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Z世代を中心に人気拡大中の「きゅるりんってしてみて」から学ぶ、「パトロン型」推し活
「推し活」とは、自分の好きなアイドルやアニメなどを多様な形で応援する行為である。
あるアニメやアイドルのコラボ商品が熱心なファンによって買い占められ、店頭から消えたというニュースはもはや珍しくない。
とはいえ、ここで一つの疑問が浮かぶ。
人はなぜ、そこまでして「推したい」と思うのか。
第一の理由としては、コンテンツのクオリティが高く、純粋に魅力的であるためだと言えよう。
例えば、ストーリーが面白いアニメ、演技力に優れた俳優、ダンスが抜群に上手いアイドルなど、その卓越したパフォーマンスに惹かれるケースである。
しかし一方で、まだ完成度が高いとは言い難い未完成なコンテンツに対しても、熱狂的に応援するファンが存在する。
その代表例として今回焦点を当てたいのが地下アイドルである。
磨けば光るダイヤの原石、それが地下アイドル
地下アイドルのクオリティは、坂道グループのようなメジャーアイドルと比べれば、ステージセットや演出も含めて見劣りすることが多い。
投入できる資金が限られている以上、ある意味それは当然のことであろう。
ところが、そうした未完成な部分が地下アイドルの大きな魅力でもある。
デビュー仕立ての頃はダンスも歌もまだ粗削りで、ファンの数もごくわずか。それでも「何か光るものがある」と感じるファンが、チェキやグッズを購入し、足繁くライブに通い、熱心に応援する。
これは、いわば「パトロン的な」推し活と呼ぶべき行動だ。
未完成だからこそ応援のしがいがあり、ファンとアイドルの距離感が近いことで、互いに成長を共有できる。
その点が、地下アイドルの存在価値を形づくっているといえる。
ここでケースとして、SNSで急拡大中の「きゅるりんってしてみて」を紹介する。
Z世代を中心に人気急拡大中、きゅるりんってしてみて
「きゅるりんってしてみて」は、2021年1月に結成された日本の女性アイドルグループである。
![](https://assets.st-note.com/img/1737875736-g9myGRpn0MNiKTlCEawcs38S.jpg?width=1200)
メンバーは、環やね、島村嬉唄、チバゆな、逃げ水あむの4人である。
(当初は5人体制で活動)
結成当初、彼女たちのパフォーマンスは未熟な部分もあり、ダンスや歌唱でもミスが目立っていた。
(期待値が高かったこともあり、お披露目ライブの切り抜き動画では、コメントでパフォーマンスの粗さが指摘されている。気になった方はYouTubeで検索いただきたい)
しかし、活動を重ねる中でそのクオリティは着実に向上し、SNSを通じて徐々に注目を集めるようになった。
特に、2023年11月にリリースされた楽曲「ツインテールは20歳まで♡」は、公開から約1ヶ月でMVの再生回数が30万回を突破し、グループ初の100万回再生を達成するなど、大きな話題となった。
(ちなみに昨今SNSをきっかけに急拡大するアイドルグループが多い。こちらでも考察しているので、気になった方は一読いただきたい)
このような成長過程は、まさにファンにとって「パトロン的な」推し活の醍醐味を体現するものである。
初期の未完成な状態から、努力と経験を積み重ねて進化していく姿を間近で見守ることができる点、これが彼女たちの大きな魅力となっている。
「きゅるりんってしてみて」、まだまだ拡大するポテンシャルはあると感じているので、興味ある方は是非今からでも推してほしい。
「パトロン的な」ファンとライトなファン、どのバランスが重要
運営側にたっても、「パトロン的な」推し活をしてくれるファンの存在は重要だろう。
活動初期の資金不足やモチベーションの低下を乗り越えるために、その熱意と支援は大きな力となる。また、トレンドに左右されず、根強く応援し続けてくれる姿勢は、コンテンツの土台を支える重要な役割を果たしている。
しかし、活動が長期化するにつれて、ファンコミュニティが固定化されるリスクも伴う。
コアなファンが多くの資金を投じ、活動の継続を可能にしてくれる一方で、そのコミュニティが排他的になり、新規ファンの参入を妨げてしまうこともある。
結果として、新規層の取り込みが進まず、人気の拡大が頭打ちになる可能性もある。
このようなジレンマを回避するためには、「パトロン的な」推し活をしてくれるファンを大切にしつつ、ライトな層を積極的に取り込む努力が求められる。
ライト層にアプローチするには、TiktokやXなどのSNS、YouTubeなどを活用した発信が有効だ。
一方で、既存ファンに対しても特別な経験ができるように、両者が共存できる環境を整えることが重要になる。
(例えば、ライブやチェキ購入に応じてポイントが溜まり、特典がもらえるといった古株に優しいサービスを導入しているグループもある)
我々オタクも、最初は純粋に「推し」を応援する気持ちで活動していたはずだ。それがいつしか、新規ファンに厳しく当たり、コミュニティの壁を高くしてしまうことがある。
ファンである我々自身も、厄介オタクにならないよう、気を付けたいところだ。