朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』
テレビドラマ「世にも奇妙な物語」のファンである朝井リョウさんが、映像化を夢見て勝手に原作を書き下ろしたという5つの短編集。
やはり、ウマイ! 朝井リョウならではの"毒"が、「世にも奇妙な物語」的設定にピッタリはまっていて、どの短編も一筋縄ではいきません。しかも、毒だけでない、現実をしっかり写した書きっぷりも健在で、途中ウルっとこさせるところまで織り込むのが彼らしい心憎い演出。
映像化しても面白いのでしょうが、主眼はそこにはなくて、一見ドラマ的仮面を被りながら、実は現実生活に潜んでいる(当たり前になりすぎて気が付かない)奇妙さを描き出した小説だと感じました。もしかすると、現実のあなたはどうですか!?という問いがタイトルの「君」なのかもしれません。
そして、もしドラマ化するなら………、あえてモデルとなった俳優さんたちが分かるようにパロディ的に作られていた最後の短編の映像化をのぞみます。ぜひとも、ご本人方に出演して頂きたい(笑)