原田マハ『ジヴェルニーの食卓』
印象派の巨匠マティス、ドガ、セザンヌ、モネに迫る四つの短編集。
それぞれの作品の語り手となるのは、画家の身近にいた女性達で、召使い、女流画家、画材商の娘、義理の娘、と様々。美術小説『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』も、キュレーターの経験がある原田マハさんならではの作品だと感じましたが、今回も「史実に基づいたフィクション」で、評伝や美術史とは違うところを、作家の想像力で埋めていって、画家を描いていく作品群です。
それぞれ中心にある作品を頭において読んでいけるのも魅力です。マティス『マグノリアのある静物』、ドガ『14歳の小さな踊り子』、「リンゴ」の画家セザンヌとゴッホ『タンギージ爺さん』、モネ最晩年の『睡蓮』。
それにしても、語り手である画家達の周りにいた女性達の画家への(芸術への?)献身ぶりのせいでしょうか……、どの作品の結末になぜかもの悲しさを感じずにはいられず……。この切なさもまた、芸術というものがもたらすものなのかもしれません。