理系夫と暮らしてみると(理系男性との結婚生活)<シリコンバレーは今日も晴れ>
私の夫はエンジニアだ。メカニカルエンジニアリング(機械工学)の博士号を持っている。ある研究所で長年勤務した後、近年引退したが、まだ時々コンサルタントとして働いている。
アジア系の米国人で、175cmで痩せ型。ごま塩の頭は大きく、合うサイズの帽子を探すのが一苦労。高めの鼻梁にメガネをかけていて、研究者っぽい風貌だ。
規則正しく生活し、健康に食べて適度に運動する。趣味と勉強に励み、友達づきあいもそこそこしている、二宮金次郎というかアンドロイドっぽい人(?)だ。
彼は、典型的な「理系人間」である。感情の波が少なく、常に「合理的であること」が信条だ。「こんな研究結果が発表されたよ」や、「こんな新発見が報道された」と言っても、「待て待て、その情報のソースは?統計処理の方法は?」とまず「疑いの目」で見るところから話は始まる。きちんとした情報元、筋道立った説明ができないと、すかさず「うーん、すぐには納得できない事柄だね。エミーはすぐ信じちゃうからなぁ(ふっ)」などと言われ、私はしばしば凹んでしまう。
ちなみに私は、仕事の場で毎日エンジニア達と交流がある。また、居住地柄、友人知人もIT企業関係者ばかりだ。だから、彼らがどのような「種族」かはある程度知っていると思うし、付き合いの”ツボ”も分かっているつもりだ。
彼ら(エンジニア達)との話やメールは、簡便で筋道を立てたものであることが大事だ。だらだらとした筋道のない話、非合理的なことや感情論は、彼らが忌み嫌うものだ。これをしてしまうと、見る間に彼らの集中力が低下し、目が泳いでいくのがわかる。
また、知ったかぶりや、権威を振りかざしたり、政治力で押そうとするのもNGだ。彼らは、そういう種族が大嫌いなのだ。逆に知らないことを正直に伝えて、「教えを請う」という態度の人には、親切すぎるほど親切に教えてくれる人が多い(特に相手が女性の場合は)。
ということで、文系の私は理系の人々に大きな尊敬の念を抱いているのだが、我が夫に関しては彼の「合理性」が勘に触ることもある。例えばこんなことがあった。
その日、私は夕食を作る当番で、鶏肉を細切れにしていた。夫はその様子をしばし観察して一言。「エミー、肉は大きさを揃えて切った方がいいよ。形もなるべく均一に。その方が炒める時に効率がいいから」。「だったらお前が作れよ!」とフライパンを突きつけなかったのは、私の度量の広さ(ハハ)かもしれない。
尊敬し愛して止まない理系の人々...、でも生活を共にするとちょっとだけうざいこともある。
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