その6 担当編集F氏の想い
セクハラ、ダメ絶対!
以上になります。
2行で終わっちゃしょうがねえだろう!
まあそれはともかく。
何故、担当編集F氏から、このようなフレーズが飛び出したか。
私のせいです。
お読みいただいた方にはおわかり頂けるかと思いますが、物語も終盤。
確信に迫る場面でひとつ、サイテーなアイテムが登場したのを覚えていらっしゃいますでしょうか。
そう、お股と胸が
ペロン
とめくれる、あの服。
全てはそこから始まった。
とにかく合理的かつ冷徹に、ニンゲンの尊厳や感情を殺しにかかる連中のやりそうなこと…もとい、自分ならどういう風に振る舞うか、と考えた結果、ああいうアイテムを用いるに至りました。それ自体は、まあ、ありがちっちゃありがちな「グッズ」として、アマゾンなりNLSなり探せばありそうだし。パジャマだと微妙だけど、作れないこともないんじゃないかな。
あまりのインパクトに私と担当編集Fさんのあいだでは「ペロン」だけで通じるようになってしまった。
で、電話で打ち合わせしているときに、そのペロンが出てくる場面の添削になり。
あれこれと直したり削ったりしているときの会話で
佐野「何気なくペロン、ペロンと言ってますけど、我ながら最低最悪のアイテムを作ったなあ」
担当編集F「ねー」
佐野「でも、Fさん、初見でペロンが普通にイメージ出来てる…ってことは…」
F「いえあの! 私は決して! そ、その、えっちな同人イラストで偶然見かけたことがあるだけで…」
などと供述しており、捜査本部では引き続き取り調べを「セクハラ、ダメ絶対!!」
と、こういうわけで飛び出したフレーズ…もとい心の叫びなのでした。
というか、Fさん一体どんなイラスト見たんだそれは…!
私にも教えてくださいよ!!!!
どっかに自分と似たような発想してる人が居て嬉しいやら悔しいやら(笑)
あーあ。ワードの1ページ半ぐらいペロンに費やしちゃってるよ。
そんなこんなで打ち合わせやらメールのたびに、ちょっとした挨拶や雑談、たまにバカ笑いしながら一緒に作業を行って下さった担当編集Fさん。
実は一度、戦線離脱しかかっていました。
あとから体調を崩されていたと知りました。
私は孤軍奮闘しているつもりでしたが、FさんはFさんでご自身を苛む責任感や無力感と戦っていたのです。
それを知ってからは、我がことでイッパイイッパイだった自分を恥じました。
そして、それでも私と、私の作品のために立ち上がって戻ってきてくれた担当編集Fさんには深く感謝しています。今でも。
Fさんは折に触れて、ゲラの片隅にフレーズや会話、描写の感想を書いてくれました。
可愛い!かわいそう!(号泣するアスキーアートを手書きで描いてくれました)
ここのヨシダさんがかっこいい、Jさんのこんな姿は珍しいですね、などなど。
しまいには「陰」と「影」の漢字の書き分けを図で説明してくれる始末(小学生の書道教室か)。
これが私には効果てきめん。
何しろ自分ひとりじゃ何もしないし、自分のためになにか出来るニンゲンでもない。
私が武道からプロレス、そしてバンド、さらにはネット小説と行き着いたのは、ひとえに、
「やってれば誰かが見ててくれるから」
です。
武道は自分との戦い。
どれだけ厳しい鍛錬に耐えて勝利を収めてもガッツポーズ一つ許されないし、それがいいと私も思う。
戦うのはいつも自分。対戦相手ですら努力の結果を占うための木偶に過ぎない。
勝っても負けても思いは一つ、精進。
そんなの面白くないじゃん!!!!
イヤじゃないけどさあ!!!!
なんかもっとジタバタしてるとこ、見てて欲しい!(変態さん…?)
そういうわけで、私は誰かが見てくれたり感想をくれたりしないと、答えが返って来ないと何も出来ない性分なのです。
そこでFさん、セコンドとしてときに励まし、感じたことを伝えてくれました。
担当編集が最初の読者、というフレーズを何処かで目にしました。
ここでFさんがこう思うってことは、こういう書き方で合ってる、またはコレだとズレてるのか、など色々と思うことが多かったです。
勿論そこは他人様のセンスなので千差万別、何が正しいとか、絶対ウケるフレーズとか、〇〇で〇〇したい奴は絶対見ろ!とか、そんなもんは無いんでしょうが。
ひとつの指標であり、何よりそれが
読んでくれた人のリアクション
なのが、まずうれしい。そしてそれが、もっとたくさんの人に読んでもらえるかも知れないのならば、じゃあ書き方を変えよう、工夫しようとも思うわけだよワトソン君。
いま急にベーカー街に連れてこられて困ってる人も居ると思うけど(私もヴァスカヴィル家の犬にケツをガップリ噛まれております)、いかにも安っぽいハリボテの古建材モドキの樹脂板にありがちなレトロ看板を貼り付けたチェーンの昭和レトロ風激安居酒屋と、どっちがいい?
仕事はふたり、思いはひとつ。
とにかくこれを作って読んでほしい!
という一念で仕事をしてきました。
たびたびFさんも言っていたこととして
「出版社や担当編集者や出版のタイミングなどなど、とにかく色んな要素が絡み合って動いていくので、書籍化決定から出版までの流れは色々だとお考えください」とのこと。
私の作家デビューは、Fさんなくして何も始まらないのです。
というわけで、次回
「その7 担当編集F氏への想い」
につづく。
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