ファンサが欲しいタイプのオタクは全員Venus of TOKYOに行ってみてほしい話
はじめまして。えみといいます。普段はTwitter(ふせったー)で観た舞台の感想を細々と書いているのですが、昨日観に行ったVenus of TOKYOが良すぎて、自分と同じようなタイプのオタクにこのコンテンツを見てほしい!という気持ちから突然noteを書きました。
Venus of TOKYO(以下VoT)とは、現在お台場ヴィーナスフォートで毎日公演中の常設イマーシブシアターです(来年3月までの期間限定!)イマーシブシアターというのは着席して観るのではなく、観客が会場の中を自分の足で歩き、各所で起こるパフォーマンスを見て回るという新しいタイプの舞台です。
作品自体の概要(あらすじやシステムなど)については、検索したらめちゃくちゃ親切な布教記事が既に存在していたので(ありがてえ…)この記事は1オタクに何が刺さりまくったかという主観極まりない話、そしてなぜ自分と同じようなタイプの人間におすすめしたいのかという話になっています。とにかく一度足を運んでみてくれ!!!という気持ちの煮こごりです。
↓そもそもVoTとはなんぞや?という方への、すごくわかりやすい布教記事
お台場良いとこ一度はおいで!DAZZLEのイマーシブシアター「Venus of TOKYO」のススメ(しおりん日記)
https://shioring78.hatenablog.com/entry/2021/08/02/182840
前提としてVoTは物語に謎解き要素を含むこともあり、初めての方に100%楽しんでもらうため、公式からネタバレ禁止令が出ています。これは公演の特性上もちろんやむを得ない一方で、内容に一切触れずに魅力を語るのって結構難しい!Twitterなどで検索してもあんまり具体的な感想がないのはそういう事情なんですね。この記事でもネタバレは極力避けていますが、それゆえに漠然とした表現でよくわからん…というところがあったらすみません。逆に万が一ここはネタバレだからやめろ!というのがあったらこっそり教えてください…。
VoTは今年の6月から始まった公演で、自分は今回どハマる前から6月に1回、8月に2回観ていました。作品としては初回からすごく面白いな〜と思ってたし、まあ同じものを3回観てる時点で既に相当好きじゃんと言われればそれはそうなんだけど、どちらかというと謎解き部分とか見逃したシーン(イマーシブシアターは同時多発的にパフォーマンスが発生するので見るシーンの取捨選択が必要)が気になるから入るという感じで、自分の中ではハマってるとまでの認識はありませんでした。
ところが今回突然、次にお台場に行ける日を指折り数える沼落ちを果たしてしまったのは、初めて見たキャスト、具体的には宮川一彦さん演じる写真家にハートをぶち抜かれたからです。写真家とは上に貼ったPVで最初に出てくる帽子かぶったキャラです。どのくらいぶち抜かれたかというと、元々特定の誰かを集中して見ようという意識はなく、それよりなるべく見たことないシーンをたくさん見ようと思って行ったのに、12時半の公演で気になり始め、15時半の公演では8割方目を奪われ、元々入る予定じゃなかった18時半の公演を買い足して、その回はほぼ全部追いかけてました。(ちなみにVoTは毎日3公演あります)
前提としてダンスがめちゃくちゃかっこいい。宮川さんはわりと小柄な方なんですが、関節多いんか?って感じに細かく動いて、キレ良く止まるとこはキュッて止まる感じの踊りで、見てて気持ち良いです。自分はダンス経験者ではないので門外漢の感想だけど。あとポーズの映える角度の付け方うま!と思うのと(ポージング美しい人が好き…)セリフに合わせて踊るところの振付も綺麗。
ただ魅力的だったのはそれだけの理由じゃなくて!!演技およびパーソナルな部分がすごくいいので説明させてください。
①セリフがなくても何を言いたいか全部わかる表情筋とマイムのすごさ
VoTは決まったポイントでは録音音声のセリフが流れるのに合わせて演技しますが、移動中など大半の時間は無言だし、発声は一切しません。でも写真家はこっちが見てると、表情(マスクしてるので目から上しか見えないんだけど)とジェスチャーでめちゃくちゃ話しかけてくるし、それが全部意味がわかります。察する力ゼロと言われている自分でもマジでわかる。頭の中に直接話しかけられてる気持ちになる。
②90分間で余白の演技から写真家はこういう人間なのかな?と感じ取らせてくる表現力
詳しくは現地で確認してほしいのですが(わたしのバイアスがかかっているので…)まず写真家という元々のキャラ設定自体が魅力的なのはもちろんのこと、さらにセリフに合わせてるときもそれ以外のときも、細かな演技ひとつひとつに情報量を詰め込んで、キャラの魅力を一層増幅して伝えてくるという感じです。
写真家は公式サイトの人物紹介によると
東京のファッションや芸術・エンターテインメントを追ってきたカメラマン。黄金の林檎がオークションに出品されると聞き、東京の伝説となっている林檎を撮ることが出来れば、名声を得られると考え、林檎を追う。他の人間が気づかないことに気づくなど、観察眼に長けている。
という設定なんですが、宮川さんの演技からは、人懐っこくて表情豊か、目端が効いて頭の回転が早くて、危ない橋も渡ってきてる世慣れした写真家の人格を感じました。主語がでかくなりますが、ふとした表情とか動きからキャラの人格を想像するの、オタクは好きじゃないですか?あと比較的ずっとにこにこしてるキャラなんだけど、笑った顔がチェシャ猫みたいで可愛い。
③観客を全力で楽しませようとしてくれる遊び心
おそらく写真家というキャラ自体の特性なんだと思いますが(全キャスト観たわけではないので推測)①でも書いた通りアドリブのマイムでめちゃめちゃ観客に絡んできます。個人的にはこれは大きな魅力でした。なぜなら「ファンサが欲しいオタク」だから。ここまで長くなりましたがこれが本題で、VoTはファンサが欲しいタイプのオタクにマジでおすすめ。
わたしは若手俳優のオタク兼ゆるいジャニオタをやっており、別にガチ恋ではないのですが、推しからファンサ(目線くれるとか笑顔とか手振ってくれるとか指さしてくれるとか…)は常に欲しい。そもそもファンサの何が嬉しいのかを考えてみると、ひとつの理由として「その瞬間は一対一になるから」なんじゃないかなと思います。
通常、演者と観客は基本的に一対多数で、観客がまなざすだけの一方通行の関係です。それは当たり前だし、もちろん自分の存在が多数にまぎれることで気が楽という面もあるけど、でもファンサをくれる一瞬だけは、演者は間違いなく観ているこちらを認識している。まなざすだけではなくまなざされ、通常一対多数である関係が一対一になる。その双方向性が成立することが嬉しい。イマーシブシアターというコンテンツは、それが90分続く感じ。
VoTの魅力のひとつは、観客が物語の中に入れることで、演者からずっと認識されながら観劇していくことになります。観客に直接絡んでくる度合いはキャラクター(および演者)によって違いますが、どのキャラも踊りながら視線はバチバチに合わせてくるし、観客の行動によって物語の結末を変えることもできる。まなざされながらまなざす、コミュニケーションとも言えるような観劇体験が本当に唯一無二で楽しい。
あとシンプルに体験として贅沢。レベルの高いダンサーが、比喩じゃなく手を伸ばせば届く距離で、しかもステージの上と下じゃなく同じ高さで目を合わせて踊ってくれる迫力はすごい。参加人数が少ないとマンツーマンになることもあります。この距離でやれるのは演者側が動きの精度に自信あるからだよな…と毎回思う。ちなみにマジで近いから、観客がパフォーマンス中に突然変な動きすると危ないと思うので気をつけてください。
※双方向と書きましたが、あくまで公演なので観客がやっていいことダメなことは決まってます。簡単に書くと発声しない、キャストの指示には従う、Don't touchマークが貼ってあるものや扉は触らない、キャストに観客からコミュニケーションしない(話しかけるとか触るとか)、置いてあるものを手に取って調べるのはいいけど元の場所から動かさない、とか。キャストからコミュニケーションされたときは、こちらは笑ったり頷いたり簡単なジェスチャーで返してました。観てるときの位置どりは、パフォーマンスの邪魔になる場合キャストがうまく誘導してくれるので、あんまり気にせず常識的な範囲で好きなところにいれば大丈夫だと思います。
わたしは宮川さんの写真家が刺さりましたが、VoTには10人のメインキャラがいて、それぞれ魅力的だし、キャラそれぞれに3〜5人くらいずつのキャストがいます(あとアンサンブル的なキャストもいます)公式サイトによると今のキャスト総数は60人以上。同キャラでもキャストごとに解釈や雰囲気が違うので、パターンが多くて推しを見つけやすいんじゃないでしょうか。わたしもまだ見たことないキャストさんたくさんいるので新しい方を見たいという気持ちと、推し(と呼ばせてほしい…ド新規だけど…)をなるべくいっぱい見たいという気持ちが両方あって引き裂かれています。とりあえず早くまた入りたいんですが、自分の仕事と推しのスケジュールの兼ね合いが…でも長期間公演があって観に行ったら絶対観れるのはめちゃくちゃありがたい状況だなと思う。ちなみにDAZZLEの有料FC「ELZZAD」に入ると、DAZZLEメンバーについては事前に出演シフトが見れます。あとはTwitterでキャストをチェックするとシフトあげてたりします。今のところその日のキャスト一覧を見れるページはないので、自力で特定するしかないようです…。
3月までの期間限定とはいえ常設のコンテンツに推しを作るのはなかなか恐ろしいことですが(通ってしまうから)もう避けられない。というか通うしかない。だってVoTが終わったらあのキャラたちには二度と会えないってことでしょ?今からロスりそうで怖い。ぜひ今のうちにあなたの推しを見つけてください!!!チケットはこちらから!!!
公式TwitterとInstagramはこちら。ちなみにInstagramは実際に劇中で写真家が撮影した写真も使ってるらしいです。そういうの好きだ。
わたしはまだ観たことないんですが、18時半の回は毎日オンライン配信もあります。この記事の趣旨とは違いますが、そもそも作品自体がめちゃくちゃよくできているし、オンラインだけの仕掛けもあるみたいなので楽しめそう。近いうちに観てみます。
(10/16追記)
先週2回ほどオンライン観ました!
感想として、改めてすごい作品だ…と思いました。オンラインの撮影者は監視者と呼ばれ、非番のキャストが持ち回りで担当してるんですが、監視者には監視者サイドの物語があり、オンラインの視聴者にも役割が与えられているので、リアルと同様物語に入り込む感覚が得られる。フリー行動部分で監視者がどう行動するかはTwitterアンケート機能に基づいて決められていて双方向性がある一方で、撮影者もキャストなので構図の切り取り方などで個性を出してくるし、リアルではゲストが入れないアングルから撮影することもあったりして、オンラインでしか見られないシーンがある。そして結果的に一度として同じ内容の配信は存在しない。
リアルでしか体験できないものがある一方で、オンラインでしか体験できないものもあるというのは、配信はリアルの代替ではなく両軸で楽しませるのだという矜持を感じるし、わたし基本的に配信コンテンツあんまり得意じゃないタイプだけど、そのリアルタイム性にわくわくして最後まで観れた。オンラインもすごく良いです。安いし…アーカイブ24時間あるし…(よかったシーン繰り返し観れるのありがたい)
ここからは本当にただの個人的な感想。わたしは数年前にまる1年間「おもてなし武将隊」のオタクをやっていた時期があり、イマーシブシアターに行き始めて、ほんの少し武将隊と通ずるものを感じました。
おもてなし武将隊というのは数百年前から蘇った戦国武将、という設定で観光案内をしているパフォーマンス団体で、日本のいろんな観光地にいます。名古屋の隊がおそらくいちばん有名なのかな?わたしは仙台で活動している伊達政宗様率いる伊達武将隊のオタクでした。推してた武将が退団したので降りましたが、今もふんわり応援してます。
イマーシブシアターは観客が世界に没入する形だけど、おもてなし武将隊は特殊な設定を持った演者が日常世界に存在するという違いはあるんですが、武将と話すときはあくまで相手が400年前から現世に蘇った伊達政宗・織田信長などである、という前提で話すので、こちらもちょっとロールプレイというか向こうの世界に片足入れてる感じになる。それをなんとなく思い出しました。わたしは概念しか知らないんだけど、ディズニーシーで昔やってたヴィランズとかも似たところがあるんじゃないだろうか。
あと、もしかすると初めてVoTに入ったときも宮川さんを見てたかもしれないんだけど、初回は起こってることや仕組みを把握するのに必死だったので個々のキャストのことを全然覚えていない。細かく見るなら2回目以降のほうがおすすめです。というか1回では本当に何も見きれない。見るとこが…見るとこが多い…!ってなる。