ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイがベリサイン株を410万ドル購入
バークシャー・ハサウェイのベリサイン株購入の背景
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(NYSE: BRKa)は、2024年末から2025年初頭にかけて、ベリサイン(NASDAQ: VRSN)の株式を総額410万ドルで購入しました。これにより、バークシャーはベリサイン株を合計13,289,880株保有することになり、同社への信頼と長期的な投資スタンスを明確にしました。
この購入は、複数日にわたって以下の価格帯で実施されました:
2024年12月31日: 平均価格204.83ドルで1,621株を購入。
2025年1月2日: 平均価格204.84ドルで5,879株を購入。
2025年1月3日: 平均価格204.61ドルで11,744株、204.94ドルで800株を追加購入。
これらの取引における平均購入価格は204ドル台であり、52週高値(210.22ドル)に近い水準での取得となっています。これは、バークシャーがベリサインの収益性や事業の安定性を高く評価していることを示唆します。
ベリサインの事業概要
ベリサインは、インターネットインフラストラクチャを専門とする企業で、特に**.comや.net**ドメインの管理で知られています。これらのトップレベルドメイン(TLD)の運営を担うベリサインは、インターネットの重要な基盤を提供しており、同分野での独占的な地位を確立しています。
収益性と財務健全性
粗利益率: 87.6%(非常に高水準で、事業効率の良さを反映)。
PER(株価収益率): 23.9倍(市場平均並み)。
財務スコア: InvestingProの評価で「GOOD」とされており、安定的な財務基盤を持つ企業とされています。
これらの指標は、ベリサインが利益率の高い事業を展開し、持続可能な成長を遂げる能力を持っていることを示しています。
バークシャー・ハサウェイの投資戦略
ウォーレン・バフェット氏の投資哲学は「持続可能な競争優位性を持つ企業への長期投資」にあります。ベリサインは、次の理由でその哲学に合致します:
高収益性のビジネスモデル
ベリサインは、ドメイン登録事業において高い粗利益率を誇り、安定したキャッシュフローを生み出しています。特に、.comや.netドメインの需要はインターネットの拡大とともに増加しており、長期的な成長が期待されます。契約更新による事業の安定性
ベリサインは最近、米国政府機関であるNTIA(電気通信情報局)およびICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)との契約を更新しました。これにより、.comドメインの管理継続が確約され、事業基盤がさらに強固になっています。市場での割安性
現在のPER(23.9倍)は、同業他社と比較して適正水準とされ、株価が適度に割安であることが指摘されています。これは長期投資家にとって魅力的です。
ベリサインに対する市場評価
バークシャーによる投資の他にも、ベリサインに対する市場評価は高まっています。最近では、以下の評価が発表されています:
ベアード: 株価の評価を「中立」から「アウトパフォーム」に格上げ。理由として、価格設定の明確化とフリーキャッシュフローの改善を挙げています。
シティ: 株価の買い推奨を再確認し、目標株価を210ドルに設定。
アナリストたちは、ベリサインの契約更新が事業の安定性を高める要因であると評価しています。また、同社のフリーキャッシュフローの向上は、株主還元や成長投資の原資として期待されています。
ベリサインの業績
2024年第3四半期において、ベリサインは堅調な業績を報告しました:
売上高: 3億9,100万ドル(前年比3.8%増)
EPS(1株当たり利益): 2.07ドル(前年比13.1%増)
また、通年の業績予測では以下の範囲が示されています:
売上高: 15億5,400万ドル~15億5,900万ドル
営業利益: 10億5,400万ドル~10億5,900万ドル
これらの数値は、ベリサインが引き続き安定成長を維持していることを示しており、投資家にとって信頼できる銘柄であることを裏付けています。
その他のバークシャーの動向
バークシャーはベリサインだけでなく、他の銘柄への投資も強化しています。最近の動きとして以下があります:
オクシデンタル・ペトロリアム(NYSE: OXY): 約890万株を約4億900万ドルで購入。
シリウスXM(NASDAQ: SIRI): 約500万株を約1億700万ドルで購入。
これらの投資は、エネルギーセクターや通信セクターに対する戦略的関心を示しています。
ベリサインの成長要因
ベリサインが注目される理由は以下の通りです:
ドメイン市場の拡大: インターネット利用の増加に伴い、.comや.netのドメイン登録需要が増加している。
戦略的契約更新: NTIAおよびICANNとの契約更新により、長期的な安定性を確保。
キャッシュフローの改善: 効率的な事業運営によるフリーキャッシュフローの増加。
まとめ
バークシャー・ハサウェイによるベリサイン株の購入は、同社が持つ高い収益性と安定性に基づいた長期的な投資と考えられます。市場からの評価も上向いており、今後の成長が期待されます。契約更新による事業の安定化やフリーキャッシュフローの増加といった要素が、ベリサインの競争優位性をさらに高めるでしょう。