夏の名残
夏が戻ってきたようだ。
真っ青な空に入道雲が盛り上がって蝉の声が聞こえる。
私は珍しく真昼に自転車を漕いでいた。
一人で出かけるのは久しぶりだった。
なにせ夏休みの約40日間は一人になることは皆無だったから。
幼稚園の母のコーラスサークルの活動に参加しただけで
活動場所はいつも子どもたちを送迎している保育園の園舎だ。
特別なことはひとつもないが、子どもに気を取られることなく自分に集中してひとつのことをやり切るとなんと達成感があるのだろう。
今朝は特に気持ちが不安定だった。
胸につかえるものがあったのに、言葉にもできないまま目の前のやるべきことをなんとかやっつけて子どもを送り届けた。
それがサークル活動後には嘘みたいにとれているから不思議だ。
11月のイベントのためにみんなが同じ方向を向いて真剣に取り組んでいるからかもしれない。
一人では絶対に作り得ない場を作り上げることができるのがコーラスの何よりの醍醐味だ。
4月から7月は力みすぎてうまく行かないことが多かった。
サークル活動もずっと欠席していた。
今思えば自分らしくないことばかりに時間を割いていた。
でもおかげで、やればやるほど元気になる活動でなければ続けられないと知った。
家に辿り着いて仕事を始めようとパソコンを開くも
なかなか汗がひかない。
真夏よりは随分傾いた太陽が
リビングに照りつける。
風も大してなく、蝉の声が聞こえる。
そのうち子どもの「ただいま」という声が聞こえた。
金曜日まで小学校は4時間授業らしい。
夏休みの名残はまだ数日続きそうだ。