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「こちら、〇〇 になります」
仕事で社内外にメールを送信したり、ハンドメイド系でメッセージのやり取りをしたりする際、「自分の言葉遣いは正しいのだろうか?」と、ふと疑問に思うことがある。
20 歳くらいのときまで「腹立たしい」をずーっと「腹ただしい」だと勘違いしており、同級生の女の子に向かって「いや、絶対に '腹ただしい' だよ!」とか言ってしまっていた。
なんの根拠でそんな自信たっぷりなんだよ恥ずかしい (><)
が、この「腹ただしい」、実によくネットで誤謬として見かけるのである。
同様の人がたくさんいることに私もビックリした。
試しに「腹ただしい」で検索してみて欲しい。
比較的、言葉は正しく遣いたいと普段から考えているため、このような勘違いは後で知っていたたまれない気持ちになる。
(なのに何であんなに「腹ただしいが正」! と主張したのか、当時の私が本当に腹立たしい)
「あれ、これでいいんだっけ?」と思ったら、孟子からは「悉く書を信ずれば則ち書無きに如かず」と忠告されそうだが、すぐにネットで調べる。
仕事以外でも、興味を持ったらすぐにネットで調べてしまう (すぐ忘れていることも多々あるが)。
個人的にインターネットによる恩恵は多大なものだと思っていて、インターネット教があったなら入信しているくらいインターネット様々。
「はじめまして」に書いたように、「文字を読んでいたい症候群」のため、ネット上のコラムなんかは格好の餌で、何時間も費やしてしまう。
「Yahoo! 知恵袋」なんかもよく行きあたるので、ついつい何問も読んでしまう。
先日、こんな質問を見かけた。
「レストランで使われる、'こちら、コーヒーになります' ってどういう意味ですか? 日本語としておかしくないですか?」
うろ覚えだし、この記事を探しても見付からないので本当は結構違うかもしれない。
なぜ探しているのかというと、ベストアンサー? に選ばれた人の回答が面白かったからだ。
「(あなた様は当然、世界中のありとあらゆるコーヒーをもちろんお飲みになっているでしょうが、当店では) こちら (が)、コーヒー (という名前で呼んでいるもの) になります」
で、
「こちら、コーヒーになります」
なのだそうだ。
どうしたらこのような発想かつ言い回しをスラスラ (じゃないのかもしれないが) と思い付くことができるのだろう。
個人的に、揶揄した文章を読むのが好きなのでこの回答は気に入ってしまった。
夏目漱石の『吾輩は猫である』では、確か近所の旦那の顔が平らだ平らだということが結構執拗に書かれていた気がする。
極めつきは「春風もああ云う滑かな顔ばかり吹いていたら定めて楽だろう」という件だ。
視点も想像の斜め上だし、褒められているのかバカにされているのかよくわからない。
しかし、面白くて好きな表現だ。
迷亭先生の「トチメンボー」や、寒月君のバイオリンをいつまでも買わない話もくだらなくて好き。
「こちら、コーヒーになります」
は、日本語的には誤りかもしれない。
しかし、この言い方をする人がいなければ、この名答も出てこなかったのだから、正しくない日本語にも一定の価値はある。
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