朝井リョウ『18きっぷ』&立花隆『二十歳のころ』『二十歳の君へ』
ちょうど今、高校二年生の現代文の授業で中島敦の「山月記」をやっているところなのですが、生徒達自身にとっても、自分の思い煩いに触れる教材となるようです。教科書をじっくり読み終わったら、ぜひとも生徒達に紹介したいのが、同年代の手記です。
朝井リョウ『18きっぷ』
(本ブログ)前回のエッセイ集の中でも朝井リョウさんは、高校生のパワーや破壊力について「勝てる気がしない」と言っていましたが、『18きっぷ』は、そこから一歩踏み出そうとする、良い意味で畏れを知らない最後の(!?)年齢である18歳の46人のナマの声がポートレートと共に掲載されています。目指そうとする道も職業も様々……。誰一人かぶることがない「人生の選択」が、一人一人は熱く、しかし書籍としては淡々と46並べられています。巻末には、それぞれの一年後の今も掲載されていて、目指す道を突き進む者もいれば、別の道を見つけた者もいるという、社会に一歩踏み出した19歳の現実もそこにあります。
『二十歳のころ―立花ゼミ『調べて書く』共同製作」立花隆+東京大学教養学部立花隆ゼミ』
『二十歳のころ』は、立花隆ゼミ&東大生だからこそ実現した企画で、大学生達が有名無名の68人に「二十歳のころ」をインタビューしてまとめたもので、有名人・学者・被爆者・元オウム信者・駐日大使など、とにかくあらゆる業種の人々が出てきます。個人的には、★加藤登紀子★秋山仁★佐藤学★立花隆★鶴見俊輔★野田秀樹★山藤章二★横尾忠則★吉川弘之★吉永良正(+長崎被爆者語り部の方々全員)を特に面白く、印象深く読みました。(書き手が学生なので、きっと担当学生の力量にもよるのでしょうが、)エンターテイナー的な立場から話をしてくれる人のインタビューがやはり面白いなと。
『二十歳の君へ 16のインタビューと立花隆の特別講義』
続編『二十歳の君へ』は、『二十歳のころ』の流れをくむ「インタビュー集」と「立花隆の特別講義」と「ゼミ生の手記」の三部構成。バラエティに富む人選と、書き手としての学生の成熟を感じさせるインタビューは、前回より面白く読ませましたが、やはり圧巻は「立花隆の特別講義」!! 6時間分の講義は読み応えあがあり、とっくに二十歳の2倍を生きたオバサンの脳ミソも刺激されました。意外に(!?)面白くオススメなのが、思いわずらっている「ゼミ生の手記」。この手記も、「山月記」の後に使うのにピッタリです!