「アースバッグハウス」かもしれませんね。
そんなアースバッグ工法で作られたアースバッグハウスにはどんな魅力があるのでしょうか?
アースバッグ工法の魅力
1、丸くて角のない、ファンタジックで不思議なデザイン。
これに関しては写真を見ていただくのが一番早いでしょう。
カラフルで様々で、豊かなデザインをご覧ください。
経験を積んでいけば自由にできることが増えていき、自分の思う理想のデザインに近づけていくことができますよ。
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2、セルフビルディングで、自らの手で作成する喜びを。
セルフビルディングやものづくりの経験があると、建物や造形物に関する視点が大きく変わります。
家や構造物を見た時、こんな疑問が不思議と湧いてきます。
「いったいこれは何でできていて、どんな作り方で作ったんだろう?」
こうした疑問はとても大切です。
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なぜなら、その一つ一つに必ず人が関わっているからなのです。
セルフビルディングや、自らものづくりをする、ということは、普段目に見えない、しかし重要な仕事をしている人や、取り組む気持ちに目を向けるということではないでしょうか。
それに、普段何気なく触ったり踏んだりしている素材を扱うということは、経験さえ積めば同じものでなくとも、近いものが作れる日が来る、ということでもあります。
何より、セルフビルディングの面白さは、自分で作成したものがこの先も残っていくということです。
それらは、取り組む人の人生をきっと豊かなものにしてくれる要素になるでしょう。
3、一つの事を目指して、人と人とが繋がっていく環境を作れる。
アースバッグ工法の現場には、それはもう様々な人が集まってきます。
老若男女関わらず、建築の専門家もいれば、工具すらあまり触ったことがない人、奥さんから言われてきた人、高校生、大学生、ずっとものづくりに関わってきた人、関わってこなかった人、音楽家、料理人、服屋、鳥、けものと、多様性を絵に描いたような集まり方をしています。
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鳥やけものはもちろん冗談ですが、今まで普通に過ごしていたら関わってこなかった人たちと関わることができる。それは、違う価値観を共有できるということです。
一人では思ってもみなっかった面白さ、楽しさ、そして豊かさを受け取ることができるのも、この「人の集まる現場」あってのことではないでしょうか。
4、シェルターや避難所のように利用できる堅牢性。
日本には様々な災害がありますが、地震については皆さんの心配もひとしおなのではないでしょうか。
では、地震とアースバッグハウスの相性はどれほどなのでしょう?
アースバッグハウスを強固に作る時には「カテナリー曲線」という、各部材に均等に重力が掛かることで強度を増す形を目指して作ります。
ガウディの建築にも使われ、身近な例ではめがね橋などの橋梁にも利用されています。
アースバッグ工法では、そのカテナリー曲線を使った立体的なドーム作成を基本としています。
アースバッグハウスは2015年のネパールの震災(マグニチュード7.5)で耐えたとされ、日本でも2016年4月に起きた熊本の地震(マグニチュード6.5~7)をアースバッグドームが耐え抜いた例があります。
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アースバッグ工法と地震とは相性は良いとしておきたいところですが、どれほど強固なものを作ろうとも災害に対しては絶対というものはありません。
これからもより強くアースバッグドームを作っていく必要があるでしょう。
5、サウナを作ってみよう。蓄熱効果で「サウナ性」抜群!
最近流行している「サウナ」をアースバッグハウスで作ってみると、どうなるでしょうか?
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サウナはしっかりと温まることが重要な施設です。
アースバッグハウスドーム内でストーブをつけてロウリュをしてみると、上に登った蒸気がドームの曲線に沿って降りてきます。
これが普段熱が触れにくい肩や背中にまで熱が届き、心地よいのです。全身をくまなく温めてくれるという点に関して、こうした良い形状はなかなかないでしょう。
加えて、土でできた構造体に熱が溜まっていくと、それ自体が輻射熱を発するようになります。熱が逃げにくく、中を保温してくれます。
つまり土製の窯に入って蒸されているようなものですね。
意外な使い方の一つとして、サウナを目指して作るというのも良いでしょう。
6、先の世代の事を考え、選択できる素材で。
アースバッグ工法では制作される場所により、混合するものは様々です。
海外ではセメントを混合土に混ぜ、バッグに詰めて固める方法などが模索されています。
そして、よりサスティナビリティの高い方法の一つとして、日本の伝統工法にもある土の硬化方法「三和土(たたき)」を使う方法も考案されました。
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赤土(現地の土)、消石灰、海水の三つを混ぜ、叩き締めて固める方法で、日本の風土とも相性がよく、地産の土を利用することができます。
もちろんそれだけが正解というわけではありません。
しかし、状況や用途、場所に応じて「様々な素材を選択できる」ことが、アースバッグ工法の柔軟で魅力的な部分の一つと言えるでしょう。
7、一度建ててしまえば、ずっと住めるお家に。
1876年、服部長七さんが編み出した「長七たたき」は護岸工事などにも利用され、今日でも現存しているものがあります。
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軽く見積もって100年以上、三和土は現存し続けたということになります。
しっかり作れば長く保つ家ができる、これは「衣、食、住」が人間の重要な要素である限り、大切なことです。
家を作るためには様々な方法がありますが、あえてアースバッグハウスを自分で作成してみる、というのもおもしろい選択ではないでしょうか。
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日本アースバッグ協会ではアースバッグ工法の基礎〜仕上げまでのレクチャーを行なっています。
ワークショップとスクールを熊本西区にて2023年4月15日より開催予定です。
この機会にアースバッグ工法を学んでみたい!という方は、下記のURLから詳細をご確認ください。