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俳句津々浦々(44)
副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介します。
亡き猫がノートの上に居た冬よ
そうだったなあ。我が愛猫、権太之介がいつも居たっけ。何か書こうとしてノートを広げると、いつも、ノートの上に座りに来るのよ。なんで、ここがいいの? って聞くけど、知らんぷりで。
居なくなってから、そろそろ1年か。冬は毎年来るけど、権太之介がいない冬は、何年振りかなあ。なんだか、この冬はいつもにも増して、冷えるのよねえ。ときどき、引っかかれたり、羽根布団の羽根を盛大にぶちまけたりはしてくれたけど、なんだかねえ。居ないってのは、ねえ。
ノート開いてみるか。もう座りに来てくれないのが、なんだか……。権太之介のかわりの猫もとは思うんだけど、当分は飼えないな。忘れるまではねえ。このノートに、権太之介物語でも書いてみるかなあ。座っていたノートにね。
~2024年1月20日 夏井いつき 句会ライブin 長良川~(加根兼光:nhkk協賛サポーター)
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「俳句津々浦々」が、市井の俳句や、身近な場面が詩になっていく俳句の楽しさに触れ合うぺージになればと思っています。
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