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Wonder Together 2024年8月


朝からじりじり太陽が照る畦畑、
でも畦畑公民館の中を通り抜ける風はとても爽やかで癒されます。

今月は私が尊敬するバーテンダーの友人
佐野結一さんをお招きする回でした。
彼とは何度か仕事やコラボレーションイベントをご一緒したことがあるのですが、Earth to Tableを始めるキッカケ/影響をいただいた人でもあります。

春先、
今年度のワンダーどこかの月に参加していただけないかと打診をした時から、快いお返事をいただき、そしてこの活動にとても共感してくださっていた心強い存在でもあります。

何度か一緒にソヤさんへ足を運び、打ち合わせを重ねながら
当日のイメージを膨らませていました。

毎回、畑へ向かう前のはじまりの時間
今回はいつもの1階ではなく当時の小学校(現公民館)の教室が残っている2階でスタート。

子どもたちが到着する前にソヤさんの畑で朝収穫させていただいたものを使ったカクテル2種(トマトと半白胡瓜)を子どもたちにまず飲んでもらい、その後「自分が作る1杯」をどんな味にしたいか、
畑にあるどんなもので飾りたいかというイメージを膨らませてもらう意図がありました。

結一さんが目の前でシェイカーを振って用意してくださった
カクテルグラスに入ったモクテル(ノンアルコールのカクテルドリンク)。
普段あまり目にしない飲み物を目の前に、少し緊張気味の子どもたち、
なかなか一口に踏み切りません。

「何が入っているかわからないから怖い・・・!」
という声も。

結一さんが、
「そうだよね~ちょっとびっくりするよね。
みんなジュースは好き?これはジュースと同じような飲み物だけど、
実はソヤさんの畑にあるもので作ったものです。何の味がするかな?」

恐る恐る一口飲んでみて・・・

「あ、トマトの味がする!」
「美味しい!」

「この花は何?食べられる?」

1杯目に飾られていたオクラの花
「これ見たことがあるかな?今畑で育っている野菜のお花なんだけど・・・」
「茄子の花?」
「ちょっとねばねばしていて・・・」
「あ!オクラ?」

オクラの花を食べたことがある人はいませんでしたが
それぞれ口にしながら初めての味や食感を冒険している様子

「一口だけだと味はあまりしないけど
花びらを丸ごと食べると少し味もする!
しかもオクラみたいなねばねばも・・」
「ほんとだ!!」

続いて出していただいた半白胡瓜のカクテル
こちらもそれぞれ様々なことを感じている様子。

トマトの皮をくるくるっと丸めてピンで突き刺したものなど
結一さんのユニークな発想から生まれた飾り付けに子どもたちは興味津々。

これ美味しい!と感じること
私はもう少しすっぱい味が好きかも!と感じること
ワンダーではどんな時も自分がどう感じるか?ということに
耳を澄ませ心を傾けることを尊重し合える空間を創ることを目指しています。

「では、今日はこの後作る自分の1杯のモクテルを
どんな味に、どんなもので飾りたいか、考えながら畑へ向かいましょう!」

今回も畑へ向かう道中に出逢う様々なものに子どもたちが足を止めワンダーをめぐらせます。

朴葉寿司の回で食べられる野草/野花を覚えていた子どもたちは
シロツメクサのお花やクローバーを見つけて
「あ、これも使えるかな?」と想像をめぐらせています。

ソヤ畑の手前に花を咲かせていた葛の茂み。
去年も同じ場所で葛の花のにおいをかぎましたが
今回は蜜を吸ってみたり、手に取ってみる子どもたち。

「あれ?ブドウの味がする!」
「かわいい!」
「おいしい!」
「このお花少しとりたい!」

少し高い場所に咲いている花は手が届くように
葛の蔓を引っ張ってとります。

そんなこんなでソヤ畑に到着。
今回も半白胡瓜のアーチの前でゆうきくんと恵美さんが迎えてくださいました。
はじまりの時間に結一さんが作ってくださったモクテルの話もしながら
今日も畑にお邪魔しますという気持ちで、
きゅうりのアーチからスタート。

前月と比べると明らかに様子が変化していた
半白胡瓜たち。
種を残す姿の大きく茶色オレンジ色になったきゅうりもアーチにぶらさがっています。

今日も一人一本、
いいな!と思う半白胡瓜を
とらせていただきます。
小さな赤ちゃんきゅうり、
どっしりした形のきゅうり、
すっとした形のきゅうり、
くにゅっと曲がったきゅうり。

くにゅっと曲がったきゅうりを選んだ人は
それを自分の手首にかけていました。
半白胡瓜ブレスレット!

その後はそれぞれがモクテルの飾りに使いたいものを
畑の中で探させてもらいます。

オクラの花、ミントの花、
ハルジオンの花・・・

鈴ピーマンの花もかわいいから
もしよかったらどうぞ
と鈴ピーマンのお花を1つくれたゆうきくん。

花びらを一枚ずつわけて、
味見をしてもらい
使いたい人は1つ収穫させてもらうことに。

鈴ピーマンの畑では恵美さんにどのお花をとってもいいかを聞きます。
お花の後に実がつくということも知ったうえで
貴重なお花を1人1つ摘ませてもらいました。

そして今回の畑の時間では
5月に種を蒔いたとうもろこしの収穫
種まきの時に居なかったメンバーもいますが
あのとうもろこしの種一粒一粒から変遷していったとうもろこしたち
ひげが濃い茶色になったものは皮の中の実が成っていることだと教えてもらい、とうもろこしの畝へ飛び込みます。
次々と収穫をして皮をむいていく子どもたち。
「あ!黄色だった!」
「赤い色のとうもろこし・・!」
種もそうでしたが、様々な色のとうもろこしが皮の中から顔を出します。
白と紫と黄色が入り混じったとうもろこしを見つけた人も。
自然が織りなす色彩の美しさにうっとり見惚れます。

収穫したとうもろこしは各自持ち帰りお家で干してもらうことに
来月のワンダーで持ち寄ってそれをポップコーンにしたり
また来年育てたいとうもろこしは種として残すことも。
来月のワンダーでとうもろこしの一生を皆で振り返りたいと思います。

いつもより少し長い時間滞在させてもらったソヤ畑をあとに、
収穫させてもらった色んな花やお野菜をもって公民館へ帰ります。

そしていよいよ自分の1杯を作る時間に。
結一さんのサポートのもと各自ベースを作りますが
ベースが出来上がったところから味付けは各自がすすめていきます。
全員、ベースに使ったのはトマト。
半白胡瓜を選ぶ人はいませんでしたが
そのまま丸かじりの方が美味しい!という感性もいいなあと思いました。

味付けには、
・去年ワンダーに来てくれたスイス在住モロッコ出身のムニャさんがお土産にくれた高山植物の花びらが入った塩
・ソヤさんのスペアミントで作ったミントシロップ
・結一さんがご自身のカクテルにも使っておられるシュガーケンシロップと岐阜県有機栽培の柚子100%果汁
・飛騨のリンゴジュース

味付けはシンプルなラインアップですが
それぞれ子どもたちの味付けはとても多様なものに。
トマトだけにする人もいれば、
飛騨のリンゴジュースをのばしに使う人も。
塩と柚子の酸味をしっかり効かせた味に仕上げた人。
甘味を重視して仕上げた人。
甘味と酸味のバランスを目指した人。
シェイカーをふり中身をカクテルグラスに注ぐときの
真剣な眼差し。

畑で見つけた思い思いのトッピングをグラスに飾るときも
そしてそーっとこぼさないように机へ移動して
口をグラスへ近づけてひと口
ぱあっと嬉しそうな顔でふた口
「美味しい~!!」

あっという間に自分の一杯を飲み終えた人
アペリティーヴォを思い浮かべるような雰囲気で
他の人たちがシェイカーをふりながら作っている姿を眺めながら
ゆっくり一杯を味わっている人

バーテンダーの結一さんと子どもたちとそして畑の色んな植物・野菜たちと創り上げた一日限りの「畦畑BAR」
本当に楽しい時間でした。

自分で作った唯一無二のモクテル
そして5月から追ってきたとうもろこしの一生
今月も一瞬一瞬に色んなワンダーが溢れた時間だったことを
最後の振り返りくじびきで子どもたちの感想を聞きながら感じ、
私自身も驚きや発見そして楽しさや喜びで心が満たされるような気持ちになりました。

来月のワンダーはちょうど秋分のころに。
きっと秋が深まっている畦畑で子どもたちと時間を過ごすことが楽しみです。

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