DeFiとCeFiの違いに理解を 米議会下院委員会「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法案」を通過
先週、米議会下院の金融サービス委員会と農業委員会が歴史的な一歩を踏み出しました。超党派で「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法案 ("Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act" もしくは "FIT")を通したのです。この法案は、米国におけるデジタル資産規制の法的枠組みを決め、米国のリーダーシップを確固たるすることを目的としています。
この法案は2023年6月に初めて登場し、その時点から既に熟慮された素晴らしい法案になる可能性を秘めていました。我々は、金融サービス委員会と農業委員会による努力を称賛し、彼らが様々なステークホルダーからのフィードバックに寛容だったことを讃えます。
偉大な最初の一歩
今回の法案は、デジタル資産業界を適切に規制するための最初の素晴らしい一歩となるでしょう。仮想通貨が今後も繁栄する基盤を作り、米国をweb3の未来を形作る場所として推進します。
取引量で世界最大級のDeFiプロトコルの一つとして、dYdXは、現在のバージョンの法案がどのように実践できるか理解しています。また、米国のリーダーシップを確固たるものにするという目標も理解しています。とりわけ、米国はweb3の技術発展においてリーダーシップを発揮しています。dYdXやUniswap、Openseaなどが全て米国を基盤にしていることから分かるように、適切な法律を作成し可決させることが喫緊の課題です。
新しい技術に対して熟慮した形跡あり
過去のいくつかの法案とは対照的に、FITは中央集権的なエンティティと分散型のエンティティには違いがあることを認めています。ここが目新しい部分でしょう。DeFiに対して適切な規制をかけることは必要と認識していますが、技術に対して十分に理解している人は、DeFiにCeFiと同じような規制をすることが無理であることが分かると思います。
またFITは、DeFiとNFTという2つの大きなテーマに関して、効果的なルールを作る前に理解を深めることが大切という立場を示しています。開発者視点から見ると、規制に関連する問題であるカストディや透明性、支払い能力、セキュリティなどを解決する上で時間をもらえることは良いことです。ユーザーに対して前向きな結果をもたらすだけではなく、規制の観点でこれまでに不可能だったことも実現できるかもしれません。
さらに法案の冒頭にNFTは法案の適用対象外と述べた部分を高く評価します。デジタル資産の定義は、ファンジブルな価値の表現を含むものであり、ノンファンジブルな資産は除外しました。残念ながら他の法案では上記のように例外がはっきり書かれることは多くありません。
規制する前に理解せよ
FITは、ノンファンジブルトークンとDeFiについて長期間の研究期間を要求しています。例えば、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)に対して共同で政策の観点からDeFiのメリットとデメリットに関する研究を要請し、米国会計監査院(GAO)に対しても同様にDeFiの研究することを求めました。DeFiに関する勉強は、議会の委員会に何らかの報告をする前に完了しなければなりません。
付随的な活動の除外
さらにFITは、いわゆる「付随的な活動」に関するセクションで「個人が、付随的な活動をする限りにおいては今回の法案の規制対象にはならない」ことを明記。付随的な活動にはブロックチェーンサポートやオペーレーションサービスなどの活動が含まれており、具体的には以下の活動を指します。
「ネトワークトランザクションの取りまとめ」
「Computational Workの提供」
「ユーザーインターフェースの提供」
「blockchain systemの開発、公開、管理、維持など」
その他
DeFiに対する規制が実施される日は来るでしょう。ただ、中央集権的なエンティティに対する規制と同じではいけません。リスクは異なりますし、技術発展の速度も異なります。焦りは禁物です。DeFiとCeFiを一緒くたにすることは間違いです。米下院の委員会がそうしなかったことを我々は称賛します。そして、21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法案 ("Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act")が残りの118回米議会でさらに躍進することを期待しています。
*上記はdYdX Tradingのブログ「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act」を翻訳・編集したものです。