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人生の経営戦略

私が敬愛する山口周さんの書籍を読了しました。
周さんのアウトプットからはいつも本当にたくさんの示唆が得られます。
そして文章表現が美しい。

ZERO SCHOOLで得た学びと本書を紐付けながら、これからの生き方をより良くするための考え方を整理していこうと思います。

※またしても過去最高の長文となりましたこと、ご容赦ください。


アリストテレス的人生を生きる

第0章のキーワードはこれだ。
『自分らしい人生と経済的・社会的成功を両立』
ZEROで得た気づきである「得たい感情は何か?」を行動指針としながら、自分で正解にしていく。

資源をいかに配分するか?

『時間資本の配分が最重要課題』
『目指すは持続的なウェルビーイング』
『時間資本→人的資本→社会資本→金融資本』
上記の3点を押さえながら、資本に2種類あることを認識し、時間配分のバランスに留意する。
『仕事をする上で役に立つ資本』
→間接的にウェルビーイングに寄与する。
『人生を豊かにしてくれる資本』
→直接的にウェルビーイングに寄与する。
4種類ある資本の中で、唯一自分でコントロールできる変数は『時間資本』のみ。
だからこそ人生の経営戦略において、時間資本の配分にフォーカスをあてることが筋のいい戦略となる。

ウェルビーイングを実現する3つの要素
①自己効力感(人的資本)
②社会的つながり(社会資本)
③経済的安定性(金融資本)
豊かな社会資本が最も幸福感に寄与するという研究結果がある。

童謡『モモ』から得られる教訓
自分の時間泥棒は「自分自身」の可能性がある。
社会や他者の価値観・評価に寄せた行動が
「本当に自分にとって大事なもの」に配分する時間を奪ってしまい、ウェルビーイングをいつか手にするんだ状態になってしまいかねない。
いつでもウェルビーイングを人生に実装するために、時間資本を何に配分するのかが重要となる。
まさにZEROで学んだ『得たい感情を満たす行動』に時間資本を投下するということだ。
ただ気をつけないといけないのは、得たい感情を手にするプロセスでは一時的に苦しみや悩みを伴うこともあるということ。
宮崎駿監督が「めんどくせー」と言いながら筆を取るシーンは有名だが、それに近い。

遅れて始める『人生の春』

本書では、人生の長さを80年±に仮置きし、
春夏秋冬に喩える描写がある。
凡例として、20代までを人生の春として記述されているが、もちろんいつからでも『人生の春』を始めていい。
私も遅ればせながら、『人生の春』を始める。
キーワードは試す。
まさにプロトタイプの実践だ。
遅れて始めてもこれまでの人生経験の知見があるので、「強くてニューゲーム」の感覚で様々なことを試していこう。
ZEROの大西さんから入学前の面談で「これ以上インプットしなくていい」と言われた。
卒業プレゼン直前でも同じことを言われ、やはりこの感想は変わらないとのこと。
大西さんやZEROの同期から「気づきが多い」ということをフィードバックしてもらえたのだが、おそらくこれまでインプットしてきたことが目の前の学びとリンクしやすい状況を創れていたのではないかという仮説を持っている。

人生の正午にさしかかった

本書では、ユングが40代を『人生の正午』と美しく比喩したと記述されている。
人生の太陽が最も高く昇る瞬間であると同時に、沈むプロセスの始まりでもある。
これは個人の人生において、40代が重要な転換点であることを象徴している。
そして、サイモントンは知的生産にもピークがあり、2種類の知性があることを指摘している。
流動性知能と結晶性知能だ。
前者は新しいアイデアを生み出す力、後者は既知の概念を組み合わせたり、複雑な概念を他者にわかりやすく表現する力。
特に50代以降の『人生の秋』における役割として、結晶性知能を活かしたサーバントリーダーシップが求められるとのこと。
あと10年で迎える50代に向けて、人的資本を社会資本に発展させていくという目線でやはり時間資本を配分していこうと思う。
これは卒業プレゼンの時に気づき、仮置きのwant toにしている『目の前の人の変化に貢献する』に通じるものがある。
さらに本書では経営戦略同様、人生は超長期プロジェクトのため、短期の合理よりも長期の合理が重要と指摘している。
20代(人生の春)の迷走は、30代以降の成功の布石になるとしており、短期の合理に惑わされるとウェルビーイングを実現できない。
エジソンの失敗をどう捉えるかという話に通じるものだが、迷走するからこそ成功の確度があがるのだろう。
ただ注意しないといけないのはただ考えなしに迷走するのではなく、仮説を持ちプロトタイプの実践という意識を備えて行動すること。
両方とも他者から見れば、どちらも迷走しているように映るかもしれないが、後者の場合、本人にとっては迷走ではなく、実験しているだけだ。

OODAループを回す

本書では固定戦略ではなく、適応戦略を採用している。
なぜなら、人生は長期計画であり、予測不可能だからだ。
VUCAと呼ばれる時代において、計画に時間をかけ過ぎると競争力が低下してしまう。
計画と実行を同時進行にして、柔軟に軌道修正を繰り返すチームが成功するチームの特徴と言われていることから、人生においても想定外をチャンスとして取り込むことを推奨している。
ここでもプロトタイプの実践に通じる所がある。
ZEROの中間プレゼンでOODAループについて触れたのだが、個人的にはプロトタイプの実践には「検証する」ことが重要と考えている。
検証するためには、仮説を持っておくことが必須であり、筋のいい仮説を持つために日頃からのインプットがモノをいうのではないかと考える。
そしてOODAループの起点となる「観察」が非常に重要だと思っていて、人間は見たいもの見ようとする脳のクセがあるため、ZEROの哲学「思い込み(ごみ)を手放す」に帰着する。

自分の居場所を見つける

■ポーターの5つの力を個人に適用する
「競争の激しさ」と「代替品の脅威」に注目
◎競争の激しさ
「市場における価値」=「能力や知識の水準」ではなく、「需要と供給の関係」である。
この前提に立てば、どんなに優れたスキルでも、市場に供給が過剰になれば価値は下がる。
よって、流行の資格や学位は「スジの悪い選択」と言わざるを得ないため、これらに飛びつくのは競争戦略の観点から悪手となる。
◎代替品の脅威
AIに対抗するという文脈で提案されているのが、次の3つだ。
①「正解のある仕事」を避ける
②感性的・感情的な知性を高める
③問題を定義する力を高める(課題設定能力)
問題定義力を鍛えるには、「リベラルアーツ」
・「常識や慣習を疑い、別の視点から問いを立てる力」が今後の社会での競争力につながる。
•AI時代において、人間の最も重要な役割は「見過ごされてきた問題を提起すること」。
リベラルアーツとの親和性は著しく低いので、
まずはZEROで学んだ『哲学』の講義を見直してみよう。
ただキーワードとなるのは『問いを立てる力』であることは明快だ。

■競争優位を立てるために
競争優位は「資源・能力」よりも「立地・環境」に左右される。
「どこにいるか」は「人生の幸福度」に大きく影響するため、「自分らしくいられる場所」を見つけることが重要となる。
ここまで記述してきて気づいたのが、大前研一さんの人生を変える方法に共通することだ。
『時間配分を変える、つきあう人を変える、住む場所を変える』
現状、住む場所は簡単に変えられないものの、
時間資本をどこに投下するのかは前述した通りであり、つきあう人についてはコミュニティに属するということが言えそうだ。
ZEROの卒業プレゼンでも、齋藤潤一さんがコミュニティに属することの重要性を説いていた。
ちなみに本書によると、社会的価値の創出をビジョンに掲げている組織に身を置くことが大事らしい。
ギャロップ社やリクルートの調査結果は、働く人の9割が「仕事の意味」や「やりがい」を感じていないことを示唆しており、モチベーションという資源が希少化しているという洞察が得られる。
このモチベーションを最も生み出す要素が、
「組織の掲げるビジョン」である。
ZEROのビジョンは、
「個性を発揮する世界をつくる」
うん、申し分ない。(急に上から目線💦)
私としてはZEROの方々にこれからも関わっていただきたいと考えている。

自分を棚下ろす

■内発的動機づけを駆動させる
孔子は、「あることを好んでいる人は、それを楽しんでいる人には勝てない」と説いている。
その具体例として、慶應高校野球部が「Enjoy Baceball」を理念に掲げ、甲子園で優勝したことなどを挙げている。
「しなやかマインドセット」を持って、「長く続けられること」を「楽しんでやる」ことが、個人の人生において最強の競争戦略である。
やはり「得たい感情は何か?」という問いを立てることが、人生を楽しむことに繋がりそうだ。

■他人には模倣できない特徴に着目する
RBV(リソース・ベースド・ビュー)という考え方において、企業の競争優位は、以下の4つの条件を満たす資源や能力を確保することで確立できる と考えられている。
①有用性
②希少性
③模倣困難性
④代替不能性
特に、RBVでは「希少性」「模倣困難性」「代替不能性」の3つが重要視される。つまり、保有している能力や資源の「量」や「質」よりも、その能力や資源の「調達困難性」が重要である。
この考えを人生に当てはめると、多くの人が時間資本を投資して獲得しようとする流行の資格や学位、知識は、最も投資してはいけない対象である。なぜなら、それらのスキルや知識は他にいくらでも調達可能だからだ。
流行の資格や学位が競争優位に貢献しないのであれば、何に着眼すべきか?
結論は、「他の人にはない、自分のユニークな特徴は何か?」を考えることである。
つまり、「自分の強みは何か?」ではなく、「他の人にはない特徴をどうキャリアや仕事につなげるか?」を考えるべきと指摘している。
この考え方は、「プロデュースの基本」にも通じるようで、プロデュースにおいて重要なのは、
「欠点を矯正すること」ではなく、「ユニークな点を伸ばすこと」
社会で評価されるのは「平均点」ではなく「他人には真似できないユニークさ」であり、このユニークさは、往々にして本人が「欠点」と思っている部分と表裏一体になっていることが多い。
一方で「強みは何か?」は危険な問いだと警鐘を鳴らしている。なぜなら、人間は自己評価を誤りやすい(上方バイアスがかかる)からだそうだ。
様々な研究によれば、
・90%の人が「自分は平均以上に運転が上手い」と思っている
・60%の学生が「自分のコミュニケーション能力は上位10%に入る」と思っている
・90%の教授が「自分は平均以上に業績を上げている」と思っている
というデータが示されている。
これらのことから、「何が得意か?」という判断自体がポンコツなのだと痛快に指摘している。
このような自己評価のバイアスを考慮すると、「自分の強みは何か?」を基準にキャリアを考えることは、むしろキャリアのミスリードにつながりかねないと論じている。
ただ本書とは別に著者はnoteで、他者からの手痛いフィードバックからでしか自分の強みを知ることは出来ないと主張していた。
さらに踏み込んで言えば、そのようなフィードバックは得難いことから、仕事の再発注があるかどうかを指標にされている。
ZEROのウェルビーイングの講義でも、日本ウェルビーイング推進協議会の代表理事である島田由佳さんが「他者からのフィードバックからでしか、自分の強みはわからない」と仰っていた。
この前提に立てば、ZEROの大西さんから個性MAPで言語化してもらえた生まれ持った個性は日常自分が認知できていない個性であることから、強みとも捉えられる。

■「長く続けてきたこと」に着目する
本書の学びに戻ると、重要なのは、「強み」ではなく「特徴」を抽出することである。
では、どこに着眼すれば自分の「特徴」を捉えることができるのか?
RBVの観点から考えれば、「調達困難な資源や能力」とは「時間資本を大量に投下しないと獲得できない資源や能力」であることから、着眼すべきポイントは、「長く続けてきたこと」である。
自分の人生を棚卸ししてみて、
他人と比較して際立って長い時間を投入した活動や夢中になって続けてきたことに着目すると、それが競争優位を形成する「調達困難な知識やスキル」となっている可能性が高いとのこと。

ここの解像度はZEROの個性MAPで散々深ぼってきたが、調達困難な知識やスキルまで昇華できているかというと、怪しい。。
ただUSJを再現した森岡毅さんは、
「特徴を伸ばして、強みに育てる」と仰っていることから、アプローチの方向性としては確度が高いと言えるだろう。

選択と意思決定

長文になってきたので、ここからはキーワードを抽出していく。

■ブルーオーシャン戦略
・既存価値の新しい組み合わせ
・独自の交差点をつくる
・組み合わせは一流でなくてもいい
・組み合わせのヒントは「ずっと好きでやってきたこと(大量の時間資本を投下したもの)

■創造性理論
・イノベーションの方法論はないが、創造性を高めることはできる
・とにかくたくさんのアウトプットを出すこと
・打率よりも打席数を追い求める
・失敗は前提であり、失敗と成功が人生に及ぼす影響は非対称である
・「失敗し続ける」のは意外と難しい。
失敗し続けることは、確率的に非常に難しい。
例えば、打率1%の人が100打席に立つと、ヒットを打つ確率は63.4%
もし打率が10%あれば、100打席のうちヒットを1本も打たない確率は0.0001%
つまり、100回チャレンジすれば、ほぼ確実に何かしらの成功を収める。

■オプションバリュー 常に選択肢を複数持つ
・「臆病」という特性は、実は成功確率を高める重要なコンピテンシーである。
経営学者ジョセフ・ラフィーとジー・フェンは、5000人以上の起業家を対象に調査し、「本業を続けながら起業したか?」「本業を止めて起業に専念したか?」という質問を行った。
その結果、本業を続けながらサイドプロジェクトとして起業した人の方が、成功確率がはるかに高いことが判明した。

学習と成長について

■行動が意識を変える
人は「意識を変え、そのあとで行動が変わる」と考えがちだが、実際には「行動を変えることで意識が変わる」ことの方が多い。
私たちの脳は非常に保守的で、「意識を変える」ことは難しい。
→プロトタイプの実践を通じて、自分の基準点をあげるところに通じる。
確かに運動習慣がない人が、毎日運動しないと気持ち悪いと言うのも、習慣化することで自分の基準点を上げているのかもしれない。
アファメーションで理想の未来の臨場感を上げるという話がコーチング界隈でなされているが、イマイチ腑に落ちなかった。
実は理想のゴールを叶えた自分から現在の自分を見たときに、今の自分はこの有り様でいいのか?と問い、理想の未来にいる自分の基準点はそこじゃないだろ?と今の臨場感を高めることで、コンフォートゾーンを理想の未来にいる自分のコンフォートゾーンに引き上げるのが本当のアファメーションらしい。(書籍とは別のリソース)
打率よりも打席数、とにかくアウトプットを出す、前述してきたとおり、プロトタイプの実践が肝だということが腹落ちする。

■「学習」とは「認知システムの変容」
多くの人は「学習」と聞くと、「スキルや知識を新たに獲得すること」を思い浮かべるが、経営学の組織行動論では異なる視点から学習を定義する。
学習とは、経験を通じて自分の信条・習慣・思考様式を変化させ、同じインプットに対して、より良いアウトプットを出せるようになること。
この定義には、「何かを加えること」というニュアンスが含まれていない点に注目すべきだ。学習とは、「自分という認知システムが変容すること」、さらにはその変容によって「世界がそれまでとは違って見えるようになること」を意味する。

まさにZEROでの学びは、認知システムが変容したように思う。
体系化された学習に基づいて行動することで、新たな「経験」を得る。
経験から知見を得る。
2次情報ではなく、1次情報からでしか得られない腑に落ちた納得感がある。
実はZEROの卒業プレゼンで人生デザインを一言で表現する言葉として、候補にもうひとつ上がっていたのが、リクルートの創業者の江副氏の
『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ』という有名な言葉だ。
ただ他人の言葉なので、オリジナリティも含まれた『ワンダー』にした。
本書でも、経験学習という文脈で学びは江副さんの言葉に集約されると主張されていたので、山口さんと同じ結論に帰結していたかと思うと嬉しい。
そして、「権限がないから、動けない」という人がいるが、それは誤りで、「動き出さないから、権限を与えられない」と考えるべきと指摘されている。
組織のパワーを「許可証」のように捉えている人がいるが、実際にはパワーは一種の「現象」で、「自ら動く人」の周囲にパワーは発現する。
したがって、自ら「成長の機会」を創り出すことで、リーダーシップや創造力が養われ、どのような環境でも生きる力となり、組織にとって価値のある人材になるとのこと。
同じことをmindsetの李代表も仰っていた。
「自分の権限を超えた所に口出ししていくことで、リーダーシップを発揮していく。これができない人をリーダーに選んではいけない。」と。

大事なことはZEROに詰まっていた

ZEROに入学してから、よく感じる感覚がある。それは答え合わせをしているような感覚だ。
ZEROに入学する前はインプット過多の状況で、
年間の読書量は120冊以上、書籍のみならずビジネス系のメディアからも動画学習を行い、昨年はセミナーなどへの自己投資も積極的にした。
これまでインプットしたことがZEROでのカリキュラムに基づくアウトプットにリンクしていく。
これまで次々にインプットする対象を追いかけるばかりで、振り返りの時間を取れていなかった。
ZEROでの課題で始めた日記やnoteへの投稿を通じて、頭の中にある膨大な情報を文字にする。
客観的に眺めることで、思考が整理されていく。
未完了のままのモヤモヤに終止符を打つ。
思考を言語化しているから、行動した時やインプットしたときに脳内の情報が結びつく。
ピンとくることが増える。
学びや行動が楽しくなる。
わからないことがあると、まだ自分に成長の余白を感じられる。
すべてポジティブに捉えられる。
生き方が変わる。

今回、ZEROで学んだことを『人生の経営戦略』を読むことで得られる学びに繋げられるのではという仮説のもと読み進めていった。
ZEROの卒業プレゼンの日、個人のMVVをつくっておくといいという助言を登壇者がされていたので、現時点でのMVVを仮置きしてみる。

■ミッション
目の前の人の変化に貢献する
■ビジョン
いつでもウェルビーイングな人たちが支援し合うことで幸せのお裾分けができる世界をつくる
■バリュー(ZEROの哲学)
・Don’t Judge
・執着しない、見方を変える
・今、ここ、この瞬間
・思い込み(ゴミ)を手放す
・ALL ACTION
    +
目の前の人にありがとうを伝える
家族の幸せのモノサシで行動する

以上、長文となりましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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