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バラのこと

 noteを書けないでいる間、憂鬱なことを考えるのから逃げて、ずっとバラについて考えていた。二年前に買ったバラを、そろそろ地植えしようかと思ってテラコッタの鉢から掘り起こしたら、根をコガネムシの幼虫に食われていて、「よくこれで土に刺さっていたな」と思うくらい、樹形に対して寸詰まりな根しか残っていなかった。植え替えてみたが根が食べられすぎていてダメだった。

 バラとクレマチスのつるを絡ませる仕立てにしたいので、別のつるバラを物色していたが、季節的にバラはまだ出ていなかった。仕方なしにネットショップを覗いたが、気が進まないのは、ネットでの植木の配送は1,000円~のものが多いからだ。届けば、植木は特別な配慮のもとに配送されていることがわかるのだけれど、メール便や送料無料に慣れてしまった身には高い。

 バラには各国の王妃や有名人の名前が多く付けられている。その中から、強健で、耐陰性があって、よく香って、花の形が自分好みのものを選びたい。ティファニーという品種が候補にあがったが、ジャクリーヌ・デュ・プレも捨てがたい。

 このジャクリーヌ・デュ・プレは、セミダブル咲きの、ひらひらと開いた白い花弁にほの赤い雄しべが特徴的なバラで、はじめに知った時から憧れのバラだったが、わざわざチェロの名手の名前を冠したバラを選ばなくても、いや、名前にこだわるのもおかしい、などとずっと迷っていた。庭側の事情として、そんなに何本もつるバラばかり買っても植える場所がない。うちの庭はイングリッシュガーデンに統一した仕立てにもしていないから、バラだけ浮いてしまうことにもなりかねないというのもある。大きめの花が咲くつるバラを買う検討をする前に、モッコウバラを既に買ったではないか。別にモッコウバラとつるバラを絡ませたっていいのだけれど。

 今は新苗の予約の季節で、安いと1,000円しないのだけれど、ジャクリーヌ・デュ・プレのお値打ちなのはもう予約を締め切っていて、残りは2,000円以上する株(それでも新苗サイズ)しか売っていない。Amazonのセール期間中だったなあとAmazonを見に行ったら、同じ業者で同じジャクリーヌが600円ほど安く売られていた。でも、配送料は600円高かった。

 つるバラを育てるならまずはこの品種、というピエール・ドゥ・ロンサールというものもあって、楽天で両方買うと4,000円する。レビューの喜びの声が私を誘惑する。

 バラというと、あのバラの香りしかないと思っていたが、スパイシーな香り、ティーの香り、ダマスクの香り、など色々あるらしい。我々が想像するあのバラの香りは、「ダマスクの香り」だそうだ。そもそも、バラにかまけていないでサルナシの棚を作らないといけないが、私は蔓が旺盛に伸びすぎてご近所迷惑になりかねないという噂のサルナシを、そんなに本気で育てるんだろうか。市販のフルーツ用棚は地面から150センチくらいの高さのものが主流なので、もう少し低く仕立てて管理しやすくしたいのだが、そうなるとオーダーメードになるんだろうか。しかし自分で作るのは面倒だし強度に不安がある。どうせ今年実を付けることは考えにくいから、すこし大きめの鉢に植え替えて支柱を立てた。メインになる枝をまっすぐにするのが、若い木を育てる現段階の目標とどこかに書いてあった。以前ならもう少し興味を持って育て方を研究したはずだけれど、買って、素朴に育て方を確認して水をやって栄養剤をやってそれで満足してしまっている。

 バラの方はといえば、結局ジャクリーヌとピエールを両方買った。送料無料になるからだ。植える場所? 今年はとりあえずポットだし。

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紅茶と蜂蜜
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