コストを抑えて受発注データのやり取りを実現! ‐生協標準流通BMS導入の輪を全国の生協に広げます‐(前編)
DX-CO・OPプロジェクトの取り組みを紹介するシリーズ。今回は、コストを抑えて企業間のデータやり取りを実現する「生協標準流通BMS」について、DX-CO・OPプロジェクトあらきさんに教えていただきます。
前編では「そもそも企業間でのデータのやり取りってどうしているの?」「BMSってなに?」の説明をしていただきます。
企業間の受発注データ今昔
企業が商品を発注する場合、現在では、取引先へデータを送信する方法がメインとなっています。FAXや電話での発注よりもミスが発生しにくく、人件費などのコストも抑制されるためです。
企業間でデータを送受信する仕組みを電子データ交換「EDI(Electronic Data Interchange)」と呼びます。
今ではデータ交換は当たり前のことになっていますが、小売り・卸・メーカー間での長い取り組みの歴史がありますので、少し振り返ってみます。
「EDI」は1980年代から日本の企業に徐々に広まっていき、現在では企業間取引の主流となっています。
流通・小売業界で「EDI」が広まるきっかけとなったのは、日本チェーンストア協会が「JCA手順」というEDIの通信ルールを制定したことです。しかし、「JCA手順」で標準フォーマットが定められたものの、小売企業ごとに独自フォーマットで運用されることも多いのが実態でした。また、電話回線のため通信速度が遅くデータ容量の限界があること、漢字が使えないことなど等の課題も発生してきました。
EDIの新たな取り決め「流通BMS」の誕生
2000年代になり、経済産業省が「JCA手順」に続く新しいフォーマットの策定を進め、2007年、次世代標準EDIの流通ビジネスメッセージ標準である「流通BMS(Business Message Standards)」が誕生しました。
「流通BMS」は、インターネットで通信速度が速く、利用可能なデータ容量が大きくなったことで、より多くの情報が取り扱えるようになりました。「流通BMS」では様々な業務運用に適用するため、現在、26種類の豊富な「メッセージ」が用意されています。「メッセージ」とは「発注、出荷、受領」といった標準化されたデータフォーマットを指します。
これらの特徴は企業間の双方向でのデータ交換をより活発にし、ビジネスプロセスの変革をもたらしました。
製造・流通・小売全体で広がる流通BMS
あらためて、「JCA手順」の課題と「流通BMS」の特徴をまとめてみます。
前振りがかなり長くなってしまいましたが、製造・流通・小売全体で「EDI」をDXした結果「流通BMS」が誕生したと考えてもよいのではないでしょうか。
2024年1月にNTTの「ISDN回線サービス」の終了が決定しています。「JCA手順」はISDN回線を使用しているため、企業はサービス終了までにインターネット通信の「流通BMS」への切替などの対応を行っています。
(後編へ続く)