#22 「石との出会い」に思うこと
「宝石」というものに興味を持ち、それを生涯の職業にしようと思ったきっかけが何だったのか、ふと思い返してみました。
自分が「石」と初めて出会ったのは、何がきっかけだっただろう。
皆さんは、初めての「宝石」との出会いは何(いつ)でしたか?
わたしは田舎育ちなので、通常の生活で宝石に触れる子供時代ではなかったと記憶しています。
目にする宝石は母親が宝石箱にしまっている婚約指輪の小さなダイヤモンドや、色あせたサンゴ、ちょっとひび割れたオパールとか・・・だったかな。
でも、それすらも最初の出会いではなかったと思います。
みなさん、「蝋石(ろうせき)」って、覚えていますか?
道路とかに、「ケン、ケン、パッ」とか遊ぶときに丸を書く時に使った、道路に落ちていた白い石のかけらです。
私は子供の頃、友人たちとこの道路に字の書ける白い石を「蝋石(ろうせき)」と呼んでいましたが、今考えてみるとその種類は1つではありませんでした。
ちょっと透明度があって描きにくい白い石と、すごく柔らかくて濃く描ける完全に不透明の白い石の2種類がありました。
今は整備されてそういう石すら落ちていない場所になってしまいましたが、思い返すと
○少し透明感を感じる白い石→長石系(フェルドスパー)
○完全に不透明な柔らかい白い石→タルク(滑石・硬度1)やカオリンが多い岩石系
だったのかなと思います。
子供の頃はその石に違いがあることすら分からないので、その描き易さで
「今日はこの石、ハズレだね」
「この石、描きやすい~」
なんて話していた記憶があります。
そして、その蝋石を使って描いていたときに必ず目に入る、アスファルトの「キラキラ」がとても気になって、それをずっと観察していたときもありました。
白、グレー、黒、金色・・・。
私の子供の頃はアスファルトの目がもっと粗くて、近づいてみるといろいろな色の粒が見えた記憶です。
アスファルトが何でできているかも分からないので、金色のキラキラを見つけると
「金じゃない!?」
なんて友人とはしゃいだり・・・。
でも、そもそも"金”というものの存在自体、最初はどこで知ったのかな。
そしてもう少し成長すると、「化石探し」に夢中になりました。
私の地元は大きな化石が出たことでちょっとだけ有名で、恐らくそのころの子供たちで化石探しをやったことが無い子はいなかったのではないかなと思います。
地層がむき出しの崖にいっては、スコップや落ちている尖った石で地層を掘り掘りして、化石らしき物を見つけては家に持って帰ってワクワクしながら飽きもせずに眺めていました(貝の化石は結構出る)。
こうやって思い返すと、常に地面に近いところで子供時代を過ごしていたんだなと改めて思います。
でも、記憶の中に宝石は出てこない。
強いて言うなら、母親のホワイトオパールが神秘的で「欲しいな」と思っていたことくらい。でも、そもそもその時は宝石が地面から出てくるものだという認識すらなかったと思うし・・・。うーん……
石と化石が好きな子供時代でした。
中学生になって、高校生になって、だんだんと自分の進路を見つめたときに、「化石」では食べていくのは難しいと分かってきます。
「化石」は、自分は職業にできない(能力が足りない)。
そこで、
「宝石屋さんに勤めれば、ずっと"石”と一緒にいられる!」
と思ったのだと思います。
最初に目指したのは「彫金師」というクリエイターの道でしたが、熟考した結果、わたしはどちらかというと"ジュエリー”よりも”宝石”の方に興味があるということを思い出しました。(←色々と回り道した)
そして、宝石鑑定(鑑別)・販売・加工(リフォーム)という宝石・ジュエリーの何でも屋さん的な、今に落ち着きました。
「好きを仕事にしたい」って、すごく難しい。
では今、自分がやっていることが一番やりたかったことかと言われると、ちょっと道はズレている。
でも、まだ、そのズレた道をちょっとずつ、ほんのちょっとずつ微調整しながら、夢を追っている状態なのだと思います。
どなたかが言っていた、
「良い人生だったかどうかは、死ぬときに分かる」
という言葉、すごく最近思い出します。
「石」に魅了され、「石」に翻弄され、「石」だけを追ってきたこの人生。
これからも、適度に「宝石」について語っていきたいと改めて思います(^^)
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