アフタヌーンティーと一緒に読みたいイギリス文学　（個人の感想です）

私の祖母は読書好きで、特にイギリス文学が大好きです。その影響で、私もいくつか祖母に紹介してもらって、読んでいました。今回ご紹介するのは、私が今でも定期的に読み返したくなるお話です。

高慢と偏見　ジェイン・オースティン作

18世紀末から19世紀初頭のイギリスの片田舎を舞台として、女性の結婚事情と、誤解と偏見から起こる恋のすれ違いを描いた恋愛小説。精緻を極めた人物描写と軽妙なストーリー展開により、オースティン作品の傑作とされる。

あらすじは高慢と偏見 - Wikipediaからお借りしました。

物語は、ベネット家が暮らす田舎町に、ビングリーという大富豪の青年が引っ越してくるところからはじまります。
ベネット夫人は若い大富豪と娘の誰かを結婚させようと、早速お近づきになろうとします。そうして開かれた舞踏会で、ベネット家一同とビングリー、彼に同行してきた、親友のダーシーは出会います。ダーシーもビングリー同様、若くして資産家の青年です。
同じ時期に、ベネット家が暮らす町の近くに駐屯している兵隊に所属する、容姿端麗なウィッカムという将校、他にもベネット家のご近所の人達や、いじわるなビングリーの姉妹など、のどかな田舎町を舞台に、様々な人間模様や交流が描かれています。

物語はエリザベスが主人公です。彼女はとても頭の回転が早く、そして当時の若い女性には珍しく、相手の地位や年齢に臆さず、誰にでもはっきり自分の意見を言います。彼女の母親は、とにかく噂好きでおしゃべりで、父親は聡明ですが、少々ひねくれた寡黙な紳士です。姉妹のなかでは、姉のジェインと仲良しです。ジェインはとても美人で、心の優しい女性です。妹達は、すぐ下の妹は、機会があればすぐに自分の知識や、教養を披露したがる性格で、下の2人は恋愛に憧れ、将校を追いかけまわしている、少々おてんばな娘達です。

エリザベスははじめ、容姿端麗な将校、ウィッカムに好意を抱きます。一方で、いつも気難しく、人を見下すような横柄な印象を与えるダーシーには、嫌悪感を抱きます。
しかし、一緒に過ごしたり、周りの人間の評判をきいて、だんだんとウィッカムという人間の軽薄さ、不誠実さ、お金にだらしないことなどを目の当たりにして、その熱も冷めていきます。
それとは反対に、一見愛想が悪く、第一印象は最悪だったダーシーの誠実さや責任感のある性格、妹想いな一面など、良いところを知っていくにつれ、しだいに彼に惹かれます。
しかし、お互いプライドと、最初に抱いた偏見が邪魔をして、なかなか素直になれません。
そんななか、リディアが、ベネット家の評判を地に落としかねない、大失態を犯します。それをダーシーは、エリザベスを助けたい一心で、見返りを求めず、あらゆる手を尽くして事態を収拾します。結果的にエリザベスがそのことを知って、2人は結ばれます。

この2人以外にも、エリザベスの姉のジェインと、ダーシーの親友のビングリーの恋愛も、なかなか進まず、応援したくなります。2人とも謙虚で、優しすぎる性格のため、両想いなのに周りの人の意見を聞きすぎて、妙な勘違いをしてしまい、距離を詰められなかったり、色々とすれ違ってしまったり、といったもどかしさがあります。
ビングリーがジェインに何も言わず、何日も遠くに出かけて滞在してしまうシーンがあります。電話がなく、遠く離れた相手と交流する手段は手紙しかないので、ジェインは自分の想いをつづります。手紙を投函したらしたで、いつ返事が届くのか、とはじめは心待ちにして、そしてしだいに胸を痛めながら待つ、というのは現代では味わえない切なさだと思います。

このお話は、国も、生活様式も全然違うのに、これ、わかるな〜という箇所がたくさんありました。
人に恋する気持ち、余計なプライドが邪魔をして、なかなか素直になれなかったり、偏見で物事や人を見る目が曇ってしまったり、人間の本質は国境も時代も関係ないのかなと思いました。
一方で、イギリスの社交的な場や、きれいな田舎町の景色が、目に浮かんでくる描写もあちこちにあり、非日常な世界観も味わえます。ご紹介した以外でも、ベネット家のいとこのコリンズの変人ぶりや、娘たちを何とか条件のいい男性と結婚させようと必死なベネット夫人の滑稽さなど、出てくる人たちが皆個性的で、会話のテンポもよく、楽しい気持ちで読めるお話です。

色々お話していたら、私もまた読み返したくなってきました。時間ができたら、ちょっといい紅茶でもいれて、スコーンでも食べながら田園風景に思いをはせて、ゆっくりページをめくりたいです。

#読書の秋 #読書 #主婦 #日記 #エッセイ   #ネタバレ