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言葉の不思議、「好転反応」と「一時悪化」

英国でホメオパシーを学び、しばらくホメオパスとして活動し、日本に帰ってきて「ホメオパシーを使っています」という方とお話をして驚いたことの一つに悪化しているのに「好転反応なので我慢してくださいと言われた」という方にたくさんお会いしたことでした。
今回はこの「好転反応」という言葉のマジックと本来の意味や見分け方についてお話します。

好転反応ってなんだろう?

良い方向に転ぶための反応がありましたってことですもの、「好転反応」という言葉って、すごくポジティブですよね?一方で「一時的な悪化」というと、同じ意味でもネガティブに感じます。

「好転反応」を調べてみると、なぜか辞書には載っていませんでした。
ネットで検索すると、整体院、整骨院、鍼灸院のホームページにある記述がほとんどで、その他の頼りはWikipediaのみでした。
そこにはこう書いてありました。

好転反応(こうてんはんのう)とは、治療の過程において改善に向かう中で起こる、一時的に悪化した身体反応のことを指す言葉。

https://ja.wikipedia.org/wiki/好転反応

瞑眩(めんげん)反応とも言うそうです。

漢方治療で、治癒前に、一時的な高熱・下痢・発疹(ほっしん)などが起こること。

デジタル大辞泉(小学館)

Wikipediaではこう続いていました。

漢方薬の知識体系である漢方医学では瞑眩と呼ばれ、21世紀初頭の漢方薬の教科書では、予期せぬ症状の悪化が起こりその後、よく改善されていく場合の最初の悪化の過程であり、経験上3-4日以内持続し、1週間のこともあるとされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/好転反応

まとめると、好転反応や瞑眩反応は症状が改善する前に一時的に悪化し、数日もしくは1週間以内に改善をし、以前よりも良い状態になるということかと思います。

一時的であれ、症状が悪化し辛い時はホメオパスに相談してください
緩和する方法を知っているはずです
UnsplashのYuris Alhumaydyが撮影した写真

ホメオパシーではなんというの?

私がホメオパシーを学んだ際に好転反応に近い言葉であるヒーリングクライシス(Healing Crisis) という言葉は一切出てきませんでした。
よく考えてみてください。クライシスは「危機」という意味です。
治癒において、危機的状況になる事が良いとは到底思えません。
辛いから治癒を求めてきている人に、さらに嫌な思いをさせてしまうなんて、、、

それなのに、ホメオパシーを使っているという日本の方々は、なぜか好転反応が起こると「ヒットした!」とみんな喜んでいたのです。
文化の違い、教育の違いを感じ「はて?』となんども首を傾げていました。

イギリスの学校で使っていた言葉はAggravation アグラベーション。
日本語に訳すと単に「悪化」
です。
私はセミナーなどで「一時悪化」とお伝えしています。
あくまでも、一時的に悪化し、その後改善に向かう事が前提です。
改善に向かわなければ、それはただの悪化です。
一時的に悪化しているということは早ければ数分で、長くても24時間から48時間以内に改善に転じることがほとんどです。

さらに、このAggravationを起こすホメオパスは腕が悪いとも教わりました。
もしも起こってしまった時は、ちゃんと対応し、短い時間で終わらせてあげるようにすることも大切だと対処法もいろいろと学びました。

しかし、私の前に現れた「好転反応なので我慢してと言われています」という方は、聞けば3ヶ月、長い方は半年以上という方もいました。
どうしてホメオパスはこの苦痛を和らげるための対策をしていないのかも不思議でしたが、みなさん元々の症状よりも、ホメオパシーを始めてから症状が悪化しているというではありませんか!?
さらには、話をお聞きすると、治癒の法則から見ると治癒の方向ではなく、悪化の方向で症状が進んでいることに危機感を覚えました。

実はこの6ヶ月以上の好転反応(?)でお困りの方のなかには、「一度レメディをやめてみることをホメオパスに相談してみたら?」とお伝えし、「レメディをやめたら翌日から症状が改善しました!ありがとうございます!」と報告してくださった方もいました。
これはレメディが治すべき症状を起こさせてしまうプルービングと呼ばれる症状が起こっていたことの証明です。
長く続く一時悪化は、一時的ではないので、好転反応とは言えませんので、お気をつけください。

ホメオパスはたくさんのレメディの中から、悪化を起こさないように
注意深くあなたにあった種類や強さのレメディを選びます
UnsplashのZdeněk Macháčekが撮影した写真

なぜ悪化が起こるのか?

ホメオパシーのレメディ選びはシンプルだけど、複雑です。
なんのこっちゃ!?って感じですが、本当にいつもそう思います。

シンプルにという意味では、レメディを必要としている人と、レメディとなる原物質のピクチャー(描き出すもの)を一致させ、それをその人のヴァイタルフォースと同じくらいのエネルギー(パワー)と一致させる強さであるポテンシーを選びます。

この時に、ヴァイタルフォースが強い人に弱いポテンシーのレメディーをあげても響かなかったり、弱い人に強いポテンシーをあげてしまうとアグラベーションが起きてしまいます。
大きな人に子供の力で揺らそうとしても体が揺れないけど、逆では小さな子供が大きく揺さぶられてしまうのを想像してみてください。
このレメディとそれを必要とする人が共鳴できない揺さぶりがまさにアグラベーションなのです。

ホメオパシーはレメディとレメディを摂取する人の調和を大切にしています。
レメディが人と共鳴する事が大切です。
強いレメディを上げたいときは、弱いレメディに慣れてヴァイタルフォースに少し力がついたら、もう一段階強いレメディに変えることもできますし、もしかしたらレメディ以前に人間の根本的な機能である臓器をE3LiveのAFAなどを使ってサポートしたりする事が必要かもしれません。

複雑という意味では、ここでお伝えするのが難しほど複雑なのですが(笑)、レメディ選びは遺伝的なことや、動物・植物・鉱物の界(動植物分類)の見極め、マインド・フィジカル・スピリット・ジェネラルなどのどこを中心にレメディ選びをするかというヒエラルキーの判断、レメディ同士のリレーションシップなどなど、多くの哲学やメソッドを組み合わせて、未来の継続的なレメディの選択も含めた打つ手を考え今回のレメディとポテンシーを選んでいきます。
これも悪化を起こさないために必要なプロセスで、どんな道筋を立てるべきかホメオパスの力量が問われます。

ホメオパスはあなたの人生の伴奏者。あなたが苦しむ時は少しでも楽になるように助けてくれるはず
UnsplashのTori Wiseが撮影した写真

優秀なホメオパスは悪化も好転反応も起こさない!

ホメオパシーの創始者であるサミュエル・ハーネマンはオーガノン(オルガノン)の中で理想的な治癒について「速やかで、穏やかで、永久的でなくてはいけない」と言っています。

Aphorism 2: The highest ideal of cure is rapid, gentle and permanent restoration of the health, or removal and annihilation of the disease in its whole extent, in the shortest, most reliable, and most harmless way, on easily comprehensible principles. 

The Organon 6th edition

要するに、気がつかないうちにあっという間に、ずーっと調子が良くなっていたというのが理想的なのです。
と、いうことは、悪化が起きてレメディがヒットしたと喜んでいたのは、理想とは程遠かったという事になります。

レメディ選びを慎重に行う、またはレメディがまだ受けいられないと判断した時は他の方法で体を整えてからレメディを使い始めることもできます。
また、万が一悪化が起こった時は他のレメディや自然療法的アプローチを使って症状の緩和をしたりする事ができます。
もしも、治癒の法則と逆行していると知った時は、ホメオパスとしては方針を変更しなくてはいけない時です。

あなたがホメオパシーを受けていて、不快な、辛い症状が続く時はホメオパスに相談して、少しでも楽になるようにしてもらってくださいね。
そして、前回お話しした治癒の法則を知っていれば、どちらに向いて症状が起こっているかで、自分で悪化か一時的なものかを判断できるかもしれません。

自分の体は自分にしか動かせないし、自分を守るのも最終的には自分です。
体のことを知って、観察して違いに気づき、より楽しく、しあわせで、健康な毎日を過ごせるようにしていきましょう!


今回はホメオパスの力量に関わる話をしましたので、次回はみなさんがセルフケアでできることについてお話ししたいと思います。

毎月第3火曜日に更新予定です。
お楽しみに!

Madoka Fujita SDSHom
英国ホメオパス

追伸:
過去記事はこちらのマガジン「ホメオパシーことはじめ」でお読みいただけます。
第1火曜日はナチュラルライフのエッセイを書いていますので、こちらのマガジン「円のまるっとナチュラル」も合わせてお読みください。