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泣きながら笑って生きるよ
その日は、下北沢のメイン通りを少し下っていったところ、ミスドの真向かいの2階にあるBar DUKE SALOONが主催する花火大会の日だった。コロナでみんな花火大会に行けないからお店のプロジェクターで花火を見ようというOwnerてっちゃんの計らいで開催されたBarの花火大会。
てっちゃんは私が最も尊敬する日本だけじゃなく、世界に誇る司会者、みきさんのパートナー。いつもびっくりするくらい優しくしてくれる。そうそう普段私がこの店にきた時は、みきさんも一緒にカウンターでお客さんとして飲むんだけど、今日は花火大会で忙しいお店をみきさんが手伝っているから、私はてっちゃんとみきさんの素敵な掛け合いを見ながらカウンターで飲むことに。
バーン、バーン、プロジェクターに映る本物より鮮明に見える花火となぜか同時に流れているサザンのライブ映像。窓から生ぬるい夏の終わりの風が流れてきて、サザンの「涙のキッス」、、、。この曲のイントロだけで軽く3杯飲めるわと心の中で呟いてた。そしてこの美味しすぎるレモンサワーよ、、。
「てっちゃん、今日も美味しい!」私がそう伝えると「よかったよー」いつもこう言ってくれる。
やったー!今日のてっちゃんの「よかったよー」1つめGET。
そうなの。いつもこの店で私はてっちゃんからもらう「よかったよー」を集めているのだ。
「よかったよー」たった一言だけど本当にあったかい。この言葉を聴くと居心地が良くなって私は穏やかな気持ちになる。そんな幸せに浸りながらぼーっとしていたら、携帯がブルブルした。
sさんだ。
sさんからかかってきたこの着信画面を見ただけで、目の周りが熱くなっった。慌てて店を出て、階段を駆け降りてミスドの前の携帯ショップ屋さんの前で立ち止まって
「もしもし、sさーーん sさーーーん」
いきなり電話に出るなり人の名前を連呼していた私。
「sさーーーーーーん」
名前を呼んだだけで熱くなったまぶたから涙が溢れてくる。やれやれ、どうなってる私の涙腺。
「お前、相変わらずやな。笑ろーてるか?」
「笑ってます。でも、しんどいです。笑ってますけど、しんどいですーー」
久々に聴くsさんの声、関西弁。この一言で全て抱きしめらているような気持ちになった。初めて好きな人と手を繋いだ時みたいに身体中が熱くなる。下北沢のメイン通りを歩くいかにもな若い男のコ3人組にコイツ泣いてんの?って目で見られた。
「お前はあれやな。泣きながら笑って生きる人生やな」
「泣きながら笑って生きるお前のその生き方に、心動かされる人がおるってことや」
私、泣きながら笑って生きるよ。