組合員の体験をより良くするDX推進に大切なこと 〜コープCSネット塩道専務理事インタビュー〜(後編)
生活協同組合連合会コープ中国四国事業連合(コープCSネット)の塩道専務理事のインタビュー。後編では、DX推進にあたって大切なことや、組合員さんや未来の組合員さんから今後も生協が選ばれるために必要なことについてお聞きしました。
日本生協連とも連携しながらDXを推進
――コープCSネットで「DX-CO・OP推進プロジェクト」を立ち上げたきっかけを教えてください
私自身は以前からDXの必要性を感じており、3年ほど前から提案していました。でも、当時はDXという言葉も概念も浸透しておらず、ツール開発を行うにあたってわれわれだけでは難しいこと、コストが読み切れないという問題もあり、進められずにいました。
それでもどうにかしなければと思っていたタイミングで、時を同じくして日本生協連で「DX-CO・OPプロジェクト」がスタートすると聞き、コープCSネット独自の取り組みを進めながら、参加させていただくことになりました。
――生協としてDXを進めるにあたって大切なことは何でしょう?
一番大切なのは情報共有だと考えています。情報共有ができていないとお互いの信頼関係を築くことができず、コミュニケーションがうまくいかなくなってしまいます。そのため、今回のプロジェクトについては実務責任者の職員に意見を出してもらったり、良いことも悪いこともすべて公開・共有するという形で進めています。
また、「コープCSネットがDXをやります。だから皆さんも一緒についてきてください」というスタンスでなく、各自がDXの必要性や重要性を認知し納得していただくことが大切だと思っているので、学習会や講演を通して理解をうながしながら丁寧に進めていきました。
コープCSネットが今果たすべき役割からすると、労働生産性をデジタル化によっていかに上げるかが重要だと考えています。そのためには、現在やってることを全部さかのぼって無駄なこと・必要ないことを洗い出し、やめることはやめて、必要なことはデジタルを使って効率的に進められるようにすることが必要です。
このような話題では、雇用への不安を抱くこともあるかと思いますが、雇用がなくなるという話ではなく、新たな仕事・役割が生まれてくるということです。そのような話も含めて、会員生協さんのありたい姿と目線をあわせたうえで、今ある課題をどう克服していくかを考えないといけないと思っています。
生協の強みを活かし、競争だけではない世界を作る
――DXによってコープCSネットが実現したい生協の未来についてお聞かせください
今、われわれが取り組んでいることは、まだDXといえるレベルではないと思っています。現状は、今まで人がやっていたことをデジタルに置き換えている段階ですが、その先のステージとして、それをどう活用してどんな世界を作っていくかを考えることが大切だと思っています。
生協では、組合員さん同士の何気ないおしゃべりなど、コミュニケーションの場をとても大事にしてきましたが、これもオンラインを活用できると考えています。ただし、年齢層の高い方たちの中にはオンラインにはどうしても違和感があるという方もいらっしゃるので、当面はアナログとデジタルの二面的な対応を維持していく必要があると思います。
単純に物を買うだけの場になってしまうと、競争にさらされて効率化一辺倒になってしまいます。組合員さんとの距離の近さなどの生協が持っている強みを生かし、利用データだけではわからない組合員さんの一人ひとりにマッチングした提案を広く行えるようになれば、競争せずとも、生協は選ばれ続けるのではないかと考えています。
今後、これをどうやって作っていくかが鍵だと思います。
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時代の変化に対応しながら、そして地域性を考慮しながらも生協だからできる組合員さんへ寄り添ったDXにチャレンジされていることが印象的でした! また、職員に対してDXに対する理解を深め、職員が“OneTeam”になって進めることが重要だと改めて感じました。組合員さん一人ひとりと向き合い、コミュニケーションを大切にされているコープCSネットの進化がこれからも楽しみです♪