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先輩に怒られ、技術が向上 〜肉食動物から草食動物へ〜

あれは、言語聴覚士1年目のころ。
担当患者さんの食事評価に行った。

私が勤めていた生活期の病院では、デイルームにてみんなで食事をするのが恒例であった。担当患者さんがムセていないか、口腔内残渣はないか、捕食は大丈夫なのか。と集中してみていた。

「ゴホッゴホッ」
「ゴホッゴホッゴホッ」

よかった。担当患者さんは、ムセていなかった。

と思っていたのと同時に、同じディルームにいた先輩STが突然きた。
「ヒルムーくん、何をみているの!?」
と、表情険しく私に問いかけた。

明らかに怒っている。

私は、「んっ?」と何をいっているのか、その場ではわからなかった。
担当患者さんは、特に嚥下機能に大きな問題はなさそうであったため、

「○○さん、食事大丈夫そうです」

と答えた。

しかし、先輩が質問した意図とは、明らかに異なっている返答をしたようだ。
そして、先輩にこう言われたのだ。

「近くにいた○○さんが、激しくむせていたのに気づかなかったの。」

「自分の担当だけじゃなくて、周りにもちゃん気を配りなさい」と。

怒号が飛んだ。1年目の私は、凍りついた。
「すみません」と謝るしかなかった。
その日は、怒られたショックで何も手につかなかった。

それ以降、私は肉食動物から草食動物に変化したのだ。
つまり、目を前側から横側に移動させたのだ。
そうすることで、視野が広くなり様々なことに気づけるようになった。

加えて、聴覚も敏感に働かせるよう意識した

すると、10年経った今では、ムセる音に素早く反応することができるようになり、誰も気づかないような音にも気づけるようになったのだ。

若かりし頃に、先輩に怒られた経験がなければ、私はずっと肉食動物だったかもしれない。

怒られた当時は、落ち込んだが今では「ありがとう」と言いたい。

Thank you!

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