#長崎県佐々町新庁舎 ワークショップ開催
遠藤克彦建築研究所は、2020年に「佐々町庁舎建設工事基本設計・実施設計業務委託に係る公募型プロポーザル」にて、最優秀にご選定いただきました。
佐々町は長崎県の北部に位置し、佐世保市にほど近いまち。自然を残しつつ交通至便な、暮らしやすいエリアとして人気を集めています。
新庁舎建設に向け、昨年秋から住民の方とのワークショップが行われています。建築設計分野におけるワークショップとは、住民参加により、利用者の意見・要望を幅広く聞くとともに、将来の担い手を育てる活動。数回のワークショップを経て、民意を反映した、地域に寄り添う計画案を創り上げて行きます。
今回は、その町民ワークショップの模様を、現地に赴いた設計室スタッフHのレポートでお届けします。
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2020年秋にご選定いただいてから、昨年11月と今年2月、2度町民ワークショップを開催しました。ワークショップは、初めて町の方の意見を伺える機会です。
プロポーザルご提案時には、町職員の方々や、町民の皆様と直接お話することはありません。あくまで設計者としてどうすればより良い提案ができるのかを、町のリサーチを基盤に考えていきます。
佐々町のリサーチを進める中で印象的だったことは、「佐々で暮らす※1」動画等でも発信されている、佐々町で暮らしながら、子育てやボランティア、様々なクラブ活動を多世代で一緒にする姿でした。
佐々町が長い時間をかけて育んできたこの関係性を生かした新庁舎計画とできないか、新庁舎をコミュニティベースとして活用できるような仕組みを提案したいと考え、新庁舎計画を町民の皆さんと話合いながら進めていくワークショップと合わせてご提案しました。
ご選定いただいた後、初めてとなる第1回町民ワークショップは、「新庁舎のアイデアをみんなで考える」をテーマに、町の良い所からやりたいことまで幅広く意見交換する会となりました。
各テーブルには幅広い年代の方々が集まり、皆さんが趣味や佐々町の好きなところ等を発表しあい、打ち解けていきます。
ワークの中では、①まちの良いところ②まちの課題③やりたいこと/受けたいサービスを話し合い、チームでそれぞれ発表をします。
発表中には「確かに!」「私たちのチームでも同じ意見があがった」など、時折笑い声があがる時間となりました。
シートに張り出された意見はなんと300を上回るほどになりました。
この地で暮らしている方の声は、私たちにとっては、どれをとっても新しい発見に繋がります。いただいた意見は、類似するものを各項目へ振り分け、新庁舎計画への手がかりとしていきます。
先月、21日に行われた第2回町民ワークショップでは、「各場所でほしい機能とやりたいコト」をテーマに、第1回で出していただいた様々な意見を反映したプランを見ながら進めていきました。
①コミュニティスペース②キッズスペース③食べる場所④建築・総合⑤ランドスケープ⑥活動・その他の班に分かれ、場所をベースにさらに具体的な意見をいただく会となりました。
第1回、第2回とワークショップを重ねる毎に、具体的になっていくアイデアは、ニュースレター等の発行物で町民の皆様と共有し、当日お越しになることができなかった方々にも、広く知ってもらえるような工夫をしています。
新庁舎が建つ前からその完成イメージを共有し、一緒に場所をつくっていくことが、今後の佐々町のコミュニティベースとなる新庁舎をより育てていくことに繋がればと思います。
新型コロナウイルスの影響もあり、人数制限や感染防止対策を徹底した中で行われたワークショップでしたが、マスク越しに伝わる町民の皆様の熱い想いや考えをひとつひとつ考え、今後も新庁舎計画を通して佐々町に関わっていきたいと思っています。
【引用】
※1:佐々で暮らす~生きることを、学ぼう~