【42】『考えてみよう』とする習慣
前回までは、自閉症の息子は、いろいろなことを理解できていないと思っていたのが、コミュニケーションが取れるように成長してから、しっかり覚えていたことを聞いて驚いたことと、自分の中にある情報をうまく取り出せないのかもしれない…と私なりに思うように書きました。
今回は、内面の情報ということばで浮かんだ、私自身の内面にあるクセになっていた考え方について思い出してみようと思います。
息子が自閉症だと診断されてから、当時の私は気持ちがどん底まで落ち込んでしまったという感覚ありました。
叔母のアドバイスから感謝の大切さを意識して、上を向くことに邁進しながら過ごすようにしていました。それでも、ふと不安がよぎる。
不安が襲いかかってくると、決まっていったん押しつぶされてしまいそうなくらい自分自身が不安を膨らませて、何もできない状態になってしまうくらい。そのあとようやく前を向くことを選べるという流れだった気がします。
そして、私はこのとき必ずと言っていいほど、産まれてきた意味を探そうと取り組んでいたように思います。とてつもなく大きな課題の答え探しなので、当然のように具体策は見つかりません。けれど、そう考えることで何か自分の中に残るものがあるように感じていたと思います。
とにかく「考える」、これを大切にして向き合っていました。
この「考える」ということから子育てにつながった行動の1つには、小学校低学年にミュージカルやダンススクールに通わせたこともあります。1年くらいと短い期間だったけれど、息子にとっては社会性とことばの広がりを身に着ける手助けとなった重要な経験。
もちろんプラスなことばかりではなく、感情においてマイナスな面もありました。
変わった行動をする息子のことで、周囲から耳にする言葉に落ち込むこともしばしば…。息子には聞かせたくない言葉、私自身も耳にしたくないことばを聞いてしまう場面を増やすことになっていたのかもしれません。そこでも、自分の頭の中では考えを巡らせることにフォーカスして頑張っていたと思います。この経験がいつか……と。
考えることで頭への血の巡りが良くなる感覚がありました。だから、考えることはエネルギーがすごくいることではありました。
そこから出てきた考えが、合っているとか、答えが見つからない、こういったこととは別に、とても月並みだけれど「考える過程」が大事なのだと、振り返るたびに実感します。
誰にとっても、大切で必要なのだと改めて思います。
考えることを意識して、習慣化できるとセルフコントロールにも役立てられると感じます。
私にとってはプラスの感情からのスタートではありませんでしたが、押しつぶれそうなくらい落ち込んでからようやく前を向く。この流れが私に「考える」という習慣を身につけさせてくれた一つでした。
現在の子育てを卒業した今も、自然に考えようとする習慣のおかげで、50代になってからも、息子との会話や新しいことを学ぶ意欲、苦手なことへも挑戦してみようとする行動力といった拡がりにつながっていると思います。
そして現在、自立して働く息子に最近でも感心させられている長所のひとつ、『打たれ強くしなやかな内面性』。これは、息子がこれまで経験してきた情報に裏付けられているのだなとありがたく感じる日々です。
どんな状況でも、そこから何か得られることがあるかもしれない。どんなに大変な状況でも、なんとか…なんとか向き合い考えること。そのことが未来をひらいていくきっかけ、種まきになることがお伝えできれば嬉しいなと思いながら今回の記事を終わります。
本当に厳しい暑さが続いていますが、皆さまが健やかに過ごせる日々でありますように。最後まで読んでいただきありがとうございました。