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どうやって勤め先を決めるか

 どのように勤め先を決めるだろうか。何かと見通しのたてづらい時代になった。かつてなら、この企業に入っておけば取り急ぎ大丈夫という軸があった。しかしそれもなくなってきている。

 そうは言っても寄らば大樹の陰である。いざ勤め先を決めるとなると条件が良いところが気になる。給与、休みのとりやすさ、働きやすさなどである。結局のところ、入る前に余裕のありそうな「大企業」を選択しがちである。自分の身を守りがちである。

 無理にベンチャーを選べと言っているわけではない。そんなに気張る必要なく、自分がいいなと思える企業を選べばいいのである。

 仮に大企業がいいと思える人は、避けがたい困難を経験してきた人である。心の底に不安を溜めた人である。周囲に「あそこに通ってるなんて頭いいのね」、「いつまでもフラフラしているなんて甘いんじゃないの」と言われてきた人である。興味があることを試すことが許されなかった。周囲に期待にこたえたり、それに反発するもなんだか孤独感にさいなまれた人である。自分で試そうにも周囲がそれを受け入れるような環境ではなかった人である。

 対して安心している人はありのままの状態を受け入れられた。学校やバイトから帰ってくれば「今日は何したの?」と聞く人に囲まれた。試したことに意味づけされなかった。何かの方向を良し悪しと判断しない人に囲まれたからである。何かと要求されなかったためである。

 勤め先を決める時、条件で選ぶ人は不安な人である。対して面白そうだからと興味で決める人は安心している人である。不安な人はその企業の過去や未来を調べたり見通しを立てようとする。何かと詮索する。安心している人は自分の心の動きしか見ない。勤め先の事業、人、環境などどこに興味を持つかは人それぞれであるが、その人が最も熱量を向ける事を基準に選択する。

 人は人それぞれ状態が異なる。経験してきたことや気づくことが違う。誰かはお金をたくさん稼いでいる、誰かはイキイキ働いていると周囲の様子を伺うのではなく、自分が今、何を乗り越えようとしているかで決めるといい。それは人によっては自立することであったりする。取り急ぎ目先の衣食住を整えることであったりする。条件で物事を決めることであったりする。人によっては、自分の意欲にこたえることであったりする。周囲に理解されずとも、自分がやりたいことをやることであったりする。

 勤め先は大きい。給与体系、囲まれる人、育まれる能力が違う。将来の次の転職先でどこに行けるかが変わってくるかもしれない。あれこれ考えればキリがない。その思考は発散して収束しない。そうして混乱しても自分がいいなと思える企業を選ぶことである。たとえそれがお金などの条件であっても構わない。大切なのは自分で決めることである。例えたくさん情報を収集して決めたとしても、自分で決めたという実感を持つことである

 自分で決めていけるようになると、自分の心の感じ方に気づく日が来る。自分は大丈夫だと思える日が来る。いつの日か不安な人から安心している人と変わっている自分に出会える

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