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◯◯年後になくなる仕事?


はじめまして、金型屋です

はじめまして。石川県小松市の金型メーカー、株式会社ダイモールの社長をやっています。大杉謙太です。

「金型メーカー?」ピンとこない人もいると思います。簡単なイメージだと、たい焼きの型などは金型です。それを作る専門のメーカーが金型メーカーです。そして、業界では「金型屋」と呼ばれています。

2020年になくなる仕事?

経済のプロ40名以上が明かす、ロボット時代に「生き残る会社」「なくなる仕事」~2020年の日本を大予測!
現代ビジネス, 講談社, 2013年
https://gendai.media/articles/-/36518


「金型職人」について(拡大)

いきなりですが、2013年の記事でこんなことが書かれていました。当時、東京で勤めていたIT関係の会社を辞めて、実家に戻ってきたころでした。憤りを感じたことを覚えています。

そんなわけない

「3Dプリンター登場で、誰もが自前かつ低コストで金型を作れるようになる。これは画期的な出来事」

経済のプロ40名以上が明かす、ロボット時代に「生き残る会社」「なくなる仕事」
~2020年の日本を大予測!
現代ビジネス, 講談社, 2013年
https://gendai.media/articles/-/36518

私は「そんなわけがない」と思いました。誰が型設計をするのか?型とは製品をそのまま反転させたものではありません。垂直な壁でデザインされた製品は、そのまま型にしても造形できません。いわゆる「抜けない」のです。そこに勾配をつけて、さらに直角でも造形できないのでフィレット(丸み)をつけて、そうして造形できる形に設計し直すのが型職人です。

しかし、金型職人が使う道具は3Dプリンターになるかもしれません。型を設計して、材料を発注して、加工プログラムを作って、機械を動かして、これらが3Dプリンターで一発でできてしまう。近未来の型作りはこのようになるでしょう。

金型職人の価値は、製作ではなく、創造すること、ここにあります。それを最大に活かせるのが3Dプリンターとなるだろう、と私は考えました。

3Dプリンターへ

当社はそこから3Dプリンターの導入を進めて、3Dプリンターで型を作る研究を始めました。実は簡単ではなかったです。

  1. 寸法精度が低い

  2. 表面が粗い(段々模様がつく)

  3. 大きいものが作れない

  4. 熱に弱い

このような課題があり、プリントしても微妙に実用には足りません。表面をきれいにすれば寸法精度が悪くなり、大きいものを作ると加速度的に寸法精度が落ちる。また、出来上がった型を使っていると熱で変形してしまう。熱に強い材料を使うと、より表面が粗く、寸法精度も低くなってしまう。

そんな課題を克服して、実用化にこぎつけました。そして、当社はそれを特許としました。

3Dプリンターのノウハウをシェアする

特許化するまでに海外の情報を多く参考にしました。海外では3Dプリンターのノウハウや新技術について、エンジニアが広く情報を公開しているのです。しかし、日本にはまったくありません。

このままでは日本は遅れてしまう。

なので、当社は特許もフリーにして、特許には書ききれなかった細かなノウハウ、そして、今なお続けている試行錯誤や楽しいイベント、そして失敗も全部共有していこう。3Dプリンターで困ったことを日本語でネットで検索したら普通に見つかる世界にしていこう。

これが note を始めたきっかけです。

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