【交流戦・観戦ガイド】 最大8対戦も?! 首位楽天に待ち受ける「最大の落とし穴」
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10勝~11勝ラインになる最低ノルマ
明日から始まる交流戦の戦前レビューをお届けしたい。
2年ぶりにパリーグ単独首位で交流戦を迎えた楽天。
2017年に届かなかった「日本一の東北」を達成させるためにも、例年以上の試金石だ。
交流戦は毎年のようにパリーグがセリーグを圧倒する。
そのため、ライバル球団も成績が良い。
なかでも、若鷹軍団は過去7回の優勝・最高勝率を誇る。
今年は交流戦のタイミングで和田、バンデンハークといった実績組がローテへ復帰。
先の首位攻防3連戦ではモイネロを温存する工藤采配があった。
例えば第2戦、1点差に肉薄した直後の7回など投入してもよさそうな場面もあったが、あえて我慢。
その視線の先には、目先の首位攻防の勝敗ではなく、交流戦を見すえているように感じられた。
◎2012年以降 楽天の交流戦成績
若鷹軍団は交流戦の戦い方を知り尽くしているが、楽天も離されないよう、くらいついていきたい。
目安は、2015~2017年にマークした11勝7敗~10勝8敗ラインだ。
勝負どころはオールスター明けの真夏の優勝戦線。
そこで選手のコンディションがガクッと落ちて失速することが例年の夏の風物詩になってしまっている。
今年はそういったことがないよう、交流戦も今季ここまで平石監督が実施してきた『選手のコンディションに配慮しながらの戦い』を採用したい。
投手陣の好投に期待する交流戦
さて、交流戦での楽天の戦い方は、従来型の『投手陣を中心とした失点抑止の戦い』になるはずだ。
今季は西武とともに12球団で1、2位を争う得点力を誇る。
しかし、1試合平均得点4.91の打線も、5/22日本ハム戦(○E5-3F)以降の直近10試合は3.60。
開幕53戦中24度を記録してきた二桁安打も、ここ10試合はわずか1度だけ。
打線の絶好調期は過ぎ去り、ここ10試合、明らかな停滞曲線だった。
それを感じさせないのはJBの個人技に、ここ10試合でQS率70.0%を誇り、1試合平均失点3.40にとどめる投手陣の頑張りだ。
宋家豪など一部に心配な面々はいるが、岸と塩見のローテ復帰で投手陣全体に再び闘志が宿ったかのようで、好投が続く。
とくに対戦打者に占める三振率が素晴らしい。
その前の10試合(5/10~5/21)は16.1%だったそれは、5/22以降の10試合では21.0%。
打者のバットに球を当てさせない最高の結果が増えたことが、失点抑止に大きく貢献している。
投手陣を中心とした守りの野球になるのでは?と予想するものの、打線が息を吹き返す可能性も大いにあると思う。
セリーグ球団は、パリーグのライバル球団と違い、楽天のことをほとんど知らない。
長いペナントレースの中のわずか3週間18試合の交流戦へ向けた敵軍視察や情報収集もおのずと限界がある。
何も知らないセリーグ投手がJBに特攻をかけ、JBが甘い球を有無を言わせず仕留める本塁打量産体勢も期待できそうだ。
一方、敵軍視察や情報収集もおのずと限界がある云々の同じことは楽天にも言える。
交流戦のアキレス腱になる『左腕打てない病』
打線について考察していきたい。
交流戦でネックになるのは、今シーズン最大の懸案事項といえる『vs左投手の成績悪化』だ。
何度もご紹介しているとおり、新生イヌワシ打線は右投手に滅法強くOPS.806を記録する。
一方、左投手にはカラッキシでOPS.579と、左右で歴然の差が開いている。
◎楽天 vs左右投手別 打撃成績
◎楽天 vs左投手 月間打撃成績
5月に入り、左投手成績はサウスポー撃ちの本塁打が飛び出したことで持ち直し、OPSは3月4月.460から5月.682へと復調気配だ。
しかし、左投手打率はようやく2割を少し超えたところ。
右投手と比べるとまだ相当の差異があり、心もとないのも事実なのだ。
交流戦開幕の6/4巨人戦、相手先発は左腕の今村信貴(防御率3.20、1勝0敗、QS率50.0%)で、さっそく初日から『左腕打てない病』は6月も続行するのか?否か?が、試されることになる。
じつは楽天、相手先発の左投手の比率がここまで17.0%と少なかった。
つまり、天敵といえる左腕先発ゲームが少なく済んだ巡り合わせも、今の成績につながっている。
◎パリーグ各球団 相手先発左投手の比率
西武 26.9% (14/52)
ソフトバンク 25.9% (14/54)
日本ハム 22.2% (12/54)
楽天 17.0% (9/53)
ロッテ 15.4% (8/52)
オリックス 13.2% (7/53)
ところがだ、交流戦、ざっくり調べたところ、どうやら18試合中、最大8試合で相手先発左投手になるかもしれないのだ。
各球団、交流戦突入のタイミングでローテを組み替えることもあるだろう。
また、ヤクルトの高橋奎二は結果を残していないので、交流戦ローテから外れる可能性も高い。
そのため、実際このとおりではないと思うが、直前のローテのままだと単純に考えたとき、以下のサウスポーが楽天戦に先発してきそうな気配なのだ。
そのなかには、セリーグの規定投球回で唯一QS100%を記録する今永昇太(DeNA)の名前もある。
◎楽天戦での先発が予想される左投手
◎左投手成績が悪い主要選手4名
過酷な連戦日程が続く。
上記にあげた主要選手は真夏の優勝戦線にも必須になる主力だ。
そのため、相手先発左投手のとき、適宜リフレッシュ休養を設けるのも作戦の1つだと思う。
また、左腕との集中対決は『左腕打てない病』を克服する絶好の機会にもなるはず。
チーム戦略室、先乗りスコアラーから監督、担当コーチ、選手が一丸となって対策を立ててもらいたい。
ここで苦手意識をなくせば、交流戦明けのリーグ戦、若鷹軍団の和田との対戦でも、気後れすることはなくなるはずだ。
右投手キラーの楽天打線が抱える「隠された弱点」
というわけで、交流戦における打線の最大課題は『左腕打てない病』になるのだが、じつは右投の先発投手との対戦でも、懸念材料があるのだ。
今季は右投手に目覚ましい強さをみせている新生イヌワシ打線。
先日も5/22日本ハム戦(○E5-3F)では防御率1.47、リーグ最多タイ5勝をあげている有原から9安打5得点と攻略に成功、5/31ソフトバンク戦(○E3-1H)では今季沢村賞有力候補で5勝負けなしの千賀から3点をあげて土をつけた。
しかし、これらはいずれも、今季2度目の対決だったのだ。
1度目やられた借りを、1度目のデータ分析を徹底して行い、2度目のリベンジに活かしたというわけなのだ。
そう、今季の楽天打線、右投手に強いと言っても、一番強さを発揮するのは、救援右腕のときでOPS.881/打率.302、その次が右投げ先発との今季2度目以降の対戦でOPS.869/打率.289なのだ。
◎楽天打線vs相手先発右投手 対戦数別 打撃成績
逆の見方をすれば、今季初対戦の先発右投手にはOPS.654/打率.227と苦戦気味なのである。
交流戦は18試合の短期決戦だ。
ホーム2連戦+ビジター2連戦の1カード4試合・合計24試合だった昔は、同一先発と2度当たることもあった。
しかし、今は(日本シリーズに出場しない限り)セの先発と2度当たることはない。
交流戦は全て一期一会の初対戦になるわけだ。
つまり、先発右投手との今季初対戦でOPS.654と分の悪い楽天にとって、一期一会の交流戦はネックになる危険性をはらんでいる。
下記表をみると、右投げ先発との初対戦時、なかでも成績悪化するのは打順1巡目。
OPSも打率も急落しているのが確認できる。
◎楽天打線vs相手先発右投手 初対戦時の打撃成績
キーワードは序盤3回の攻防。
同じことは対戦相手にも言えるわけだ。
楽天投手とは今季初対戦ばかり、相手打者もこちらの球筋が分からずに打席に入ってくる。
そんな辛抱の序盤で投手陣が踏ん張りがきることができるか。
相手に先制点を与えずゼロに抑えることができるか。
一方、打線は3回までに先手を取り、味方投手を楽にさせ、早々に試合の主導権を握ることができるか。
ここに尽きるのかなと思っている。
さあ、どうなるか、今年の交流戦。
熱い戦いが続く楽天の挑戦。
その続きを、ぜひ見届けたいと思う。【終】
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