【試合感想文】 4/6西武2-1楽天:緊急事態!打撃の基本ストレートが打てない!!
異様の西武3回戦
143試合を戦う長丁場のペナントレースだ。こういうこともあってもおかしくないのかもしれない。
しかしそれでもちょっと唖然とする西武3回戦になった。
というのは、楽天打線が打てないのだ・・・
ただ単に打てないという話ではない。
打撃の基本球になるストレートを打つことができなかった・・・
今やNPBの球種割合はストレート44.0%である。
多彩な変化球を操る投手が増えていることもあり、ストレート以外の球種が多くなっている。
また、『プロ野球オール写真選手名鑑2023』を参照いただいてもわかるとおり、真っ直ぐは全球種の中でヒット、ホームランにされやすく、空振りを奪いにくい球種である。そりゃあそうだろう。打者は幼少期から最も多くストレートと対峙して練習や実戦に取り組み、技術向上に励んできた。
そういう背景もあり、NPB復帰後の田中将大は真っ直ぐが極端に少なく、昨年は34.8%。本戦ではさらに少なく22.9%だった。そこまで減らしたにもかかわらず、数少ないゾーンに入った真っ直ぐを探しだされ、2回ペイトンに来日1号を被弾したのだ。
2010年6/13由規を超える高頻度
にもかかわらず、ライオンズ先発・松本航はファストボールを70.4%の割合で多投してきた。
もともと松本は真っ直ぐの構成比が多めのタイプ。昨年も56.7%を記録したのだが、その数字すら大きく上回る頻度で、投げすぎでは?と思うほどに真っ直ぐを投げてきた。
相手先発が楽天打線にこれだけ多くの真っ直ぐを投げてきた例は、僕はすぐに2010年6/13Kスタで田中将大に投げ勝ったヤクルトの由規を思い出す。
あのときは捕手・相川亮二が3回まで全球真っ直ぐ配球。4回無死1塁、渡辺直人のときに初めて変化球を投げるという異例の事態。緊急事態宣言下で行われた釜田佳直とのインスタライブで由規本人がベストピッチにあげていた試合だ。それでも、終わってみれば球種割合は速球67.2%、変化球32.8%で、本戦の松本の70.4%は超えなかった。
そう、東北開幕3戦目はそれほど異例な状況だった。
真っ直ぐ偏重の先発・松本もあいまって、ライオンズ投手陣全体でもストレート64.3%を占めるほどだった。(四番手で登板したティノコのツーシームは対象外にしている)
そんなライオンズ投手陣のストレートに対して、楽天打線は21打数3安打、1二塁打、5三振、4四球、打率.143に封じられてしまったのである。(ティノコのツーシームは4打数2安打、1二塁打)
ストレートの対応が後手のイヌワシ打線
ここからは完全に推測だが、おそらく開幕カードに先乗りした西武のスコアラーが集めたデータと、この3連戦の初戦2戦目の分析を踏まえて、西武サイドが『楽天打者が真っ直ぐに上手く対応しきれていない事実』をつかんだのでは?と思うのだ。
実際、本戦の試合前時点で楽天のチーム打率はリーグ5位の.191だった。この数字を分解すると、ストレート.169に対し、それ以外.210。真っ直ぐのほうが打てていなかった。
いっぽう、松本の昨年ストレート被打率.214はリーグ3位。数年前に「ボールが凶器」と騒がれてパテレ行きになるほど速球には自信を持つ右腕である。この2つの要素があわさって、本戦の真っ直ぐ押しのパワーピッチングになったと想像する。
ここで改めて、楽天打者の真っ直ぐの対応を確認してみよう。
西武投手陣の速球と何球対峙し、何球でスイングをかけて、結果はどうだったのか?を表にしてみた。
茂木のらしくない姿
こうしてみると、なかでも6番・茂木栄五郎、7番・山﨑剛、8番・阿部寿樹の下位打線がお手上げ状態だった。
とくに今季初スタメンになった茂木だ。
開幕1軍入りしながらもなかなか出番がなく、前日代打でようやく今季初出場。1軍投手の生きた球を見ることができていないという事情はあるにせよ、この日の栄五郎は真っ直ぐに3打数0安打2三振。
速球12球に対してスイングをかけながらも6球で空振り、とくに・・・(続く)
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