がんの原因について
がんの原因について
今は日本人の2人に1人が「がん」になる時代です。
ちょっと体調が思わしくないので、風邪でも引いたかな?って病院に行ったら
精密検査が必要ですとかいわれて
その結果、「がん」でしたと言われてしまうことがありうるということです。
そこで、
「何で自分が?」
「どうして私なの?」
「なんで?なぜ?何も悪いことしていないのに・・・」
と自問自答を繰り返される方がいらっしゃいます。
多くの方は、これといった特定の原因がなく「がん」ができてしまうので、明確な回答がない問題なのですが、
一方、
「うちはがん家系だから、俺もなると思っていた」とか
「若い頃たばこをたくさん吸ったから、仕方ないよね」というように
ある程度思い当たる節がある方は、比較的早い時期に自分が「がん」になってしまったことを受け入れる印象があります。
また、「がんは遺伝するから、子供達が心配」などのように、自分のことよりもお子さんのことを心配される方もいらっしゃいます。
がんがどういう原因でできてしまうのかを、ある程度知識として持っていた方が、もし自分ががんになってしまったときや家族や友人がなってしまったときに、円滑な対応ができるのではないかと考えましたので、
今回は「がん」ができる原因について少しお話しさせていただきます。
これまでの研究により、日本人では
男性の53%、女性の28%はなんらかの生活習慣や感染が原因で「がん」になったのではとされています。
「がん」になる原因についてもう少し詳しく見ていきます。
・偶然・たまたま・運悪く
男性の53%、女性の28%はなんらかの生活習慣や感染が原因で「がん」になるということは、逆に言うと、男性がん患者さんの47%、女性では72%の方は特定の原因がなく、偶然(運悪く)「がん」にかかってしまったと言えますので、「がん」になる最大の原因は「たまたま運悪く」であるとなります。
たまたまの中でも最も大きな要因は「加齢」、つまり歳をとることとされています。
「がん」は加齢現象の一つとも言えます。
・遺伝について
遺伝するとは、親から子へある特性が引き継がれることで、「がん」も遺伝することがあります。とはいえ、医学的に遺伝が原因とされるがんは、全体の5%程度と考えられています。
なので、「うちはがん家系」という場合の多くは、実際に遺伝したわけではなく、似たような生活習慣(食事など)だったり、加齢だったりががんの原因である場合がほとんどと思われます。
とはいえ、若くしてがんになってしまったり、一人で何回もがんになったり、家族・親戚に特定の種類のがんの方がたくさんいる場合には遺伝の可能性が高まります。
最近は、院内に遺伝カウンセラーと呼ばれる遺伝に詳しい職員さんがいる施設も増えてきていますので、心配な方はぜひご相談ください。
・喫煙(タバコ)について
喫煙(タバコ)は、特に男性がん患者さんのがんの原因として最も多い(約30%)と考えられています。
タバコというと、肺がんのイメージがあると思いますが、肺がん以外にも咽頭がんや食道がん、胃がんや膵臓がんなどなど、多くのがんの原因になることがわかっています。
現在喫煙中の方でも、禁煙することでがんになるリスクを下げることができますので、思い立ったが吉日、是非禁煙をしましょう!
・感染症について
がんの原因として結構多いのが感染症です。
男性では22%、女性では17%ほどが、感染症が原因でがんになったと考えられています。
B型・C型肝炎ウイルスによる肝臓がん
ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん
ヘリコバクター・ピロリによる胃がん
これら3つ以外にもありますが、多くはこの3つが原因です。
肝炎ウイルスに対しては、近年とても有効な薬剤が開発され、治癒率がすこぶる向上していますので、今後肝臓がんは減少していく見込みです。
ヒトパピローマウイルスに対しては、ワクチンがありますが、副作用が取り沙汰されてしまい普及が一時ストップしてしまっているのが残念です。
ヘリコバクター・ピロリもクスリにより除菌することが可能ですので、胃カメラなどの検査で感染していることがわかったら積極的に除菌しましょう!
ということで、がんの原因となる感染症は、対応策も進歩してきており、将来的にはかなり減少してくると考えられています。
・飲酒について
飲酒は咽喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんになるリスクを上げるとされています。特に、少量の飲酒で赤くなる体質の人では、そうでない人よりも食道癌になるリスクがかなり高くなるとされており、注意が必要です。
とはいえ、「酒は百薬の長」ともいわれ、少量であれば心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる働きがあります。
では、どの程度ならよいのでしょうか?
「日本人のためのがん予防法」によると、1日当たりのアルコール量23g(週150g)程度とされています。
アルコール量23gは、日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度に相当するようです。
健康のためにお酒を飲むのであれば、節度を持つことも必要のようですね。
・食べ物
確実に「がん」のリスクになるとされている食品は少ないですが、赤肉や加工肉が大腸がんのリスクを上げるのはほぼ確実とされています。とはいえ、摂りすぎが影響するだけであり、適量を摂取する分には基本的には問題ないと考えられています。
全体的には
塩分をとりすぎる
野菜や果物をとらない
熱すぎる飲み物や食べ物をとること
が「がん」のリスクとされます。
・肥満とやせすぎ
肥満のみならず、やせすぎも各種がんのリスクとされています。
これらは、がんのみならず、心臓病や脳血管疾患などのリスクでもあり、総じて死亡リスクが適正体重の方より高くなってしまいます。ここでいう適正体重とはBMI(体重÷身長の二乗)で、男性:21~27、女性:19~25のことです。
「がん」になるということは、これら(これ以外も)の様々な要因が複雑に影響しあうことで起こってくると考えられています。
ですので、「なんで私だけが、がんになったの?」という質問への回答はとても難しいので、それで悩むのはほどほどにして、
「これからどうしましょうか?」というお話ができると嬉しいです。