ががんぼ
電車の床
に
迷い込んだががんぼ
みんながわずらわしそうに
足で退(の)ける
大きな羽 細い手足
弱いががんぼ
せわしなく羽ばたく
とまったががんぼ
踏まれそうで不安だ
ぼくは荷物も体裁も投げ出して
ががんぼを助けてやりたくなった
でも僕だって本当は少し
ががんぼがこわい
弱くて何もしないのに
ががんぼがこわい
でも踏み殺されるのを黙ってみている方が
ずっとこわいので
やっぱりががんぼを助けたい
動けず黙ってみていたら
飛び立ったががんぼ
ふらりふらりと
車内を飛んでいく
頑張れががんぼ 踏まれるな
どこかで降りろ ががんぼよ
ぼくも電車を降りていく
ががんぼをおもいながら