+ART GALLERY 3人展「Vulnerability」レポ
渋谷スクランブルスクエア14階+ART GALLERYにて開催中の、3人展「Vulnerability」へ。
不思議の国のアリサ・ITOSHI SAKHRANI・REI INABAによる3人のアーティストの作品たちが集められた今回のギャラリー。
アリサさんと稲葉怜さんの在廊中に行けたので、お2人から直接作品についてのお話を聞くことができました。
実は、先日行ったシリル・コンゴ展でたまたま稲葉怜さんをお見掛けして、今回の展示会のことを知ったのが足を運ぶに至ったきっかけ。
REI INABAこと稲葉怜さんは、着物の糸を貼り付ける独自の手法「繊維画」で日本唯一の画家さんです。
「繊維画」というジャンルの存在さえ初めて知ったこともあったけど、なにより作品たちの放つ独特でエキゾチックな雰囲気に惹かれて止まない!
高校生の頃から作品を作り続け、発表し続けているという彼女のアートワーク。
1人の、複雑で繊細な10代の女性が、20代になり、大人の世界でもがきながらも自分の姿を模索し、そして30代になり、あらゆる経験を糧に表現を広げ、そして…
作品から1人の女性の人生が伝わってくる。繊維の一本一本はとても細くて柔らかいのに、それがひとつの作品となったとき圧倒的な強さを放っている。
高校生から現在までの歳月。
同じ世代を、同じ国で、同じ星の下で過ごしていた女性が何千人何万人といるんだよなぁ、と
当たり前のことをあらためて思い出す。
20年前、あの時私が自分を探してもがき苦しんでいた頃、彼女ももがいていたのだろうか。
10年前、私が恋をしたり、仕事をしたり、楽しい夜があったり孤独の夜があった時、
彼女も同じような夜を、朝を、過ごしていたのだろうか。
稲葉怜さんの描く「女性」からは
そんな何千人何万人もの見知らぬ「彼女たち」が見えてくるのだ。
一本一本に人生が宿っているような気がするのだ。
また、今回はライブペイントで作成されたというアクリルによる抽象画の展示もありました。
私は元々シンメトリーよりアシンメトリー、偶数より奇数に美しさを感じるのだけれど、(ピアスの穴も左がふたつ、右がひとつ)
そんな「計算されたアンバランス」さ。
バラバラなようで、それが調和と心地良さとなり、ストンと腑に落ちるような美しい作品。
表現をすることをライフワークとし続けてきたからこそ
今、表現できることがあるのだろう
今だから、伝わることがあるのだろう。
そして、もう1人のアーティスト、不思議の国のアリサことアダムス亜里咲さんにも直接お話を聞くことができました。
アメリカで育ち、18歳の時単身日本へ来たという彼女。まだ4年しか日本に居ないなんてわからないほど日本語が上手!(普段はタレントさんとしてもご活躍されています)
そしてマスク越しからもわかる、どことなく親近感の湧く顔立ち…と
尋ねてみたら、やはり彼女も日米ハーフとのこと。
とはいえ、日本で生まれ育ち日本でしか暮らしたことのない私とは全く違う境遇。
価値観も文化もこんなに違う国で、多感な時期を過ごす日々はさぞかし心細かったのでは…
すると、そんな心細さやホームシックがきっかけとなり、セルフウェルネスのためにアートに没頭したのだそう。
たしかに、3Dプリンタから製作されたという個性豊かなキャラクターたちは、泣いていたり落ち込んでいたり、楽しそうに笑っていたり様々な感情が見て取れる。
この子たちが自身の片割れとなって、どんな感情の自分だって肯定してくれるような気がしてくる。
私にもセルフウェルネスは心当たりがあるのだ。10代の頃の、感情を書き殴った何冊ものノートたち。
表現することで何度も助けられた。
「産みの苦しみ」とはよく言うけれど、
「己を苦しみから解放するために産む」というアートは確かに存在する。
"Vulnerability"(脆弱性)と名付けられた今回の三人展。
まさに、人間(=自分自身)の弱さと向き合い、受け入れる様を形にしたのが、この作品たちなのだと思う。
お話を直接聞くことはできなかったけど、
ITOSHI SAKHRANIさんの作品に込められた物語も、別の機会に是非聞かせていただきたいと思いました。
稲葉怜さんは、アートプロジェクト「砂漠の砂」の代表も務めます。
このプロジェクトを通じて、アートの可能性の幅を広げ、もっとカジュアルに誰でもアートに触れて欲しい、アートへの敷居を下げたいとお話しされていました。
私も、映画観に行くくらいの気軽な気持ちで美術館や展示会へ「遊びに行く」文化が根付けば良いのにな、と思うのでその精神に賛同します。
今後の「砂漠の砂」プロジェクトが展開していくアートの世界が楽しみです!
写真はInstagramにもたくさん載せています。
https://www.instagram.com/p/ClBOb9sPfkX/?igshid=YmMyMTA2M2Y=
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