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<後編>顧客にデータで価値を届けるエネルギッシュなパートナー会社に行ってみた

前編では「利用予測レコメンド」「利用者配布」サービスの提供している株式会社フライウィール流お仕事の取り組み方についてお伺いしました。

 後編ではフライウィールさんの技術や生協と取り組んでの想いを教えていただきます。


― では、フライウィールさんとしてどんな技術を使っているか、文系にもわかりやすく教えてください!

神門かんどさん:
技術については過去お話したことがあるので、今回はツールについてご紹介します。

▼フライウィールのAI技術について、興味がある方はこちらをご覧ください♪

髙橋さん:
例えばこんなツールを使ってコミュニケーションを取り、データの連携を行っています。

Slack:チャットコミュニケーションツール。連携させて資料などの更新通知にも活用。
Google Workspace:ビジネス向けクラウドツール。チーム内での情報共有に利用。
JIRA:タスク管理を行うツール。
Visual Studio Code(VS Code):プログラムのソースコードの編集やデータの確認に利用。
AWS S3:データストレージサービス。データの受け取りに利用。
Dagstar:機械学習のモデルを実行させるためのデータをシームレスに処理するために利用。

様々なツールを使い、効率的に生協の皆さんへスピーディーに価値提供できていると考えています。

提供:株式会社フライフィール

― なるほど、いろいろなツールを駆使しながら生産性高められているのですね!
素早さもフライウィールさんの強みではあると思いますが、一番の強みは何でしょうか?
 
神門さん:
私たちのサービスはAI(機械学習モデル)を使っていますが、AIを使うことがマストではありません。
AIを使うとインフラ利用費がとてもかかるのですが、我々は費用を抑えながら成果を出すかということを得意としています。
というのも、AIに複雑なモデルは使用しないというのが特徴です。「とにかくいいモデルを作れば勝てる」という会社もありますが、フライウィールはPDCAを如何に回せるかということに重きを置いています。
 
髙橋さん:
AIのモデルをシンプルにしている分、汎用性を高くしているんです。

― まずは素早く始めて改善していく、ということですね。汎用性を持たせる工夫はどのようにしているのでしょうか?

髙橋さん:
大切にしているのは「お客様が便利に価値を感じていただけるのか?」なので、その価値に従うとおのずと汎用性があるものになります。

神門さん:
Conataそのものに汎用性を持たせるための思想が埋め込まれているんです。
例えば、Conataはどのようなデータでも取り込むことができるようになっています。

<データを通すパイプライン>
パイプラインとは、データの収集、変換、統合、分析、および保存を実行する一連の処理手順です。
データ収集(様々なデータ ソースからデータを取り込む)
→FW では柔軟・安全な活用のために汎用的な前処理機構があります。
データ変換(データの形式や構造を変換する)
→エラーや欠損値、破損したデータを特定し、穴埋めや修正を行います。
データ統合(複数のデータ ソースからのデータを一元的にまとめる)
→FW では業界単位の標準フォーマットに整理したりログデータの共通処理をしています。
データ分析(データから洞察を得る)
→FW では整理されたマスタ&ログデータからEntity内・Entity横断での意味把握、また、汎用的なフォーマットで可視化できるツールも準備しています
データ保存(分析結果やデータを保存する)

このプロセスを入れて、さらにデータを処理しています。

画面で投影しながらConataの進化を説明してくださいました

― Conata、どんどん進化していきますね。これから何ができるようになるか楽しみです。
それでは、ここからはぶっちゃけて、生協との取り組みで他社と違うと感じることを教えてください!

神門さん:
まずは、お客様との接点、チャネルが多い点です。他社だと店舗とECのみが大多数ですが、生協は店舗・宅配の中でEC・カタログとチャネルが多いです。また、宅配に関しては企画週があるのが他社と比較して異なる点だと感じています。

― この特質はデータを扱う上ではどのような影響がありますか?
 
神門さん:
一般的には、購買ログを取り続ければ、顧客が購入する商品をレコメンドすることができるのですが、生協では「同じ商品でも今週の企画週では取り扱いがあるが、来週はない」といったように商品の取り扱いが変動しているため、過去の購買パターンから予測するというところがかなり異なります。そのためデータチューニングには時間を最初は要してしまいました。
また、取り扱う商材が多岐にわたるところも特徴的ですね。食品から日用品まであり、ここまで多岐にわたるのは今まで取り組んだ企業とは違いました。

― 生協と取り組んで他社との取り組みに活かせそうな発見はありますか?
 
神門さん:
すごくたくさんあります。これだけのチャネルがあって、これだけのデータがある企業はそうはいません。生協との取り組みをベースにして、小売業界に適応できる共通フォーマットをつくることができました。
 
髙橋さん:
商品数が多いこともありますが、組合員さんの年代も幅が広いことは特徴だと思います。
 
神門さん:
アパレルの企業であれば、年代も絞られるし、服という商品のみの取り扱いです。
生協は、幅広い選択肢がある中での予測をすることは他の企業と大きく違う点だなと思います。

― では、生協との取り組みの中で大変だと感じる点はありますか?
 
神門さん:
事業連合などの組織構造が地域でバラバラなのが大変でしたね。
各地域で状況がかなり異なっていると思います。
 
髙橋さん:
データ理解という点では、データ量が多いので大変な部分がありました。また、各生協で似たようなデータだけど使い方が違うことがあるので、「こうだろう」と思い込んで進めてしまうと大変でした。
ただ、それぞれの生協の方とやり取りをしているとデータ構造をきちんと教えてもらえるので、管理がしっかりされている印象があります。
 
神門さん:
各地域で別法人として事業や活動を行っている生協ですが、みなさんある意味、営利ではなく、「組合員さんにいい体験をしてもらおう」というマインドが徹底されていて、思想的にとても共感しています。フライウィールもお客様の課題をデータで解決したいと考えています。

引用:株式会社フライウィールHP
Conata のキーメッセージも「データの力で解決する」!

― まさかの共通点ですね!
 
神門さん:
大事にしていることは「売上」とおっしゃる企業が多い中で、生協さんは誰に聞いても「組合員さんのよりよい暮らしのために」と徹底されているように感じます。

―では、今後のフライウィールさんの展望を教えてください。
 
神門さん:
今までのフライウィールはマーケティングサイドの予測に強みがあると言われてきましたが、今は倉庫や物流も分野として広がってきました。サプライチェーンの最適化やマテハンの効率化などのシミュレーションもできるようになってきています。

― ビジネスの幅が広がってきているのですね!
 
神門さん:
そうなんです。フライフィールとして今までは販売に関するデータが多かったのですが、IoTまで広がりを見せています。また、顧客の行動履歴からどのようにユーザーがステップアップしていくか?の戦略も作れるようになってきました。データに関する課題を幅広く解決するための経験と土台ができてきたと思っています。

 ―では、生協との取り組みの展望はありますか?
 
神門さん:
地域生協と日本生協連が持つデータをひとつにして、あらゆるシーンで活用していきたいです。あと一歩でできそうな気がしています。広範な取り組みに広げることがしたいと思っています。
 
髙橋さん:
AIを社会実装することは難しいなと思っていて、生協さんとは社会実装を進められるよい取り組みだと思っています。例えば、今は注文予測型レコメンドや利用者配布などですが、ちゃんとAIが社会の役に立つという視点でいろいろなソリューションを提供していきたいというのが私の想いです。

フライウィールのコープチーム✨(右から髙橋さん・神門さん・中山さん)

― これからも組合員さんのお役立ちのために、ご一緒していただければと思います! インタビューありがとうございました!