見出し画像

「第5回電子処方箋等検討ワーキンググループ」の議論を見て

令和6年6月19日(水) 10時00分~11時30分
第5回電子処方箋等検討ワーキンググループが開催された。

〇電子処方箋等検討ワーキンググループとは

厚生労働省の健康・医療・介護情報利活用検討会の検討事項のうち、主として電子処方箋の更なる機能拡充等に係るシステム開発や運用ルールに関する検討を行う場(開催要綱による)。主査はCOMLの山口育子氏が務め、三師会のほか、病院団体、業界団体、健保組合の代表、その他有識者で構成される。

〇資料はこちら

第5回電子処方箋等検討ワーキンググループ 資料|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
当日開催時間中はYoutubeで配信され、議事録は後日公開される。
※資料のPDFのプロパティを見ると作成者情報が残ってて、情報管理の点で一抹の不安を感じさせるゾ☆

〇議論の内容

以下のGemMedの記事が詳しい
電子処方箋、併用注意や院内処方、長期収載品の選定療養への対応など進めるが、「医療機関等への普及促進」が大前提―電子処方箋ワーキング | GemMed | データが拓く新時代医療 (ghc-j.com)

〇その他記事

PNB
「チェック拡充」「薬局起点情報共有」検討 | PHARMACY NEWSBREAK(ファーマシーニュースブレイク) - 薬局・薬剤師のためのニュースメディア (jiho.jp)

m3.com
導入進まない電子処方箋、「環境整備は国の責務」日医長島氏 | m3.com
↑「厚生労働省は6月19日、第5回電子処方箋推進協議会を開き、」
推進協議会てw
関連会社製品の電子処方箋対応もゆっくりで、あまり電子処方箋には関心がないようだ

〇所感

議題としては直近の改修内容(長期収載品の選定療養化、院内処方)の報告のほか、併用注意などの新しいチェックの仕組みや、電子処方箋管理サービスにおいてトレーシングレポートも扱えるようにするなど、未来志向で機能を発展させてはどうか、という内容。
これに対し、日医の長島氏からはいつも通り「足元を固めるのが先」という発言があった模様。

個人的にこの発言に至った背景事情(推察だけど)は賛同致しかねるし、この場で発言するのも、と思う一方で「足元を固めるのが先」という言葉には同意したい。

電子処方箋のリリース済みの追加機能(リフィル処方箋や口頭同意機能)や院内処方についてはベースとなる機能だし、「これがないから導入しない」という言い訳を阻止するために必要だと思う。
しかし、それより先は未来の話であり、やるやらないでいえばやったほうがいいが、限られたリソースを投入して急いで対応する必要があるかは疑問。

なぜなら、現状の機能ですらベンダの開発の足並みがそろっておらず、導入状況も決して良好とはいえない中で、中央だけ新機能を実装しても、ベンダ間の格差は広がり、施設の導入状況はさらにまだら模様になることで、本来の機能を十分に活かせないばかりか、使う人が限定されることで「使ってみたらこの落とし穴が」という点を見落としやすくなると危惧されるから。

それよりは、この機会に現状について導入済施設に徹底ヒアリングし、手の届いていないかゆい部分や、気づいているけどあまり大きな声で言えない不具合について予算を取り徹底改修する踊り場となる年を作ってもよいのではないか。
きっと、院内処方部分の導入補助金を取った直後では更なる追加機能への補助金の要求も苦しいのでは?

今回の議論でも出ていたが、電子処方箋をマイナポータルを通じて希望する薬局に送信する仕組みや、マイナ在宅受付Webを外来患者も使用可能にすること(参考)など、実際に使う患者の利便性を高めることにも注力してもらいたい。Xとか特設サイト()とかでキャッチー(死語)にしようとして滑ってる広報ばっかしてないでさぁ。


ところで、上でm3.comが書き間違えていた電子処方箋推進協議会とは厚労省と各種団体が電子処方箋の普及拡大について協議する場のこと。
昨年に第2回まで開催され、世間では「電子処方箋の義務化反対」という、とある人のお言葉ぐらいしか記憶されていないだろうが、久しぶりに開催して、各参加団体が「有言実行 我々は普及拡大のためこれをやった」と発表することでどうか。足元を固めるためにもぜひ。

※電子証明書自体。普通はそんなに安いものではない中(相場は1万円/年ぐらい)、マイナポータルから申請すれば(常に在庫が枯渇している)カード含めてHPKIの費用は減免(というか無料らしい?)というのは地味にすごいことですよ?