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馬と家族とリーダーシップ

3頭の馬が、それぞれ草を食んだりしてそこにいました。

夏休み、土曜の午後。

曇り予報だったのに青空が広がり、太陽の光で緑が一層濃く感じて、丘に吹く風が、北国の短い夏を歓迎しているように感じました。

本を読んでから、いつか体験してみたいと興味がふつふつと湧き、その想いが叶うことにちょっと興奮しながら牧場に入ると、3頭の馬が静かに出迎えてくれました。

10代になった子供達との過ごす時間は、長さも中身も変化していて、家族で一緒に新しい体験をする、ということは意識して作らないとなくなっていくなぁと、どこかに寂しさも感じていたかもしれません。

日々それぞれが忙しく、時々何か大事なことを見逃しているような気がして、生きるってこれでいいんだっけと、心のどこかで疑問に思っていたり。

自分が新しい体験をしたいと思ったのはもちろんあるけれど、そんな思いにも突き動かされて、家族を巻き込んで、牧場に訪れたのでした。

馬との時間

頭ではいろいろ想像していたけれど、馬との時間を体験する。

馬とこんなに近く長く一緒にいたことはもちろん初めてで、恐る恐る触れることから。
触ったりなでたり、その大きな瞳を見つめてみたり。

自分がだいぶ緊張していたので、その緊張も馬に伝わっていたと思います。

無邪気に馬と触れ合うように見える娘たちと、しばらく緊張してる自分。

どう見られるのか無意識に考えだす自分。
うまくやらなきゃと、馬を怒らせてはいけないとなぜか考える自分。

馬が怒るかもしれない思ったのは自分の思考で、馬は心地良いのかもしれないし、遊びたかったかもしれない、と振り返って思います。

信頼関係を築きたいけれど、とりあえず知識も経験も何もないので、馬を見て、耳がどんな風に動いたかなとか、首をもたげたなとか、瞼が下がってきたなとか、体温を感じながら触れることで、向き合ってみました。

素直に馬と触れ合う娘


お互いに安心するから信頼できる

馬に寄りかかって身体を委ねてみると、微動だにせずに支えてくれたことに感動しながら、同時に心がほぐれていくから不思議です。

言葉がない関係だからこそ、自分の身体でお互いに安心していることを知る。そこには嘘がたぶんなくて、だから心地良いと感じたのかもしれません。

それぞれが馬との距離を縮めることができたように感じたところで、

一緒に歩く。
馬と歩くのがこんなに難しいなんて。

ついつい声をかけてしまうけれど、当然言葉は通じないから状況は変わらない。

しばらく膠着状態で、どうやって一緒に歩けたのか覚えていないくらい。

でもどこかのポイントで本気で歩きたいという意志を、馬を触り、手綱を通しながら伝えていったように思います。

馬の意志も自分なりに感じながら、なんとか2周できたときの達成感といったら。

後日、何気ない会話からわかったのが、旦那さんは馬の身体のいろんな部分を触って、目線を変えるように誘導するのが良いかもしれないと自分なりに実践してみていたそう。精神論よりも実践的な特性がこんなところにも!と、考えていることはほんとに人それぞれ違うのだなぁとあらためて気づきました。

そこからの牧場の外へ、馬と散歩をしたひとときは、馬、家族とゆっくり流れる時間、夏空、緑、心地良い風とも相まってなんとも幸せな時間でした。

道の草を食う

それぞれのリーダーシップ

そして馬に乗りたいという娘の声からその体験も。

馬も自分達も落ち着いて安心を作りながら、馬に自分の身を預けます。

宙に浮いた自分の足の解放感を感じた時、馬の筋肉もふっと緩んだように感じて、その感覚がとても印象的でした。

馬具はなく、背骨に感じた馬の振動は、優しく力強く。

身体が体験を記憶しているのを、今でもはっきりと感じるのでした。

こうしたいという娘の素直な欲求から全ては始まり、それはひとりでは成し得ないから、馬と人が調和しながら、一緒に作っていく。

言葉はないから感覚で、観察しながら、尊重しながら、希望を実現するには。

自分の意志を真ん中に、今何を感じて、どんな行動をしたいのか、心も身体もエネルギーをそこに集中する。

そんなふうに、その場をつくる存在と向き合うことができた時間の尊さに感謝しながら、大げさかもしれないけれど、今ここに生きているなぁと実感したのでした。

そこには、目に見えないけれど、損なわれたりしないもの、信頼があって、馬とも、家族はもちろん、他者との関係の中にも。

信頼があるから、自分の意志を伝えて実現できる。そうやって、より作っていきたい世界に近づけたらいいなと思ったのでした。

子供達や旦那さんが感じたことは、また全然違いそうです。
それでよくて、いつかどこかでこの夏の一日の記憶が、それぞれを優しく包んでいたら嬉しいなと思います。

青空と緑が濃い丘で

自然から学ぶリーダーシップ

訪れた札幌郊外にあるピリカの丘牧場では、自然から学ぶNature Dialogue Programを提供されていて、馬と関係性を育む中で自分を見つめる体験をすることができます。

知人に勧められて出会った本、ナチュラル・リーダーシップがこの体験の始まりでした。

リーダーというと組織やチームをイメージしやすいですが、仕事などに限ったではなく、

自分が自分の人生のリーダーだと思えると、息苦しさを感じるよりも、幸せで豊かさを感じられることが増えるのではと、私自身も視点と内面の変化から、世界の見え方が変わることを実感しています。

感性を軸にするリーダーシップの形を言葉で示しながら、そして実際に体験できる形で提供してくださった、この機会に感謝でいっぱいです。

私自身がつくりたい世界、安心した対話を通して、自分に気づくきっかけを育むことができたらと、働く女性をキャリアコンサルやコーチングでサポートしています。

オフィシャルサイトにもお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

あなたが感じる世界が豊に感じられますように

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