テスラ、第4四半期の販売台数未達で終値6.1%安

以下は、テスラ(NASDAQ:TSLA)の2024年第4四半期の業績発表を基に解説しました。


1. 第4四半期の納車台数と生産台数

テスラは2024年第4四半期に495,570台を納車しましたが、市場のコンセンサス予想である512,277台を下回りました。また、複数のアナリストが期待していた50万台から52万台というバイサイド予想にも届きませんでした。この結果、同社株価は6.1%下落しました。市場では納車台数が成長の主要指標とされるため、この数字が期待を下回ったことが株価の急落に影響を与えました。

生産台数は約45万9,000台で、納車台数を若干下回りました。これは生産効率や在庫調整において若干の課題がある可能性を示唆します。

車両モデル別の内訳

  • モデル3とモデルY: 納車台数は47万1,930台で、全体の大半を占めました。これらのモデルは、テスラのコスト効率の高い大量生産車種として引き続き主要な収益源です。

  • その他のモデル(モデルS、モデルXなど): 納車台数は2万3,640台と低めでした。これらは高価格帯でありながら販売台数は少なく、成長余地が限られていると考えられます。

年間実績

2024年通年の納車台数は179万台に達しましたが、これは過去10年以上で初めての年間販売台数の減少です。この減少は、競争の激化、特定市場での需要減退、あるいは供給制約が影響した可能性があります。


2. エネルギー貯蔵事業の成長

テスラのエネルギー貯蔵製品の導入は引き続き堅調であり、第4四半期には11.0GWh、年間合計では31.4GWhを記録しました。この成長は、企業や家庭向けの再生可能エネルギーソリューションへの需要が拡大していることを反映しています。

テスラのエネルギー貯蔵事業は、車両販売に次ぐ収益源として位置付けられており、長期的な収益成長に寄与すると期待されています。


3. 市場の反応と株価動向

納車台数がコンセンサス予想を下回ったことを受け、テスラ株は6.1%下落しました。株価下落の主な理由は次の通りです:

  • 市場予想との乖離が投資家心理を悪化させた。

  • 納車台数が成長鈍化を示唆し、特に強気派が失望感を抱いた。

一方で、アナリストの中には、短期的な株価下落を「買いの好機」とみなす声もありました。


4. ウェドブッシュの評価と将来予測

ウェドブッシュは今回の発表を受けても、テスラの将来性に対して強気の姿勢を維持しています。以下が同社の見解です:

アウトパフォームのレーティング

ウェドブッシュはテスラ株に「アウトパフォーム」を維持し、目標株価を515ドルと設定しています。これは現在の株価水準に対し上昇余地があると評価していることを示します。

将来の納車台数の成長

ウェドブッシュは2025年初頭にテスラが低価格EVを発売すると予想しています。これにより、納車台数の20%~30%の成長が見込まれ、テスラの市場シェア拡大につながるとしています。

AIとFSDの普及

完全自動運転(FSD)の普及率が今後12~18ヶ月間で50%以上に達すると見込まれています。これにより、FSDによる収益が増加し、マージンの改善が期待されています。

バリュエーションの拡大

テスラのAI技術の活用が1兆ドル規模の企業価値を押し上げ、今後2兆ドルに到達する可能性があると指摘しています。この背景には、AIによる効率化と新たな収益モデルの開拓が挙げられます。


5. テスラの課題と機会

課題

  • 納車台数の期待未達: 今回の結果は、短期的には市場の信頼を揺るがす可能性があります。

  • 競争の激化: EV市場は競争が激しく、新興メーカーや既存の自動車メーカーの台頭がテスラのシェアに影響を与えるリスクがあります。

  • 生産と供給の最適化: 生産台数が納車台数を下回る傾向は、在庫やサプライチェーン管理の課題を示唆します。

機会

  • 低価格EVの展開: より広い消費者層へのアプローチが可能となり、成長を加速させる可能性があります。

  • エネルギー貯蔵事業の拡大: 再生可能エネルギーへの需要が増加する中で、この分野はさらなる成長が期待されます。

  • AIと自動運転: 技術革新が進む中で、テスラは新しい収益モデルを構築し、長期的な競争優位性を確立する可能性があります。


6. 投資家への示唆

今回の四半期業績は、短期的な失望感を生む結果となりましたが、長期的には依然として成長の余地が大きいと言えます。特に、低価格EVやFSDの展開は、2025年以降の成長を牽引する重要な要素とみなされます。

テスラ株は高リスク・高リターンの性質を持つため、短期的な市場の変動に耐えられる投資家にとって、今回の下落は買いの機会となる可能性があります。今後の決算(2025年1月29日予定)では、テスラが課題をどのように克服するか、また次の成長戦略をどう示すかが注目されます。


結論: 納車台数の期待未達により短期的な下落を経験したテスラですが、低価格EVやAI技術の進展が長期的な成長を支える可能性があります。特にFSDの普及やエネルギー事業の成長が、収益モデルの変革を後押しするでしょう。投資家にとっては、中長期視点での戦略が求められる状況です。

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