見出し画像

震災遺構 大川小学校へ行ってきた。

 5月3日に宮城県石巻市にある大川小学校へ行ってきた。
大川小学校は2011年3月11日の東日本大震災の津波で74名の児童が死亡あるいは行方不明になっており、教員も10名亡くなっている。学校管理下、これだけの被害を出したのは大川小学校以外に無いという。(伝承館の冊子より)

劇団アンゲルスは2014年に石巻で公演を行ったことがあり、その時の演出ノートは去年の劇団アンゲルス公演「竜宮の快」でも出演者にたびたび共有されてきた。そういったこともあり、興味があって訪れてみたかった。
 2021年から震災遺構として整えられた大川小学校の校舎には柵があって小学校の中には入れなかった、しかし、外からでも十分に見ることができた。ねじ切られた柱、壁のない教室、入り口だけ残った体育館、亀裂の入った天井、見ずにはいられないというか、見てしまう痕跡の数々。想像できないけど何かすさまじいことが起こったんだなということは分かった。
 しばらくすると大川小学校の近くにある伝承館からガイドの人が観光客の人を連れて、小学校の校庭に出てきて、当時の大川小学校の避難の様子について語り始めた。ガイドの人は大川伝承の会の人らしく、被災した大川小学校児童の遺族であった。
 大川小学校は地震発生から津波到達までに51分間の時間があり、十分避難可能な時間があったにも関わらず、また、山へ避難するように進言もいくつかあったにも関わらず、安全な山への避難をしなかった当時の状況を語っていた。写真等で事実を示しながら、解説しながらもその語り口は重く、怒っていた。亡くなった命を無意味なものにさせまいという強い気持ちが表れているように思えた。大事な人を亡くした悲しみに向き合い続けているからこそ生じるエネルギーが感じられた。その語り口を聞いてると胸が重たくなって、肌がびしっと引き締まる感じがする。
 
伝承館においてあった冊子「小さな命の意味を考える」には、震災後に作られた検証委員会や石巻市教育委員会とのやり取りが記録されていた。そこには聞き取り調査のメモを破棄する教育委員会のあまりに不誠実な姿勢や一般論で終始してしまう検証委員会の報告などが取り上げられていて、とても読みごたえがあった。来週5月13日、富山県高岡市の御旅屋座で大川小学校のドキュメンタリー映画「生きる」が上映される。観に行こうと思う。
映画のHP 映画『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』公式WEBサイト (ikiru-okawafilm.com)

いいなと思ったら応援しよう!