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「幸福」を願うなら”不幸を呼ぶリスクを避けよ”

「幸せになりたい」と願うなら、逆説的だが「不幸に陥るリスク」を避けることが何より大事である。幸せを損なうリスクは様々あるが、一般的に人が陥りがちな重大リスクは三つに絞られる。


「幸福」の大前提は「不幸に陥るリスク」防止

不幸の極みは不慮の死

「死」は人間である限り誰しも避けられない摂理です。
人により寿命の長短はあれど、死に際し人生を振り返って何らかの意味を見出すことができたならば、幸せな死を迎える境地と言えるでしょう。
しかし望まぬ事態により不慮の死を遂げることは、生の断絶によってあらゆる「幸福」への希望を閉ざされるので、これ以上の不幸はないと考えます。

まず不幸に陥るリスクへの守りを固めよう

幸せを願うのは誰しも切実な思いでしょうが、得てして大切なものほど壊れやすいものです。
だから「幸福」を得よう、また「今の幸せがいつまでもで続きますように」と願うならば「幸せ」を求めて旅に出かける前に、まず誰もが陥る危険性が高い「不幸のリスク」への守りを固めることが何より大切です。

健康・カネ・ヒトは「幸福」の三大リスク

幸せを損なうリスクは様々ありますが、不慮の死という究極の不幸に陥りがちな重大原因は一般的に下記の三つに絞られると考えます。

  1. 健康…病気や事故により健康を損なうこと

  2. お金…経済的苦境に陥ること

  3. 人間関係…孤独または不健康な人間関係

経営ではよくヒト・モノ・カネと言いますが、健康・お金・人間関係は充実(ウェルビーイング)していれば「幸福」に資するものですが、各々の欠落は深刻な不幸の原因となります。
健康・カネ・ヒトは「幸福」の三大リスクと言えるでしょう。

1.健康…健康を損なうこと

誰にも身近な問題であり、不幸に陥るリスクの最たるものは、なんといっても健康です。
予期せぬ大病、不慮の事故により天寿を全うできず想定外に早く死を迎える人が多く存在するのは残念なことです。
不可抗力なら仕方のないことですが、健康リスクへの備えを怠ったばかりに本来得られるはずの寿命を失う不幸は絶対避けたいものです。
個人で予め出来る健康リスク対策を「私は元気だから」と軽視したり「まあそのうちに」と先送りしないようこころがけましょう。
ただ、一口に健康リスク対策と言っても効果的な対策ならいいのですが、大いに疑問がある対策もありますので「幸福」の健康リスク対策は後日改めて、より詳しい記事にする予定です。

2.お金…経済的苦境に陥ること

不幸に陥るリスクの2番目は、これも毎日身近な問題であるお金です。
借金苦、事業の失敗等、経済的困窮を理由に自ら死を選ぶ人は少なくないのが実態です。
肉体的には健康でありながら、かけがえのない命を失うほど惜しいことはありません。
自ら死を選ぶほどではなくとも個人の「幸福度」と経済的状況には密接な関係があります。
「お金」=「幸福」ではないのですが、一定金額までは一般的にお金があるほど「幸福度」は上がることが世界的研究(*注1)でも、私の経営するイーハピネス(株)が開発した「従業員幸福度(EH)調査® 」でも統計的に確かめられています。これは逆から見ると、

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お金があればあるほど幸せではないが
一定レベルの経済的余裕がないと
お金が足らない分だけ「幸福度」が下がる
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と言うこともできます。
私なりに「幸福度」とお金の関係を公式にしてみました。

「生存権」維持金額+「幸福追求権*」必要金額=「幸福度」最大金額
(*「幸福追求権」とは→「幸福は権利である」の記事はこちら

幸福追求権」必要金額とは「幸福度」がプラスとなる金額であり、
「生存権」維持金額とはそれを下回ると「幸福度」がマイナスとなる金額です。
少なくとも「生存権」維持金額レベルの経済状態を確保することが「幸福」の経済的リスクマネジメントの必須課題となるでしょう。
「幸福」の経済的リスク対策も後日、より詳しい記事にする予定です。

3.人間関係…孤独または不健康な人間関係

不幸に陥るリスクの3番目は、これも身近である人間関係です。
「幸福」を損なう人間関係のリスクは下記の二つです。

  • 孤独

  • 不健康な人間関係

  • 孤独のリスク
    人間関係の断絶である孤独は不幸に陥るリスク
    となります。
    聖書は次のように述べています。

主なる神は言われた。
「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」

『旧約聖書』創世記/ 02章 18節(新共同訳)

全ての孤独が不幸となるわけではなく、ときには意識的に孤独な時間を作ることは内省の機会を確保するという意味で必要とさえ言えます。
しかし恒常的に孤独であることは危険です。
一つは孤独自体がメンタルヘルスの悪化、「幸福感」の低下をもたらすことです。
例えばコロナ禍でのリモートワークの普及は、仕事の効率化というメリットをもたらしましたが、副作用として個々の従業員は孤独な環境で仕事をすることになりました。
当時、私はいろんな会社でテレワーク導入のコンサルティングを実施していましたが、在宅ワークをしている独身従業員のメンタルヘルス低下の悩みをしばしばお聞きしました。
人間関係を欲する度合いには個人差がありますが、人間関係を断たれること、孤独や社会的孤立は健康状態の悪化や病気のリスク上昇、死亡リスクの増加につながるという研究結果が多数報告されています(*注2)。
独りぼっちでなく、家族、友人、職場の仲間等、人間関係はかけがえの無い「幸福」の資産です。
人間関係のネットワークを繫いでいることは、ソーシャルサポートと言いますが、人間関係から得られる物心両面の支えは「幸福」のリスクに備えるセーフティネットです。

  • 不健康な人間関係

何らかの人間関係のネットワークさえあれば「幸福」のセーフティネットになるかと言えば、必ずしもそうではありません。
人間関係は諸刃の剣であり、不健康な人間関係によって、逆に人間関係が「幸福」を破壊する重大なリスクとなる場合もしばしば存在します。
家族からの虐待、知人、友人からの嫌がらせ、詐欺被害、職場でのパワハラ、セクハラ等、事例は枚挙に暇がありません。
人間関係と「幸福」の関係は、行動科学、組織開発等、私の専門分野とも非常に関連が深く、多くの要因が関わっていますので「幸福」の人間関係対策も、後日複数のテーマで詳しい記事にする予定です。

「不幸のデススパイラル」を防ぐリスクマネジメントを

健康・お金・人間関係は互いに相関

健康・お金・人間関係は、各々個別の充実(ウェルビーイング)或いは欠如が「幸福」の推進力やリスクとなりますが、さらに重要なことは、
*健康・お金・人間関係は互いに相関している*
ことです。

「幸福」喪失のデススパイラル

健康を損なうと多額の治療費用を要したり、療養の為に退職を余儀なくされたり、技能の喪失などで仕事を失い経済的基盤の崩壊を来します。
現に私は7年前、大病を患い役員退任を余儀なくされました。今はお陰様で新たに会社を興し元気にやっていますが。
ある程度経済的余裕がないと、人とのお付き合いも疎遠になり人間関係が細っていきますし、人間関係の途絶により社会的に孤立すると健康状態悪化や病気のリスクが上昇し、最悪孤独死ということになりかねません。
このような「不幸のデススパイラル」に陥ることは絶対に避けねばなりません。

自分に合った幸福リスクマネジメントを

今回「不幸」に陥る三大リスクとして、健康・お金・人間関係のリスクについて述べましたが、その他にもいろいろな「幸福」リスクが存在します。
個人によってリスクの大きさには違いがあり、普段「幸福」リスクは潜在化していますので、自分にどのような潜在「幸福」リスクがあるかを「見える化」することが大切です。
潜在「幸福」リスクが顕在化してからでは手遅れですので、今から「幸福」のリスクマネジメントを心がけましょう。

*まとめ***

  • 幸せを願うなら、まずは大前提として「不幸に陥るリスク」を避けること

  • 不幸の極みは不慮の死であり死に陥るリスクへの守りを固めること

  • 不幸に陥る三大リスクは健康、お金、人間関係である

  • 健康・お金・人間関係は互いに相関しておりどこかが損なわれると「不幸のデススパイラル」に陥る可能性がある

  • 自分にどんな「幸福」の潜在リスクがあるかを知り自分に最適化してリスクマネジメントを心がけることが効果的

今回の記事で述べたリスクは、それぞれ多様で重層的な問題を含んでいますので、先にも述べた通り改めて個別に深めた記事を新たに書き起こし詳しく述べる予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後もみなさまの幸福に関連する記事を投稿してまいりますので、
好き・コメント・フォローなどいただけますとありがたいです。

イーハピネス株式会社
代表取締役 松島 記三男

(*注1)
(1)Easterlin, R. (1974) ‘Does Economic Growth Improve the Human Lot?’ in P.A. David and M.W. Reder, (eds). Nations and Households on Economic Growth: Essays in Honor of Moses Abramovitz, New York: Academic Press, Inc.
(2)Daniel Kahneman(2010),’High income improves evaluation of life but not emotional well-being
Daniel Kahneman kahneman@princeton.edu and Angus DeatonAuthors Info & Affiliations, August 4, 2010 (sent for review July 4, 2010)
(3)Killingsworth MA, Kahneman D, Mellers B. Income and emotional well-being: A conflict resolved. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 1;120(10):e2208661120.

(*注2)
東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チームの藤原佳典 研究部長らの研究グループ<プレスリリース>『社会的孤立は、全ての世代の健康に悪影響を及ぼす 高齢者の精神的健康維持には対面接触がベスト、非対面接触のみは次善の策』(https://www.tmghig.jp/research/release/2022/0318.)他多数研究あり。

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