飛ばないカモもカモはカモだ
8月後半はカルガモたちの換羽シーズンである。カルガモがいる川や池の土手に行くと、光沢のある次列風切羽根をはじめ、様々な羽根をたくさん拾い集めることができる。
カモの仲間は、なぜそれが適応的なのかはわからないが、風切羽根が一気にごっそりと抜け落ちて一斉にはえ代わってくるため、一週間程度、全く飛べない期間がある。
面白いのは、その期間だけは、逃げる時に飛ぼうとは全くせず、走って逃げる行動に切り替わることである。
逃避行動は反射行動である。反射は生得的なものであるため、学習することができない。
飼育下で生活してる翼の折れた保護個体などは、近づくたびに飛んで逃げようとし、バランスを崩して地面に背中を打ち付けたりもする。「飛んで逃げる」というのが固定された反射行動なので、飛べない個体でも、「自分は飛べないから走って逃げよう」ということを、決して学習できない。
しかし、そんな飛べない個体でも、換羽の期間中だけは、走って逃げるのである。
換羽に関わるホルモンバランスが反射行動のスイッチにも関わっているのであろうが、とても精巧な仕組みで感心してしまう。
屋外のカルガモの群れも、この時期だけはわーっと一斉に走って(といってもよちよちだが)離れていくのがコミカルでとてもほほえましい時期である。
飛んでも飛ばなくてもカモは最高。
【調査地】富山市古沢 呉羽丘陵
【観察者名】たかはし
【天候】雨
【観察開始日時】2022年8月20日 8時0分
【観察終了日時】2022年8月20日 16時0分
【観察概要】大雨
【観察種】
[種名] [数] [メモ]
1.カルガモ 34 換羽中
2.カイツブリ 3
3.キジバト 1
4.ゴイサギ 2
5.アオサギ 1
6.カワセミ 1
7.ツバメ 1
8.スズメ 6
9.セグロセキレイ 1
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