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防災士「田無多聞」がパシフィコ横浜で東京の火山噴火防災を考えた
天災は忘れた頃にやってくる
こんにちは。私のペンネームは「田無多聞」といいます。
東京の田無(たなし)という街にすんでいます。50歳代の男性です。「多聞」はブログなどの情報コミュニケーションを通じて、多くの素敵な人々とつながっていきたい。
そんな想いからネーミングしました。
自称、「開運アドバイザー」として情報発信をしています。
私はコロナ禍の2022年に防災士というNPO法人の日本防災士機構が主催している民間資格を取得しました。
本日は、火山噴火防災を身近に感じて頂きたいとの思いで一筆したためます。
(天災は忘れた頃にやってくる)
この有名な言葉は、明治から大正、昭和の物理学者で防災学者でもある、寺田寅彦先生の警句です。
今回、みなさんに思い出して頂きたい災害は、「火山の噴火」です。
それも首都圏にすむ方々、特に東京そして神奈川県居住中の方をメインとしたメッセージをお届けしたいと思います。
先日、横浜中華街のお隣り、みなとみらい地区にあるパシフィコ横浜で催されていた「震災対策技術展」に伺ってきました。
ここでは様々な団体、企業がブースを構え、防災取り組みについて展示、発表が行われていたのですが、会場を大方一回りした後、私はある違和感を感じていました。
何かがないのである。
そう、火山噴火に対する防災対策が。
日本には、活火山が111山あります。(数え方により若干異なるが)
その分布で最も数が多い都道府県はどこか?
あなたは、ご存知でしょうか?
答えは、実は東京都の21です。
意外と思われますか。
これらは伊豆七島はじめ、島しょ部にある火山のため、区内在住の方はピンとこなかったのだろうと思います。伊豆大島と三宅島は数十年に一回噴火していて、テレビのニュース映像でも記憶があるかと思いますが、被害が現地に限定されている事もあり、自分の身に降りかかる災いとは考えていないのが実態でしょう。
私も同様の感があります。
それでは、私がパシフィコ横浜で覚えた火山噴火に関する違和感は、特に、どこのお山を指していると思いますか?
この会場に出展されたブースの内、私が最も違和感を感じたブース、それは静岡県のブースです。ここに、そのお山に関する防災情報が全く展示されていなかったのです。
そう、その山の名は、「富士山」です。
日本一高い活火山です。
静岡県は、そのお膝元なのに。
私は富士山噴火が、今後、30年以内に発生が80%の可能性と予見されている、「南海トラフ大地震とセット」で取り上げられ、防災取り組みがなされる事を切に願います。
一人の民間防災士として、このことをまずは、あなたにお伝えさせて頂きます。
日本人の心のふるさと、富士山は歴史上の記録では約百年ごとに噴火を繰り返してきた活火山です。
その富士山が最後に噴火したのが1707年の宝永噴火です。
以降三百年以上にわたって鳴りを潜めています。地下には通常サイクルの3倍のマグマがたまっているものと思われます。
その宝永噴火は宝永4年の12月19日から始まっています。そしてその49日前には宝永地震が発生しているのです。そう、南海トラフ大地震です。
この100年から150年のサイクルで発生する南海トラフ上で発生する地震と、富士山の噴火は過去、連動して発生するパターンが相当数確認されています。
貞観年間(859〜877年)には先に富士山噴火(864年)があり、後から南海トラフ地震(869年)が発生しています。
なので、南海トラフ大地震に対する備えが語られる際は、必ずあわせて富士山噴火への対策も用意して欲しいのです。
静岡県の富士山の麓にあり、歴史上の過去の噴火で甚大な被害にあっている、富士宮市や御殿場市などの地方行政団体は、この噴火に対するハザートマップを整備して避難想定の訓練等も実施されています。
しかしながら隣接する神奈川県西部、ましては東京のみなさんは殆ど、意識がないでしょう。
神奈川県西部から東京都までのエリア、こちらは風向きにもよりますが、富士山噴火時には降灰による影響を受けるエリアになります。
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こちらの富士山降灰マップのシュミレーションを見て頂きますと、
富士山を中心とした円心状の神奈川県相模原市、横浜市付近まで29cm近くの降灰の可能性があることが分かります。東京都、埼玉県南部、千葉県まで9cm程度までの降灰が過去の噴火の資料にも記録されています。
降灰がどうしたんですか?
鹿児島県在住の方でもなければ、これが率直な感想でしょうか?
ここでは、降灰が生活に対して長期間に及び、甚大な影響を与える事の理解が求められます。
この灰の成分はガラス質で水分と混ざると固くなる性質があります。
噴火に伴い、大気中に大量の灰が巻き上がり、西風に乗って首都圏に近づくと共に降り注ぎます。この際、大気中で灰が核となり雨を降らせる事が過去にも多く記録されています。そしてこの雨が降ると、水分が混じった灰は凝固して、インフラ施設に多大な支障を及ぼすのです。
道路は車が走れなくなります。電線、電力発電施設に影響を及ぼし電気が止まります。水道供給施設にも堆積した灰は影響を及ぼします。
このように私たちのライフラインは富士山の降灰により、絶たれてしまうリスクがあるのです。それも最低噴火から2ケ月間という長期間に及ぶ試算もあります。
また、降灰は農業生産にも深刻な被害をもたらします。
それでは東京都、神奈川県はじめ首都圏の人々は震災とともに、この富士山噴火にどのように備えればよいのでしょうか?
それは企業も家庭もバックアップ、つまり継続の備えを確実にしておいて頂きたいと私は切に希望します。
家庭であれ、企業であれ水、非常食などの防災備蓄を確実に保持ください。
又、企業であればこれに加えてBCPに取り入れて頂きたいのは情報システムの稼働維持です。
首都圏各地に企業のデータセンター、クラウドハウジングのデータセンターがあります。これらが電源喪失することは電力会社も想定の範囲内としています。
それでは企業サイドの備えはいかがでしょうか?
ご自分のお勤めの会社のシステム担当セクションに、ためしにお聞きください。
想定の範囲内ですか?
システム機器の地方への分散配備などの施策はとられていますか?
お勤めの会社がたとえ上場企業であっても、私はなかなか、想定内で対策が講じられている企業はないのではと思っています。
私は幕張メッセ、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜等の展示会で行われる、システム関係、リスクマネジメント・セキュリティ関係、防災関係の展示会の多くに足を運んでいますが、富士山噴火によるインフラ喪失に対しての施策を語られたブースは皆無でした。
地震被害を想定したインフラの地方移転、食料の地方からの供給。
例えばデータセンターを東京と九州福岡の2カ所に配備する施策等はたまに見受けられます。
是非、これにあわせて富士山噴火の視点からも防災を具体的に語り、備えていきましょう。
と提案申し上げる、田無多聞でした。
☞読書マイスター田無多聞のおすすめ図書
・火山噴火 予知と減災を考える 鎌田浩毅 岩波新書
・御嶽山噴火 生還者の証言 増補版 小川さゆり 山と渓谷社