今日は今まででいちばん
私は中野くんに何度も何度も何度もキスをした。口にも頬にもおでこにも手にも肩にも足にも脛にも、あるとあらゆる場所にキスをした。唇だけの軽いキスからそうじゃないキスまでいろんなキスをした。中野くんにもたくさんキスしてもらった。自分では見えない場所にも。涎まみれのキスもたくさんしあった。
私はセックスで痙攣をすることだけが“セックス”だと思っていない。ひとつになりたいとか重なりたいという感情からなのか、絡めることができる舌、指、脚、粘膜も常に絡まっていたいと思っている。それを中野くんは嫌がらずに受け入れてくれるし、される側になった時は私もうれしい。
そして今日も深く愛し合うことができた。いつも今日がいちばん気持ちいいと思っている。前回会った時もそう思ったけど、今日は今まででいちばん気持ちいい、そう思った。前回会った時も、今日が過去でいちばん気持ちいいと思っていた。
中野くんの出張で今日からまたしばらくは会えない。今日会えたのは中野くんが無理矢理なスケジュール調整をしてくれたからだ。会ってくれない事が原因で嫌いになんてならないからそんな無理はしないように伝えると「僕が会いたかったからそうした」とまで言ってくれた。
中野くんは、私が会いたいのに会えなくて辛そうにしているとか同棲する彼女に嫉妬して悲しんでいたり姿を見たくないという。こういうところが中野くんらしい優しさで好きだ。だからこの優しさに応えたいとも思う。中野くんと一緒にいる時間が本当にうれしくてしあわせだという事をこれからもちゃんと伝えていこう。
少しでも長く一緒の時間を過ごしたくて、中野くんが乗る電車のホームまで見送った。まるで私もその電車を待っている人のように中野くんと並んで立っているだけでうれしかった。
とてもしあわせな1日だった。