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未来を担う才能を発掘!EACH EDGE参加者の素顔

はじめまして!「EACH EDGE」プロジェクトです。私たちは、革新的なアイデアやスキルを持った長野県出身・在住の若者を発掘し、活動を支援することで地域社会にイノベーションをもたらしたいと考えてみます。

今回は、そんなEACH EDGEプロジェクトの参加者を2組ご紹介します。「長野県には、今どんな天才・鬼才が目覚めようとしているの?」と気になった方は、ぜひご覧ください。

EACH EDGEってどんなプロジェクト?

 このプロジェクトは、経済産業省が行っている「未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業補助金(AKATSUKIプロジェクト)」の採択事業として、信州大学繊維学部内の一般財団法人、浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)が運営しています。

 新進気鋭の才能を持った若者を地方から発掘・育成し、まずは地域社会を活性化させていく。そして、そうした才能が各地で育つことで、ゆくゆくは日本社会全体に新たな価値が生まれていく……。私たちが目指しているのは、そんな「イノベーション・エコシステムの形成」です。

 選出されたスカラーには、毎月最大20万円の活動支援金、第一線で活躍する起業家や専門家によるメンタリング(指導・相談)、参加者同士の交流・意見交換といった支援を行います。

火星で働くローバーを開発

信州大学工学部の瀬戸晴登さん。小学生の時にはローバーをつくりたいと思っていたそうです。

 それでは、スカラーの紹介に移りましょう。最初に紹介するのは、信州大学工学部に在籍する瀬戸晴登(せと・はると)さんです。瀬戸さんは、火星ローバー(探査車)を開発する「KARURA」プロジェクトの設立メンバー。大学生でありながら宇宙開発に情熱を傾ける活動家です。現在は、米国で開催される火星ローバーの国際大会への出場を目指しています。

 瀬戸さんは、子供の頃から宇宙開発やローバー開発に対する興味があったそうです。信州大学工学部への進学は、その夢を現実に近づけるための第一歩でした。

 ある日瀬戸さんは、火星ローバーの国際大会が米国で開催されていることを知り、挑戦を決意しました。ちょうどその頃、たまたま参加した宇宙技術関係のイベントがきっかけで同じ志を持つメンバーが集まり、2022年3月にKARURAプロジェクトが発足したそうです。設立メンバーの1人が米国に留学していることから米国のメンバーも集まり、日米合同のプロジェクトとなりました。

 KARURAプロジェクトは、2023年3月には初号期を完成させ、9月には2号機の実験を行なっています。プロジェクトは着実に進展していると言えるでしょう。このような活動を続ける中、瀬戸さんは学内メールでEACH EDGEの存在を知りました。

瀬戸さん スカラーに選ばれると、活動の資金調達につながるのではないかと考えました。また、私がKARURAのプロジェクトマネジメントを担当しているので、EACH EDGEのメンター制度によって、プロジェクト運営に関する知見が得られるのでは?という思いもありました。

プロジェクト管理のスキルを身に付けたい

メンタリング中の瀬戸さん(右)と藤本さん(左)。メンタリングの時間は1回1時間程度。せっかくの機会を有効活用すべく、熱心に会話が行われていました。

 KARURAプロジェクトには現在約60人のメンバーが参加しています。瀬戸さんはローバーのハードウェア設計を担当しながら、プロジェクト全体のマネジメントも行なっています。大規模なプロジェクトであるため、管理は非常に大変なようです。

瀬戸さん 以前の試算では、運営資金として約800万円が必要でした。クラウドファンディングを行いましたが、まだ資金が不足しています。今後もスポンサー募集やクラウドファンディングを継続していくつもりです。

 EACH EDGEのメンタリングでは、主にこうしたプロジェクト管理や予算管理についてアドバイスを受けました。現在メンター役を務めるのは、藤本理弘(ふじもと・まさひろ)さん。藤本さんは大手システム開発会社のプロジェクトマネージャーを経て、現在は大学発のITベンチャー企業「NEXT RESERVATION」の取締役を務めています。また、長野大学では、非常勤講師としてIT関連の科目を教えるほか、地域政策学の博士として地域の産業政策を研究するなど、多彩なスキルを持っています。

藤本さん 瀬戸さんには、プロジェクトマネジメントに必要な要素についてフィードバックを提供しました。今後は、財務関連のメンターとのマッチングも検討しています。また、ローバーの通信周波数など技術的な面に関して
も話をしました。

 ローバーの国際大会「URC(University Rover Challenge)」は、12月に書類による事前審査が行われます。本大会は、米国・ユタ州の砂漠の中で開催され、土壌の収集やコンテナ輸送、備え付けアームによる作業など、複数の種目によりローバーの性能が競われます。KARURAが本大会に出場すれば、日本人を含むチームとしては初めての挑戦になるそうです。瀬戸さんがEACH EDGEで得た学びを活かし、ぜひ本大会に駒を進めてほしいと願っています。

文化祭の行列をテクノロジーで可視化したい

上田染谷丘高校2年生のKさん(左)とSさん(右)。中央は上田染谷丘高校教諭の玉井謙一先生。

 次に紹介するグループは、上田染谷丘高等学校2年生のKさんを中心とした4人組です(未成年者により匿名とします)。このグループは、「文化祭の出店の待ち時間を可視化するシステム」というものを提案し、EACH EDGEに採択されました。高校生のKさんたちはIT開発の実力はまだありませんが、アイデアの独創性、そしてまざまな分野に応用できるアイデアの発展性が評価され、採択に至りました。

 このアイデアは、高校の「総合的な探究の時間」の中で生まれたと言います。生徒が自らテーマを設定し、教科の垣根を越えて学びを深めていくカリキュラムです。

Kさん 僕たちは、プログラムやAIに興味があり、研究したいと考えて集まったグループです。最初は具体的な目標が決まっていなかったのですが、話しているうちに文化祭の待ち時間がわかると便利だと考え、テーマが決まりました。

 昨年の文化祭、Kさんたちはお化け屋敷を出店しているクラスに長い行列ができているのを目にしました。もしその場に行かなくても混雑状況を確認できる仕組みがあれば、待ち時間がなくなってより多くの出し物を回れるはず……そんな考えから生まれたアイデアだったそうです。

 このアイデアを受けて、染谷丘高校の先生は「EACH EDGEに応募してみては?」と提案しました。EACH EDGEの事務局は県内の教育機関にプロジェクトの案内を送っており、先生方はKさんたちのアイデアがピッタリだと感じたのです。

 一方、Kさんたちは、やりたいアイデアは決まったものの、実現方法については手探りの状態でした。EACH EDGEには専門家によるメンタリングあると知り、プログラミングなどの知識を深めるきっかけになると考え、応募したそうです。

専門家の指導で実現方法が見えてきた

メンタリングの風景。メンターの藤本さんが、Kさんたちのアイデア実現に向け技術的なアドバイスを行なっています。

 その後、Kさんたちのグループは見事にスカラーとして選出され、現在は専門家によるメンタリングを定期的に受けています。メンター役を務めるのは、先ほどもご紹介した藤本さんです。メンタリングでは、Kさんたちのアイデアの実現方法に関する技術的なアドバイスや、Webアプリケーション開発に対する相談が行われています。

藤本さん メンタリングは授業ではありません。私は、あくまでも彼ら自身が学ぶための基盤づくりを支援したいと思っています。まずはHTMLから始め、次にJavaScriptやPHPにも触れていくつもりです。

 Kさんたちは、これまで学校でプログラミング教育を受けた経験はありませんでした。個人的にプログラミングに触れたことがある人もいますが、ゼロからのスタートという人もいます。メンバーの1人であるSさんもその一人でした。

Sさん とにかくプログラミングが初めてなので、最初は専門用語が全然わかりませんでした。今もわからないことがたくさんありますけれど、少しずつ頑張っていこうと思います。

 Webアプリケーション開発には数多くの知識が必要になりますが、藤本さんによれば「彼らはやる気もあるし、若いので吸収が早い」とのこと。システムの完成が楽しみです。

 さらに、KさんとSさんは将来、IT分野で活躍したいと考えているそうです。Kさんたちの独創的な発想力にIT技術が加われば、地域や日本社会にイノベーションをもたらす起爆剤になってくれるかもしれません。EACH EDGEプロジェクトが、お二人の将来に向けていい足がかりになれるよう応援しています。

取材・文:小平淳一


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