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生協DX学習会レポートvol.7~ビジネスを“Day1”から始めよう!~(後編)

このnoteではウルシステムズの漆原茂さんを講師としてお招きした生協DX学習会の後半の様子をお届けします!

▼前編はこちら

今回は、自社に外部サービスを取り入れる際に不可欠となる「良い外部サービスを見極める方法」や、新しいものを積極的に取り入れてトライ&エラーを繰り返しながら成長していけるチームづくりのポイントについてご紹介します。

【漆原茂 プロフィール】
ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長。
東京大学工学部卒業後、沖電気工業株式会社に入社。1989年から2年間スタンフォード大学コンピュータシステム研究所客員研究員。2000年7月ウルシステムズ株式会社を起業。ULSグループ株式会社、株式会社アークウェイの代表取締役社長も兼任。

●良いサービスを見極めるには?

前回、外部サービスを積極的に取り入れることの有用性についてお話しました。現在、本当にたくさんのサービスが登場していますが、残念ながら優れたサービスばかりというわけではありません。自ら良いものを見極める力が不可欠になります。

見極めの第一歩は、何よりもまず実際に自分で使ってみることです。無償で試用できるサービスも多いので、まずはご自身がユーザーになったつもりで試していただければと思います。もしダメだと感じたら使うのをやめればいいだけなので、何もマイナスにはなりません。ネット上の評判だけを鵜呑みにしてはいけません。

また、スタートアップ企業が提供しているサービスであれば、ちゃんとその会社自体も調べましょう。サポート体制はちゃんとしているか、資本金は十分か、などです。ある程度のしっかりした実績があって、外部向けのAPIなどが提供されているようなサービスであれば、ベースはクリアできています。できれば導入済みの他社にインタビューしてみるのも良いでしょう。コマーシャルをたくさん出しているから良い企業とは限らないので、惑わされないことも重要です。

グローバル企業が提供するサービスにも注意しなくてはならない点があります。日本に進出してくる時点である程度規模は大きいはずですが、商習慣が合ってないことがあります。税金や契約などに関するビジネスルールが違います。そして、突然会社が他社に吸収合併されたりすることも外資の場合は珍しくありません。

とにかく期限は2年と限定し、うまくいかなければすぐに他をあたるか、作り直しましょう。スクラップ&ビルドは当たり前と考え、個別のサービスに依存しすぎないことが大切です。

●大切なのはチーム・文化の醸成

ここまでにお話してきたように「新しいものを積極的に導入して、トライ&エラーを繰り返しながら成長していく」環境を作る上で一番重要なのは、実はチームと文化なんですね。チームビルディングはどうしても時間がかかります。最初から出来上がっているチームというのは存在しないので、お互い性善説で関係性を築き上げていくしかありません。

私が重視しているのは、スキル面以上にメンバー同士の相性です。仲のいいメンバーで楽しくやっているチームは必ず伸びますし、1年くらい経つと見違えるぐらい成長しています。反対にスキルが高くてもギクシャクしていると良い成果が出づらいですね。

チーム内メンバーの関係性ができているからこそ、もし手戻るようなことがあっても、それをマイナスにとらえず「もう1回やろう」「もっとうまくやろう」という受け止め方になる。やればやるほどメンバーが自信を持ってくるんです。サービスと共に人が成長すると強いです。

チームを醸成するために、Slackなどのコミュニケーション系のツールへの投資は惜しまないでください。ノウハウの共有ができるような仕組みをしっかり作り、文化として定着させていくことが一番大切です。

その一方で、エンジニアというのは自由にさせすぎると、あらぬ方向に進んでしまうこともあるんですよね。そのため、適度のガバナンスを利かせる妙技はやはり必要になります。

絶対に守らないといけないガードレールを守らせるようにうまくリードしながら、その中で自由にチャレンジができると、とても楽しくやれるのではないかと思います。是非挑戦してみてください。

●「プロジェクト全体」を成功に導くためのヒントを掴む

漆原さんのプレゼンを聞いた後にグループワークを実施し、自分たちで課題解決につながりそうなものを議論して、その内容を共有しました。

《代表的な発表内容》

■経理システムの改善をアジャイル開発で進めている。従来の方法では要件定義がないと着手できなかったけれど、今は毎週の打ち合わせを重ねながら直していくことができている。

■実は現在のシステムは5年くらい前に検討されたもので、国内の各県の生協へのリリースがようやく終わる段階。リリースと並行しながらの修正がなかなかできない状態だったが、アジャイル開発でようやく少しずつ進められるようになった。

■ただし、アジャイルは魔法の仕組みではないので、実現したいことをきちんと明確にして、意思疎通しながら進めていくことは重要だと思っている。

■すごい取り組みをしたというよりは、既存の仕組みのできが悪すぎて、皆が苦しい思いをしているので、それをお金をなるべくかけずにどう直すかというところが出発点。背水の陣だった。

この発表に対して漆原さんは、「他社では非常に苦労している業務系のシステム構築で、アジャイルのスタイルに取り組んで、実現できているのは素晴らしいチャレンジです。アジャイルのスーパー事例として紹介したいくらい」と絶賛。「チームの共感力が高く、皆さんが危機感をもって取り組まれているからこそできることだと思います」とコメントしました。

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「ビジネスを“Day1”から始めよう!」は、いかがでしたでしょうか?
より良くしていきたいと思ったらまずは始めてみる、そして楽しくチームで仕事をしてより良いプロダクト作りをこれからも目指していきます!