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徹夜後の眠りが長くなる仕組みを発見

 徹夜で睡眠不足になると睡眠が長く深くなりやすく、脳が一定の睡眠量を確保しようします。この仕組みを東京大学の研究チームが動物実験で解明し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに論文が掲載されました。
 
 研究チームは「抑制性神経細胞」の一種の働きが眠気につながっていることを発見しました。抑制性神経細胞が活性化すると、十分な睡眠をとっているマウスでも長い時間寝てしまいます。しかし、睡眠不足のマウスで抑制性神経細胞の働きを抑えてみると、十分な睡眠をとっているマウスと睡眠時間が同じくらいになったそうです。
 
 詳しく調べてみたところ「CaMKⅡ」という酵素が生体内で覚醒時間を計るタイマーの役割を果たしているようで、この酵素に作用する物質をマウスに投与すると、睡眠が不足している場合でも長く深い眠りが起きにくくなったそうです。この酵素の働きを調べる手法を開発できれば、人の眠気を数値化しやすくなり、不眠症などの患者の状態を把握しやすくなります。
 
 睡眠は未だ解明されていないことも多く、眠気のメカニズムはよくわかっていないそうです。睡眠障害に悩まされている方も多いと思いますので、この発見をきっかけによりよい治療を受けられる人が増えることを願います。(H. S)
                                                                                                                                    
参照:日本経済新聞(2024年8月6日付)
日経電子版(2024年8月6日付)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82571010V00C24A8TJK000/
徹夜後に長く深く眠る仕組みを解明~大脳皮質の抑制性神経が眠気の強弱に応じて睡眠を誘導する~
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240722/index.html