静葉の高校生活三年間

静葉の高校生活三年間

1年目:不安と新しい始まり

静葉が私立高校の扉を開けたのは、京都府立高校に落ちたショックからの回復を試みるためでもあった。最初の数週間は、他の生徒たちが新しい環境に馴染んでいく中で、自分だけが取り残されたような気分で過ごしていた。周りの学生たちは、皆明るく、目標に向かって邁進しているように見えたが、静葉は自分の未来に対する不安と焦りに圧倒されていた。

授業は難しく、周囲に比べて勉強が得意とは言えなかったため、最初はついていくのがやっとだった。特に数学と英語は苦手で、毎日のように放課後に教室に残っては先生に質問を繰り返した。そこで、真一や陽太というクラスメートに出会った。真一は理系が得意で、陽太は明るく、スポーツのセンスが抜群だった。

「静葉、焦ることないよ。最初はみんなそうだし、少しずつ慣れていけばいいさ」と陽太は、彼女が疲れているときにいつも元気づけてくれた。

一方、真一は「分からないところを聞けば、少しずつ理解できるはずだ。やってみろ」と静葉に言い、彼女の勉強を支えてくれた。

そのおかげで、静葉は次第に勉強に対して前向きになり、少しずつ自信を取り戻していった。焦る気持ちを抑えて、地道に努力することが大切だと感じ始めた。

2年目:成長と新しい目標

2年目になると、静葉は徐々に高校生活に慣れ、勉強にも自信が持てるようになった。この頃、進路について考えるようになり、将来何をしたいのか、どんな職業に就きたいのかについて真剣に考え始めた。

静葉は、子どもたちと関わることが好きだったことを思い出し、幼保連携型公立こども園で教員として働くことを目標に掲げた。進路指導の先生に相談したところ、「静葉さんには、きっと向いているよ。高校生活を通じて、教育に必要な素養を育てていけるはずだ」と励まされ、自分の夢に向かって進む決意を固めた。

また、2年目の途中で、部活動にも力を入れ始めた。彼女は文化部に所属し、学校祭の準備などで積極的に活動することにした。新しい友達もでき、クラスの中でも静葉の存在は次第に大きくなっていった。陽太や真一も、静葉の努力を認め、ますます応援してくれるようになった。

「静葉なら、きっと目標を達成できるよ。頑張って!」と真一はいつも言ってくれた。

3年目:挑戦と未来への一歩

そして、3年目、静葉は高校生活の集大成を迎えた。進路については迷いもあったが、幼保連携型公立こども園の教員を目指すという気持ちは揺るがなかった。彼女はこれまで以上に自分の勉強に力を入れ、模擬試験や入試に向けた準備を本格的に始めた。

最初は不安もあったが、次第に学力が向上し、目標に向かって確実に歩んでいる実感を得ることができた。また、クラスメートや部活の仲間たちとの絆も深まり、最後の学期には、学校生活の最後の思い出をみんなで共有することができた。

卒業式の日、静葉は自分の成長を実感していた。あの時、京都府立高校に落ちたことがあってこそ、ここまで来られたのだと感じていた。どんなに辛いことがあっても、決して諦めずに前進し続けることが大切だということを、静葉はこの3年間で学んだ。

「私は、この先も夢を追い続けていく」と静葉は心の中で誓った。そして、幼保連携型公立こども園の教員として、子どもたちの成長を見守る日々が始まった。

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