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“マキセ〇〇”になりたくない女の恥ずかしい実話

「なんでココは、こんなパンパンに張ってるのかなぁ」

男は、うつ伏せ状態の私の背中から脇腹を、分厚い掌で何往復もさせた後、不意にそう呟いた。

そして、ベッドに横たわる私の左背後から覆い被さるように接近し、耳元で確かにこう言った。

「ホック、外してもらっていいですか」

えっ?
今、なんて言った??
これから何を始めるつもり???

私はあまりにもハッキリと聞こえた「ホック」というワードに困惑しながら、しばらくそのまま無言で固まっていた。

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「ちょ、待てよー」
脳内で、キムタクの台詞がリフレインする。

いや、そんなはずはない。
ここはそんな店じゃない。

そう、ここはれっきとした整体院だ。
AVによくあるらしい(← 知らんけど)、悪徳整体師が施術と称してあんなことやこんなことをするなんていう、卑猥な展開になるはずがない。

頭の中では、まさかそんなことがあるはずもない「18禁」のイメージ映像らしきものがグルグルと回りだした私は、努めて冷静に、

「外すだけで、取らなくてもいいんですね?」

そう聞き返した。

取るとはブラジャーそのものを身体から取ってしまう、つまり、その、脱ぐということ。
かつては、たわわに実った時代もあったが、今では無残に背中に流れ、重力に逆らえず垂れ気味になった、●カップの胸が露わになるということ。

んなアホな。
いや、どう考えてもそんなはずはない。

「そんな奴おらへんでー。往生しまっさぁ」
脳内で、大木こだまがツッコミを入れてくる。

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「いやん、ばか~ん うふ~ん♡ そこはお乳なの、あはん♡」
「笑点」でおなじみ、林家木久扇が踊りながら歌うあの映像まで、脳内再生を始めてしまった。

アカン、誰か止めてくれ。
こんな脳内映像と音声が可視化されたら危険すぎる。

すると、男(院長)は軽やかにこう言った。

「大丈夫ですよ~! 背中のいちばん張ってる箇所に、ちょうどホックのところが当たって邪魔になってたんで、そこだけ緩めてもらったらほぐせます」

あぁ、そういうことね。なるほど。
私は心の中で苦笑しながら、安心してブラジャーのホックだけを外した。

「ちょっとだけよ。アンタも好きねぇ」

ここで、加トちゃんのあのギャグが脳内再生され始めたアナタは、私と同じくらいのお年頃だろうか。

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無事に何事もなく、一通りの施術が終わった。
仕上げのストレッチをしながら、家でのケアについてのアドバイスの中で、院長はこう言った。

「ちょっと下着がキツいんじゃないですかね。背中の筋肉が引っ張られて巻き込んでしまってるから、同じところが凝りやすくなってるんやと思いますよ。肩ひもが細いと食い込みやすいから、幅の広いスポーツタイプのとかに変えてみるのもいいかもですね」

丁寧かつ超具体的な、ギリギリの優しい表現で伝えてくれてありがとう。
コロナ禍でPC作業に充てる時間が増え、外出もほとんどしないし、もともと運動が嫌いな私が体を動かす時間はさらに減り、いつしか豊かな肉布団を十二単のように重ね着しまくっていたのだ。

それにしても、太って足の爪が巻き爪になるのは聞いたことがあるけど、「巻き背中」なんて聞いたことなかったなぁ。そう思いながら調べてみると、巻き背中もあるらしい。ただ、「巻き肩」の方が一般的みたい。

私はさっそく、ネットショップで肩ひもの幅が広くて、身体を締め付けないけれどホールド力のありそうなタイプのブラジャーを見繕って注文。さらに、量販店ではカップではなく胸囲のサイズが大きいものを選んで購入。
これらを身につけるようになって、お蔭様で背中の突っ張りは起きにくくなり、プロのアドバイスってすごいと実感!

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コロナ禍になるよりも前から、いろんな理由が重なってオトナの「濃厚接触」の機会はないけれど。コロナ騒動が収束する頃には、そんなことあるはずのない「18禁 妄想劇場」ではなく、あってもおかしくない「それなりの場所」「望むお相手」と、ホックも含めていろいろ外しまくって、濃密な時間を過ごせるといいなぁ。

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